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2024.03.07

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おりものが茶色だと危険?生理や妊娠、病気などの原因について徹底解説

普段何気なく目にしているおりものですが、色やにおいに変化があると不安になります。

茶色いおりものを見かけた場合は、放置しても良いのでしょうか。

今回は、おりものが茶色になる原因や考えられる病気、生理や妊娠との関係について解説します。

茶色いおりものが続いているという方は、ぜひご一読ください。

目次
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おりものが茶色いのは「不正出血」が原因

基本的に健康なおりものの色は白色やクリーム色、透明であり、茶色いおりものが出ることはありません。

茶色いおりものが出る場合は、体内で「不正出血」が起こっていると考えられます。

不正出血の原因は様々で、放置しても問題ないケースもあれば、早急にしかるべき対処が必要であるケースもあります。

まずは、不正出血の特徴や、おりものが茶色になる理由について解説します。

不正出血とは?

生理とは関係なく、子宮や卵巣、卵管や腟から出血が起こることを「不正出血(不正性器出血)」といいます。

不正出血が起こる原因は、ホルモンバランスの乱れで起こる「機能性出血」と、病気が原因で起こる「器質性出血」に分かれます。

出血が続く日数や出血量だけでは原因の特定は難しく、「出血量が多いから危険」、「出血量が少ないから安心」だと一概にはいえません。

ほんの数日続いた少量の出血から深刻な病気が見つかることもあるため、不正出血を確認したら、放置せずに原因の特定を行う必要があります。

不正出血でおりものが茶色になる理由

出血というと「赤い鮮血」を思い浮かべるものですが、体内で出血が起こった場合、体外に排出されるまでに時間がかかると、血が酸化して茶色になります。

特に出血量が少ない場合は酸化が進みやすく、体外に排出される頃には茶色になっていることがほとんどです。

酸化した血がおりものに混ざることから、「不正出血が起こるとおりものが茶色になる」といわれているのです。

茶色いおりものからわかることは、「体内で出血が起こっている」ということだけであり、原因や出血している部位を特定することはできません。

茶色いおりものが続いているという方は、婦人科で原因を特定してもらいましょう。

 

