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コラム

2023.12.19

心斎橋院
京都院
芦屋院

産後のセックスに注意!再開のタイミングや痛いと感じる原因、対処法をご紹介します

産後のセックスで感じる痛みの原因と対策法について

夫婦のコミュニケーションの一環として、産後にセックスをしたいと考えているものの、どのタイミングで再開すれば良いのかわからないという方もいます。

また、実際にセックスを再開してみたものの、痛みを感じて怖くなったという方もいるはずです。

産後のセックスで痛みを感じる原因は、一体何なのでしょうか。また、どのような方法で対処すれば良いのでしょうか。

産後のセックスに関するよくある質問と併せて、詳しくご紹介します。

 

 

 

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産後のセックスはいつ再開できる?

出産を終えてからセックスを再開するまでの期間目安は、およそ「1ヶ月」です。

1ヶ月検診の際に、医師が悪露の状態や出産時についた傷の回復状態を確認して、問題がないと判断すれば再開することができます。

産後1ヶ月が経過するまでは、子宮内に雑菌が入り込んで感染症にかかりやすいです。

また、子宮が元の位置に戻ろうと、収縮を繰り返して腹痛を起こしやすい状態にあります。

無理にセックスを行うと女性の体への負担が大きくなるため、産後1ヶ月はセックスを控えてください。

1ヶ月という期間はあくまで目安であって、人によって体の回復速度は異なります。

1ヶ月検診の際に性交渉再開の許可が降りない場合もあるので、医師のアドバイスに従ってください。

 

セックスレスにも繋がる?産後の体の変化

産後の体の変化

産前と産後では、体に様々な変化が現れます。最近体が変化したように感じるという方は、出産に原因があるかチェックしてみましょう。産後に現れやすい体の変化を3つご紹介します。

 

体型が崩れる

お腹の赤ちゃんを育てるために、妊娠中には体重が10kg程度増えます。

体重の増え方には個人差がありますが、大半の方が産後に「バストの形が崩れた」、「体のラインが変わった」と感じるようです。

また、妊娠線ができてしまって、体に自信が持てなくなったという声もよく耳にします。

自身の体に対してコンプレックスを抱えていると、人目が気になり、例えパートナーであっても「見られたくない」という意識からセックスに対して消極的になってしまうでしょう。

体重は授乳や育児により元に戻ることも多いですし、妊娠線は産後自然に薄くなってきます。

子育てで体力を使うため、無理にダイエットを行うと体を壊すリスクが高まります。

無理に体を戻そうとはせずに、しっかりと食事をとりながら健康的に元の体型を目指しましょう。

 

腟が緩くなる

産前と産後で変化を感じやすいのが、「腟」です。

赤ちゃんを生み出す際に、骨盤内臓器を支える「骨盤底筋(こつばんていきん)」がダメージを受けると、靭帯が傷ついて腟が緩んでしまいます。

腟が緩むとセックスに自信が持てなくなるというだけでなく、尿漏れのような深刻な問題も引き起こします。

時間の経過と共に産前に近い状態に戻るケースが多いですが、完全には戻らない方も珍しくありません。

腟の緩みに関しては、「インティマレーザー」や「ウルトラフェミー360」といった医療機器で治療を行えます。

いずれも外科手術を必要としない治療方法ですので、腟の緩みが気になるという方は、クリニックへご相談ください。

 

痛みを感じる

産後には、セックスをすると「痛み」を感じることがあります。

産前と同じようにセックスをしてみたものの、腟が十分に潤わなかったり、出産の際にできた傷に触れたりして痛みを感じたという方も少なくないでしょう。


産前は問題なくできていたのに、産後に急にセックスができなくなると不安を感じるものです。

セックスの際に感じる痛みは産後の体の変化によるものであり、大半は時間の経過と共に解消されます。

無理をすると体がダメージを受けてしまうこともあるので、ゆっくりと体の回復を待ちましょう。

腟の痛みについては、下記記事もご覧ください。

腟の痛みが気になる!痛みの原因や考えられる病気・通院の目安を解説

 

