
「セックスで挿入がうまくいかない」
「挿入しようとすると痛みを感じる」
上記のような悩みを抱えている方は、「腟痙攣(ちつけいれん)」を発症している可能性があります。
腟痙攣とは、どのような病気を指すのでしょうか。また、どのような原因で発症するのでしょうか。
今回は、腟痙攣の原因や症状、具体的な治療法をご紹介します。
セックスで挿入できない場合に考えられる腟痙攣以外の様々な原因についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
腟痙攣とは
腟口周辺を取り囲む骨盤底筋群が、意図せず収縮してしまう状態が「腟痙攣」です。
一般的には「腟痙攣」と呼ばれていますが、医学用語では「腟痙(ワギニスムス)」といいます。
腟痙は性交困難症の一つであり、自身の意志とは関係なく、腟の入り口が反射的にキュッと締まってしまう状態を指します。
世間では「性交中に腟痙攣が起こると男性器が抜けなくなってしまう」といわれていますが、実際には「男性器を腟に挿入できない」「タンポンを使用できない」というように、挿入できない問題を抱えてしまうことが多いようです。
腟痙攣の特徴

自身の意思とは関係なく起こってしまう性交困難症の一つが、腟痙です。
腟痙が起こる原因は、一体何なのでしょうか。また、具体的にはどのような症状を伴うのでしょうか。詳しく解説します。
発症する原因
腟痙が起こる原因は、精神的・心理的な要因が深く関わっていると考えられています。
過去の性行為で不快な思いをしたり、トラウマを抱えていたりすると、体が無意識に緊張し反射的に腟口が収縮してしまうのです。
腟そのものに問題があるわけではなく、「男性器を挿入されることが怖い」「性行為は恥ずかしいこと」といったネガティブな感情が原因となっているケースもみられます。
そのため、腟痙の治療では物理的なアプローチだけでなく、カウンセリングの実施や精神安定剤の処方など、精神的・心理的アプローチが行われることもあります。
主な症状
「性行為での男性器の挿入が困難になる」というのが、腟痙の代表的な症状の一つです。
無理に挿入しようとして、腟前庭部に痛みを感じる「性交痛」の症状に悩まされる方も少なくありません。
また、腟の入り口が強く締まってしまうことで、タンポンの使用が困難になったり、婦人科検診の際に触診が難しくなるケースもあります。
「男性器を挿入したまま抜けなくなる」という都市伝説のような話を聞くことがありますが、診察中に検査している医師の指を非常に強く締め込んでしまい、全く抜ける感じがしなくなることもあるので、あながち嘘ではないかもしれません。
恐怖の強いまま無理に挿入しないことが大事です。
診察方法
腟痙が疑われる場合は、カウンセリング(問診)や触診が行われます。
性行為に関する苦手意識の有無や、タンポンの使用可否、婦人科検診の経験などを聞き取り、精神的・心理的要因が影響していないか確認します。
触診は、腟に指や検査器具を挿入してみて、筋肉の収縮状態を確認するという方法です。
腟全体ではなく、入り口周辺の筋肉にのみ過緊張が見られる、挿入した指や検査器具が抜けないほど強い力で締め付けられる場合は、腟痙だと診断されます。
腟痙攣以外に考えられる原因
「セックスの際に男性器を挿入できない」「男性器を挿入しようとすると痛みを感じる」という場合には、腟痙以外にもいくつかの原因が考えられます。
病気を原因とするケースもあるので、自身が当てはまるかチェックしてみましょう。
潤滑不足
腟が乾燥している状態で男性器を挿入しようとすると、強い痛みを感じることがあります。
しかし、ホルモンバランスの乱れや疲労・ストレス、性行為への苦手意識や緊張などがあると、腟がうるおい不足に陥ります。
性行為を行う際には、性的興奮を高めたり、十分に前戯を行ったりして、腟分泌液の分泌を促すことが大切です。
腟の乾燥感が気になるという方は、潤滑剤(ローション)を使用しても良いでしょう。
近年は保湿成分(ヒアルロン酸やセラミドなど)が含まれる潤滑剤も販売されているので、製品の特徴を見て使い勝手の良いものを選んでください。
なお、閉経前後でうるおい不足が続く場合は、エストロゲンの減少による「閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)」の可能性があります。
市販の潤滑剤だけで改善しないときは、腟への局所的なエストロゲン療法などの選択肢もあるため、GSMの専門的な治療の可能な婦人科へご相談ください。
処女膜強靭症(肥厚性処女膜・処女膜閉鎖症)
腟の入り口にある処女膜が原因で挿入が難しい場合は、「処女膜強靭症」である可能性が高いといえます。
一般的には「処女膜強靭症」と呼ばれていますが、医学用語では「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」といいます。
- 「肥厚性処女膜」とは、処女膜の開口が狭かったり、厚かったりする状態を指します。
- 「処女膜閉鎖症」とは、処女膜の開口が完全に閉じている先天性疾患を指します。
腟への挿入だけでなく、経血の排出が困難であることから、初潮を迎えた際に腹痛や無月経で発覚する方が多いです。
処女膜の状態には個人差がありますが、必要だと判断された場合には「処女膜切開術」と呼ばれる手術が行われます。
手術で改善できる可能性が高いので、肥厚性処女膜や処女膜閉鎖症の疑いがあるという方は、婦人科へご相談ください。
婦人科系の疾患
性交痛が原因で挿入を継続することが難しいという場合には、「婦人科系疾患」の可能性もあります。
性感染症や子宮・卵巣の病気を発症すると、性行為の際に痛みを感じやすくなります。
特に腟の奥(子宮周辺)や下腹部に痛みを感じるという方は、以下の病気を発症していないか注意が必要です。
- 子宮筋腫
- 子宮内膜症
- 卵巣腫瘍
上記の他にも、性感染症(性器クラミジア感染症・性器ヘルペスウイルス感染症・淋菌感染症など)を発症しても、外陰部や下腹部に痛みが生じることがあります。
いずれも自然治癒は期待できず、早期治療を必要とするケースもあるので、気になる症状があれば早急に婦人科を受診してください。
男性側に原因がある場合
挿入が上手くいかない場合、女性側だけでなく男性側に原因がある可能性も考えられます。
疲労やストレス、生活習慣の乱れや性行為に対する不安などが原因で「勃起不全(ED)」になると、中折れしてしまって挿入できないことがあります。
また、女性側が腟痙を発症している場合でも、性行為が上手くいかないことから自信を失ったり、不安を感じたりして、男性側が心因性の勃起不全(ED)を発症するケースもあるのです。
挿入が上手くいかない場合は、どちらか一方を責めたり、どちらか一方が責任を感じたりすることは避けましょう。
パートナーとよく話し合って、お互いの苦しみを理解した上で協力し合うことが大切です。
医療機関に相談して、専門家の力を借りながら問題の解決を目指しましょう。
腟痙攣の治療法

