interview

インタビュー

INTERVIEW

女性のために役に立ちたい。
患者さんの内面の悩みにも
一緒に向き合いたい。

DOCTOR宮崎 綾子

医師を志したきっかけや、泌尿器科・婦人科を選ばれた理由を教えてください。

安心できるお医者さんになりたい

幼少時、風邪をひく度に受診していた「おじいちゃん先生」に憧れていました。その先生は、いつも親より先に幼い私から話を聞いてくださり、診察の最後にガラスの瓶に入った飴をくれたんです。(先生みたいな優しくて安心できるお医者さんになりたい。)、と思い続けていました。

医師になりたての頃は、色々な科で研修しました。手を動かすことが好きだったので、脳外科や形成外科を専門にしようかとも考えましたが、何か女性のために役に立ちたいという思いもありました。私自身、生理痛やPMSがひどく、学生の頃、保健室で休んだ経験もあり、患者さんの内面の悩みにも一緒に向き合いたいと思いました。

もう一つ、決め手となったのは、腹腔鏡手術に立ち会わせてもらったことでした。母が若い時に卵巣の病気で手術をしており、おなかに傷があったのです。この技術がその頃にあったなら、開腹して大きく切らなくて良かったのにと思うと同時に、本当にすごい技術だなと思いました。それで、腹腔鏡の技術を身につけたいと思い婦人科を専門にし、近畿大学の産婦人科に入局しました。

最近は、婦人科診療の範囲をこえて包括的に女性診療を行いたく、女性泌尿器科の分野にも興味をもって診療を行っています。

これまでの診療の中で、特に印象に残っている患者さんとのエピソードはありますか?

研修医時代に学んだ「受け入れられる言葉」の重み

研修医時代、糖尿病の入院患者さんを担当したことがありました。食事栄養指導とインスリン治療をうまくコントロールできるようにするための、「教育入院」中の患者さんたちでした。その患者さんの一人に、親しみやすくよく冗談を言って笑わせてくださる方がいらっしゃいました。いつも新人の私を励ましてくださっていたのですが、隠れて間食をなさっていました。ほかの教育入院の糖尿病患者さんを飲食に誘われるんです。

そのことをなんとかしたいと思い「ほかの患者さんに悪いお手本は見せないでくださいよ」とあえて冗談っぽく言ったら、いつもは明るいムードメーカー的なその方が、とても憤慨されたんです。自分が必要だと考えて言ったことでも、こんなに人を怒らせたり不快な思いをさせることがあるんだと痛感しました。

その方とは最後には仲直りできたのですが、それ以来は慎重に言葉を選ぶようになりました。「いかにその患者さんにとって受け入れてもらえる言葉をかけるかが、治療をしていく上ですごく大事だな」と、今でも思い続けながら診療にあたっています。

女性医師として、診療現場で感じるやりがいや課題にはどんなものがありますか?

経験を生かし、患者さんごとに寄り添った診療

患者さんからは、「男性医師には話にくい内容も安心して相談できる」と満足して頂けているように感じます。より詳細に患者さんの情報を知ることは、患者さんごとに寄り添った診療を進めていくうえでとても大切なことなんです。同じ女性として、女性特有の疾患や悩みに対して共感できるところが多く、自身が女性として各ライフステージを経験してきたことも診療に生かされていると思います。

泌尿器科・婦人科の分野で、近年注目されている医療技術や治療法についてどう感じていますか?

その患者さんにあった治療かどうかが重要

新しい医療技術や治療法は、”保険がきかない”ことも多いですが、”効果がない”という意味ではありません。海外では承認され一般的に使われていても、日本の保険制度では国が認めた限られた治療しか行えないという側面もあります。医療には”科学的な根拠”と同じくらい、”その患者さんにあうかどうか”ということも重要だと思っています。

エビデンスの蓄積が途中であっても、保険診療の範囲では改善されず「今つらい、何とかしたい」「既存の治療法では改善しない」方への希望となりうる手段であり、実際当院でも実施して多くの患者さんに効果を実感していただいています。

初診の患者さんが来院されたとき、どんなことを一番大切にされていますか?

患者さんの様子に合わせた、寄り添いの言葉選び。

診察室のドアが開いた瞬間から、患者さんの姿勢や表情、顔色、目線などを観察し、お話をされる声の調子やトーンなどにも注意して、どういう感じでお話ししたら伝わりやすいかを考えます。患者さんが緊張されているならトーンを落としてゆっくりお話しし、逆に「どんな治療でもやりたいんです」というような方には、一度にいろんな選択肢を提供することもあります。

もし、患者さんが体調不良をご家庭や会社で理解してもらえず、ストレスをためていらっしゃれば、「何でもここで話していいんですよ」と受け皿になりたいと思います。また、治療をして症状が改善していけば、表情も明るくなりやわらかい印象に変わってこられるので、治療の段階に合わせて話し方を変えるようにしていますね。

ご自身でホームケアを頑張って治療を続けている方には、「頑張っていますね」と、改善していることをきちんと伝えることも大事にしています。