まとめ
  • ・出産に伴う体重増加や妊娠線が現れるといった体の変化から、体型に自信がなくなってしまう。
  • ・出産によって骨盤底筋がダメージを受け、腟が緩むことでセックスに自信が持てなくなる。
  • ・出産の際に腟の周辺に生じた傷が原因で痛みを感じ、セックス自体が苦痛になってしまう。

 

 

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産後のセックスで痛みを感じる主な原因

痛みの主な原因

産後にはいくつか体に変化が現れると説明しましたが、その中でも深刻な問題が「痛み」です。痛みへの対処法を探る前に、具体的な原因を把握しておきましょう。産後のセックスで痛みを感じる主な原因を3つご紹介します。

 

①ホルモンバランスの変化

産後の授乳中はホルモンバランスが変化して、エストロゲンの分泌量が減少します。

エストロゲンは腟を潤す役割を担っているため、分泌量が減少すると腟が乾燥してしまい、男性器を挿入した際に擦れて痛みが生じるのです。

潤いが不足した状態で無理に男性器を挿入すると、腟が傷ついて出血が起こることもあるでしょう。

ホルモンバランスは、出産を終えたからといってすぐに戻るわけではありません。

授乳中にも低エストロゲン状態が続き、潤い不足による痛みが生じやすくなります。

授乳の有無に関わらず、産後半年程度経てば潤いが戻るといわれていますが、個人差があるため、潤いが不足して痛みを感じた場合は無理にセックスを続けずに中断してください。

 

②会陰切開・裂傷が完治していない

出産の際に赤ちゃんの頭を出すために、腟と肛門の間にある「会陰(えいん)」と呼ばれる皮膚を切開します。

場合によっては、切開を行う前に裂傷してしまうこともあるでしょう。

会陰切開や裂傷の傷は産後1ヶ月程度で治るといわれていますが、回復速度には個人差があるため、1ヶ月を経過しても痛みが残る方もいます。


セックスの際に会陰部に痛みを感じる場合、分娩時の傷の影響が考えられます。

1ヶ月検診で医師に「傷は綺麗に治っている」といわれても、筋肉や皮膚の傷跡で痛みが生じている場合があります。

そのような場合でも有効な治療がありますので、クリニックへご相談ください。

 

③出産経験による不安や緊張

出産の際に感じる痛みの度合いは人によって異なりますが、中には一生忘れられないような苦しみを経験した方もいるでしょう。

あまりの苦痛を経験してしまうと、セックスの際に出産時の経験を思い出して、強いストレスを感じることがあります。


不安を感じて緊張状態に陥ると、性の快楽中枢がうまく機能できなくて、腟の潤いが不足してしまいます。

婦人科の検診で問題がなかったとしても、心の問題で腟の潤い不足が起こり、セックスで痛みを感じることがあるのです。

心理的な問題が原因で潤い不足が起こっていると感じた場合は、パートナーとよく話し合い、初めてセックスを経験したときのように焦らずゆっくりと再開しましょう。

 

産後のセックスで痛みを感じる場合の対処法

痛みへの対処法

痛みを感じる原因として最も多いケースが、「腟の潤い不足」です。産後のセックスで感じる痛みへの具体的な対処法を3つご紹介します。

 

①ホルモンバランスを整える

乱れたホルモンバランスを整えるには、以下の方法が有効です。

 

・栄養バランスの整った食事
・質の良い睡眠
・ストレスケア

 

しかし、赤ちゃんの面倒を見ながら上記を意識した生活を送ることは難しいものです。

完璧に実行する必要はないので、できることから少しずつ生活に取り入れてみましょう。

例えば、食事に関しては「亜鉛」や「ビタミンE」を積極的に摂取します。

牡蠣や大豆に含まれる「亜鉛」や、アーモンドやアボカドに含まれる「ビタミンE」は、ホルモンの分泌に関わる栄養素です。


普段の食事に取り入れたり、サプリを飲んだりして、上手に摂取してください。

睡眠に関しては、赤ちゃんが眠ったタイミングに合わせてママも一緒に眠ると良いでしょう。


短時間であっても、少しずつ睡眠を取ることで疲れが取れます。

ストレスが溜まっていると感じたら、温かい飲み物を飲んだり、湯舟に浸かったりして体を温めてください。

体を温めることで体の緊張状態がほぐれて、リラックス効果が得られます。

 

