interview

インタビュー

INTERVIEW

私たちは治すプロとして
知識面・技術面からサポート
いたします。

DOCTOR二宮 典子

医師を志したきっかけや、泌尿器科・婦人科を選ばれた理由を教えてください。

10年前には想像もできなかった景色

医学部5回生の臨床実習、最初にまわったのが泌尿器科でした。正直なところ、当時は「泌尿器科の手術を極めたらかっこいいな」くらいの軽い気持ちでした。腎移植とか、前立腺の内視鏡手術とか、技術的に高度な手術に魅力を感じていたんです。女性に特化するなんて、これっぽっちも考えていませんでした。

女性医師だから女性を助けないといけない、なんて意識も全然なかった。むしろ「性別関係なく、いい医者になればいい」と思っていました。

転機は泌尿器科医になって3年目です。自分の外来を持たせてもらえるようになってから。男性医師の外来ならせいぜい2割が女性患者さんだけど、私の外来は半分以上が女性患者さんになっていきました。でも、泌尿器科で習ってきたことは男性泌尿器科疾患の対応や手術ばかり。女性の尿漏れや頻尿、腟の不快感を訴える方々に、私はまともな治療を提供できませんでした。薬を出しても改善しない、検査しても異常が出ない、「様子を見ましょう」としか言えない自分がいました。

男性医師なら「女のことはわからない」で逃げられたかもしれません。でも私には逃げ場がなかった。わからないのは、ちゃんと考えていないからで、そこまで医学が及んでいないからだと痛感しました。学校で病気を隅々まで習ったつもりでいても、実際の現場では自分の力が全然及ばない。

そこから女性の泌尿器疾患について必死に勉強しました。横浜で女性医療をしている女性泌尿器科の関口由紀先生の講演を聞き、直接連絡をして見学に行かせていただき、関口先生と共に海外の学会で情報収集するようになりました。当時、ちょうどGSMという概念が出始めた頃でした。これを知った時は「この概念は自分の診察を変える!」と確信しました。日本ではまだ認知されていない病態でしたが、欧米では確立された治療法がある。

10年前の自分には想像もできなかった景色です。手術を極めてかっこいい外科医になる夢は叶わなかったけど、今の道を選んで後悔はありません。

これまでの診療の中で、特に印象に残っている患者さんとのエピソードはありますか?

エビデンスを超えた、患者さんの幸せな変化

介護50代の女性がいます。初診の問診票に「腟から何か出ている」とだけ書かれていたので、開口一番、「何が出てるのか教えて?」と聞いたら、大爆笑されました。「それを診てもらいに来たんやん!」って。診察すると腟壁全体が下垂して開口部が広がっている状態でした。常に股に何か挟まっているような不快感があるそうです。この方、とにかく声が大きくて元気いっぱい。実はこの大きな声も腹圧をかけるので下垂を悪化させる要因の一つなんですが、そんなこと言っても性格は変えられませんから、治療で対応することにしました。インティマレーザーを開始して、1回目から「先生、なんか違う!締まってる感じがする!」と。3回、4回と続けていくうちに、見た目も機能もかなり改善しました。面白いのはここからで、この方「腟の調子がよくなってから、顔も髪もツヤツヤになって若返った」と言うんです。医学的にそんなエビデンスはありません。でも確かに来院するたびに肌つやがよくなっていく。プラセボ効果なのか、自信がついて生活習慣が変わったのか。正直わかりませんが、本人が幸せそうなので「そうかもしれませんね」と答えています。実際、この患者さんの紹介でもう10人以上は来院されてます。

性交痛や挿入障害で受診される20〜30代の患者さんも多くて、おひとりおひとり大事な思い出があるんですが。性交痛や挿入障害って、内診検査が必須です。当たり前です。でも、挿入障害で受診された30代の女性でおひとりだけ、腟ダイレーターの挿入方法とシリンジ法の人工授精方法をお伝えした方に関しては、私が内診することなく妊娠してしまった方もいます。とても喜ばれて、出産後にかわいい赤ちゃんと連れて報告にきてくださいました!

女性医師として、診療現場で感じるやりがいや課題にはどんなものがありますか?