腟痙は自身の意思に反して起こりますが、婦人科で適切な治療を受ければ改善する可能性があります。
最後に、医療機関の受診を検討しているという方に向けて、腟痙の代表的な治療方法をいくつかご紹介します。
ダイレーター治療
性行為での刺激に対して腟の収縮が起こってしまう場合は、「腟ダイレーター(腟拡張器)」を用いた治療も有効です。
表面が滑らかな棒状、または円錐形の器具を使用しますが、細いサイズから徐々に太いサイズに変えていきます。
腟ダイレーターは「無理やり腟を広げる」のではなく、「腟周辺の筋肉の柔軟性を高める」という目的で使用される器具です。
医療機関でのリハビリやトレーニングに使われている器具なので、痛みが苦手だという方でも無理なく練習できるでしょう。
認知行動療法
腟痙が心理的要因に起因する場合は、認知行動療法が有効です。
性に関する正しい知識を習得するために指導が行われたり、不安を解消するためにカウンセリングが行われたりします。
パートナーとの関係性に問題がある場合は、パートナーと一緒にカウンセリングを受けるケースもあります。
ケーゲル体操
腟痙の治療では、「ケーゲル体操」のようなトレーニングも有効です。
骨盤底筋を自分で締めたり、緩めたりすることで、腟が無意識に収縮したときにも、過度な収縮が続かないように自分でコントロールできることを目指します。
① 仰向けの姿勢で横になり、膝を90度に曲げます。
② 腟や肛門を引き締めて5秒間キープします。
③ ゆっくりと息を吐きながら力を抜きます。
④ ②と③を10回程度繰り返します。
上記を1セットとして、1日3回繰り返します。
腟痙攣にお悩みの方は医療法人心鹿会へご相談ください

腟痙自体は命を脅かすような病気ではありませんが、放置していると、性行為を苦痛に感じたり、不妊につながったりする可能性があります。
「セックスで挿入できない」「性交痛に悩んでいる」という方は、医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。
腟痙をはじめとしたデリケートゾーンのトラブルにお悩みの方は、医療法人心鹿会へご相談ください。
ダイレーター治療をはじめとした医療的アプローチで、患者様と一緒に症状の改善を目指します。
当院の医師や看護師は全員女性ですので、まずはお気軽にご相談ください。