②潤いを足せるアイテムを使用する

腟に直接潤いを足す方法として、「ローション」や「ジェル」を使用することも有効です。

ローション付きのコンドームやジェルといった潤滑剤を使用してスムーズに挿入が行えると、セックス時に感じる痛みを緩和できるだけでなく、ネガティブな気持ちを払拭できることがあります。

セックスに対してポジティブな気持ちが生まれると、ホルモンの働きが正常になることもあるので、潤い不足だと感じたら潤滑剤の使用を検討してみても良いでしょう。

しかし、潤滑剤を使用すれば一時的に潤いを足すことはできますが、腟が乾いた状態が長く続く場合には根本的な治療が必要です。

女性性機能について相談できるクリニックを受診して、腟の乾燥を解消できる治療を受けましょう。

 

③クリニックを受診する

産後の体の回復速度には個人差がありますが、1ヶ月経過してもセックスで痛みを感じるという方は、体に何らかのトラブルが起こっている可能性があります。

骨盤や腟内、ホルモンバランスに異常がないか、一度クリニックで診てもらうと良いでしょう。

定期検診で体の健康状態をチェックしてもらえますが、セックス時の痛みまで調べてもらうことは難しいです。

潤滑剤を使用してもセックスで痛みを感じるという方は、女性性機能に関する診察が行えるクリニックに相談してください。

痛みの原因が判明すれば、根本的な問題の解決が目指せます。

特に頻繁に痛みを感じるという方や、我慢できない程の痛みを感じるという方は、早急にクリニックを受診することをおすすめします。

 

まとめ
  • ・栄養のある食事や質の良い睡眠によって、ホルモンバランスを整えることが大切。
  • ・ローションやジェルを使用して、セックスの際に感じる痛みを緩和する。
  • ・セックスに関する悩みは、産婦人科ではなく女性性機能を専門とするクリニックに相談する。

 

 

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産後のセックスに関するよくある質問

不安を感じていて、なかなかセックスを再開できないという方もいるでしょう。産後のセックスでは、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

 

産後のセックスで注意した方が良いことは?

出産時に負った傷が完治していないうちにセックスをすると、感染症にかかる可能性があります。

セックスを行う場合は、特に男性は衛生面に十分に注意してください。

まだ月経が再開していない場合でも、どのタイミングで排卵が起こるかわかりません。

すぐに次のお子さんを望んでいない方は、妊娠の可能性を考えてしっかりと避妊を行いましょう。

 

会陰部の傷が裂けることはある?

会陰部の傷が完全に開いてしまう可能性は低いですが、完治していない場合は、傷口が開いて血が滲んだり痛みを感じたりします。

出血が起こったり痛みを感じたりした場合は、すぐにセックスを中断してください。

傷口の状態がわからずに不安を感じる方は、クリニックに相談することをおすすめします。

 

産後に適した避妊方法は?

体が完全に回復していない状態で産後にセックスを行う場合は、コンドームを用いた避妊がおすすめです。

授乳していない方は、産後3週間が経過すればピルを使用できます。

ピルは母乳の量に影響を及ぼすため、分泌量を減らしたくない場合には、授乳中はピルの使用は避けてIUDのような他の方法を検討しましょう。

自己判断が難しい場合には、医師に相談してから使用を開始すると良いでしょう。

 

産後のセックスで痛みを感じたらクリニックへ相談しましょう

産後のセックスで感じる痛みについてのまとめ

夫婦のコミュニケーションの一環として、産後にセックスを再開することは大切ですが、無理をするとセックス自体が苦痛になってしまいます。

産後は体とよく相談しながら、無理なくセックスを再開させましょう。

産後しばらく経っても痛みを感じる、痛みが苦痛で積極的になれないという方は、医療法人心鹿会へご相談ください。

女性性機能の診断・治療を得意とする医師が、患者様と一緒にセックスに関するトラブルの解消を目指します。

 

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この記事の監修者
池田 裕美枝

京都大学医学部卒業。総合内科研修後、産婦人科に転向。現在、海と空クリニック京都駅前院の院長として専門的診療に従事。また、神戸市立医療センター中央市民病院女性外来等を担当しつつ京都大学大学院医学研究科にて、女性の社会的孤立や月経前症候群による社会的インパクトなどを研究している。