悩んでいた症状がその日に改善してあげれる、というのが喜び

シンプルに、内診で他のクリニックで痛くて検査ができなかったという女性に、今までで一番痛く感じなかった、これなら内診できそう、と言ってもらえるときです。あとは、疾患関連なら、GSMと性交痛はまだまだ診察・治療ができる医療機関も少ないので、ずっと悩んでいた症状が受診したその日に処置で改善してあげれる、というのが喜びでしかないです。

泌尿器科・婦人科の分野で、近年注目されている医療技術や治療法についてどう感じていますか?

腕がある治療家は自分の専門外の手技はしない

おそらく、保険外の治療のことですよね。レーザーや高周波、体外衝撃波など、新しい治療機器はどんどん進化しています。実際に当院で使用している機器の効果は、すべての人ではないですが、診断と適応が合っていればかなり優秀な機器だと思います。でも、これらの機器は手術と一緒で、使う人が病態を理解していないと全く意味がない、とも思います。当院では、私が治療に有効だと思う機器は取り入れることにしているので、他のクリニックよりも機器はたくさんある方だと思います。勉強をちゃんとしている医師が経営していクリニックは、色々な治療をしっかり取り入れていると思います。当院で治療が限界だと思えば、他の治療法をもっている先生にご紹介することもあります。

一番問題なのは「フェムテック」という言葉に乗っかった、医療免許を持たない人たちの施設。骨盤底筋を鍛える椅子に座るだけで尿漏れが治るとか、腟のHIFUで若返るとか。こういう施設は広告規制がないから言いたい放題。「98%の方が改善!」とか「医師も認める最新技術」とか。医師が認めてたら医療機関でやってますって。効果がなくても「個人差があります」で逃げる。責任なんて取りません。医師免許を持って、ちゃんとした医療機器を使っても、そんな簡単に治るものばかりではありません。腟の萎縮一つとっても、ホルモンの状態、炎症の有無、感染症の鑑別、骨盤底筋の評価、その他も含め、全身をちゃんと診て、薬物療法、理学療法、レーザー治療などを組み合わせて、やっと改善していくものです。

もちろん、医師免許なくても真面目に治療している治療家の方もいます。整体師さんとか鍼灸師さんとか。でも腕がある治療家は自分の専門外の手技はしません、そして必要なら医療機関への受診を勧めてくれます。

初診の患者さんが来院されたとき、どんなことを一番大切にされていますか?

その症状で困る前の自分の体のイメージを思い出してもらう

一番大切にしているのは、その症状で困る前の自分の体のイメージを思い出してもらうこと。または治療がうまくいって、自分の理想としているイメージをリアルに想像してもらうことです。だから大抵、初診では「いつから症状があるか」ではなく「いつまでは問題なかったか」という質問をします。「正常だった頃の身体感覚」を思い出すことが、実は治療のゴール設定にとても大事で、患者さん自身が漠然とした不調ではなく、具体的な機能回復をイメージできるようになります。

(言われたことがある人もいると思いますが、)私は患者さんに「治していいですか?」ってよく聞いてます。一見奇妙に聞こえるかもしれませんが、要は、あなたは治す準備はできてますか?ってことが言いたいわけです。興味深いことに、治る準備ができていない患者さんは、無意識に治らないための言い訳ばかりしているんですよ。長期間の症状がある人は、「今までどの薬も効果がなかったから」「もう歳だから」という答えをされることも多く、「症状がある自分」というアイデンティティから抜け出すことへの無意識の抵抗を示されます。「仕事が忙しくて通院は難しい」「お金がかかるなら主人に相談しないと」といった外的要因を挙げる人も多いです。医学的には治療可能な状態であっても、心理的な準備ができていなければ治療効果は限定的になってしまって当然です。

私たちの仕事は、一にも二にも、治すことです。治すプロですから当然なんですが。でも、治っていくプロセスは絶対に患者さんが主体です。長期間悩んでいたり、難治性と言われたりした患者さんにこそ、自分のこととして症状を鮮明に理解してもらう必要があります。その上で、私たちを信頼していただければ、私たちは治すプロとして知識面・技術面からサポートができるんです。