おりものの量が増えたという方は、下記ページもご覧ください。

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おりものが茶色になる原因

おりものが茶色になったときに考えられる原因

茶色いおりものは不正出血が原因だとご説明しましたが、具体的にはどのようなときに不正出血が起こるのでしょうか。詳しく解説します。

①生理前後

剥がれた子宮内膜が少しずつ排出されるのが、生理です。

いきなり子宮内膜が全てきれいに剥がれ落ちるということはなく、生理2~3日頃に経血量がピークを迎えるため、その前後には少量ずつ経血が排出されることになります。

少量の血液は酸化によって排出されるまでに茶色くなるため、生理前後に茶色いおりものが出ることは珍しくありません。

生理前後であれば、茶色いおりものが出たとしても気にすることはないでしょう。

②着床出血

妊娠の可能性がある方は、「着床出血」によって茶色いおりものが出ることがあります。

着床出血とは、その名の通り受精卵が着床した際に起こる微量の出血で、妊娠4週頃、つまり生理が始まる頃に起こるといわれています。

茶色いおりもの以外にも、下腹部に軽い痛みを感じた場合は着床出血を疑いましょう。

生理予定日を1週間過ぎても生理が始まらないときには、妊娠検査薬を使用するか婦人科を受診して、妊娠していないか調べてください。

③排卵出血

妊娠の可能性がない方でも、排卵期には茶色いおりものが出ることがあります。

排卵時には、破れた卵胞が腹膜を刺激して「排卵出血」が起こったり、「排卵痛」と呼ばれる痛みが生じたりすることがあります。

卵胞が破れる際に生じた微量の出血がおりものに混ざって排出されるため、排卵期には茶色いおりものが出ることがあるのです。

大量に出血することはなく、出血が続いたとしても2~3日程度で治まるでしょう。

生理のタイミングでもないのに茶色のおりものや微量の赤い血が出たという場合には、排卵出血を疑いましょう。

④流産・切迫流産

茶色いおりものが出ても問題ないケースがある一方で、体に大きな変化が起こっている場合の原因のひとつが「流産・切迫流産」です。

妊娠が成立したにもかかわらず、何らかの原因で赤ちゃんが亡くなってしまうことを流産といいます。

また、赤ちゃんは胎内に残っているものの、流産の一歩手前にある状態を切迫流産といいます。

妊娠初期にはホルモンバランスが乱れやすいため、茶色いおりものが出たり、少量の出血が起こったりすることは珍しくありません。

しかし、出血量が多い場合や、茶色いおりものが大量に出る場合は、体に何らかの異常が起こっているサインです

流産や切迫流産の可能性もあるので、妊娠の診断がついている状態で不正出血が起こった場合は、かかりつけの婦人科の指示に従ってください。

⑤子宮外妊娠

受精卵が子宮へ着床することで妊娠が成立しますが、子宮以外の部位に着床してしまうことを「子宮外妊娠(異所性妊娠)」といいます。

特に卵管へ着床してしまうことが多く、そのまま胎芽が成長すると卵管が破裂してしまう恐れがあるため、妊娠を継続することはできません。

妊娠検査薬で陽性反応が出たものの、妊娠週数が経過しても胎嚢が確認できない場合には、子宮外妊娠の可能性があります。

茶色いおりものが出るというだけでなく、骨盤や頸部に痛みが生じているという場合は、子宮外妊娠を疑いましょう。

⑥ホルモンバランスの変化

茶色いおりものが出る原因は不正出血だとお伝えしましたが、不正出血全体のおよそ30%程度がホルモンバランスの変化によって起こる「機能性出血」だといわれています。

ホルモンバランスが乱れる原因は様々で、主に疲労やストレス、過度のダイエットや妊娠が挙げられます。

特に、ホルモンバランスが不安定になりやすい、思春期や更年期の女性、ピルを服用している方や妊娠中の方は、不正出血が起こりやすいといえるでしょう

婦人科を受診しても不正出血の原因が見つからないという方は、生活習慣を見直して、ホルモンバランスの乱れに注意しましょう。

まとめ

  • 生理前後や排卵期には、体に異常がなくとも茶色いおりものが出ることがある。
  • おりものが茶色いだけでなく出血が見られる場合は、流産や切迫流産、子宮外妊娠の疑いがある。
  • ストレスや過度のダイエットなど、ホルモンバランスの乱れでも茶色いおりものが出ることがある。
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おりものが茶色になる病気

おりものが変化する病気

女性の体は、健康な状態であっても不正出血が起こることもありますが、ときには深刻な病気が原因で不正出血が起こることもあります。おりものが茶色になったときに、原因として考えられる病気をいくつかご紹介します。

子宮体がん・子宮頸がん

下記の症状が現れている場合は、「子宮体がん」や「子宮頚がん」の疑いがあります。

・不正出血
・下腹部痛
・腰痛
・血尿
・性交痛
・排尿痛

子宮内膜から発生するがんが「子宮体がん」であり、40代から増え始め、閉経後の50〜60代の女性に最も多くみられます。

子宮体がんは初期には不正出血が起こり、茶色や黄色のおりものが出ることがあります。

また、おりものの色の変化以外にも、下腹部痛や腰痛が起こることもあるでしょう。

子宮の入り口付近にある子宮頸部にできるがんが「子宮頚がん」であり、20代後半から増え始め、40代の女性に最も多くみられます。

性交時に出血したり、茶色いおりものが増えたりしている場合は症状が進行しているサインなので、早急に婦人科を受診してください。

子宮筋腫

下記の症状が現れている場合は、「子宮筋腫」の疑いがあります。

・不正出血
・生理が終わらない
・経血の量が増える
・貧血
・強い生理痛
・腰痛

子宮の筋肉にできる良性の腫瘍が「子宮筋腫」です。

成人女性の4人に1人はあるといわれている腫瘍で、悪性腫瘍のがんとは異なり、他の臓器に転移したり、命を脅かしたりするようなことはありません。

しかし、発生した場所や大きさ、数によっては、体に悪い影響をもたらします。

月経不順が起こる、痛みが生じるといった症状が現れる他に、場合によっては不妊に繋がることもあるので、子宮筋腫があるという方は、婦人科で定期的に検診を受けて問題がないかチェックしてもらってください。

子宮頸管ポリープ

下記の症状が現れている場合は、「子宮頸管ポリープ」の疑いがあります。

・不正出血
・おりものの量が増える
・性交時に毎回、痛みを伴わない出血が起こる

子宮頸部の組織が増殖し、キノコのような形を成す良性の腫瘍が「子宮頸管ポリープ」です。

妊娠経験のある30~50代の女性に多くみられる腫瘍で、それ自体に痛みはありませんが、出血しやすいという特徴があります。

性交時や激しい運動を行った際など、ポリープが刺激されると出血が起こって茶色いおりものが出ます。

子宮頸管ではなく子宮内膜にポリープがある場合は、受精卵の着床に影響する部位なので、ポリープがあると不妊に繋がる可能性があるという点に注意が必要です。

性器クラミジア感染症

下記の症状が現れている場合は、「性器クラミジア感染症」の疑いがあります。

・不正出血
・水っぽいおりものが増える
・臭いがきついおりものが出る
・下腹部痛
・性交痛
・発熱
・右腰背部痛

「クラミジア・トラコマチス」という菌に感染することで発症する性感染症が、「性器クラミジア感染症」です。

不妊や子宮外妊娠、流産や早産の原因にもなるため、発症した場合は早急に治療を受ける必要があります。

無症状であるケースが多く、発症した女性の8割は症状が現れないといわれています。

そのため、治療を受けることも大切ですが、そもそも感染しないように注意することが大切です。

性行為を行う際には、コンドームを使用して感染対策を行いましょう。

おりものに関する病気については、下記ページもご覧ください。

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おりものが茶色い場合の受診の目安

おりものの変化で受診する目安

以下の条件にあてはまる方は、放置せずにすぐに婦人科を受診してください。

・出血が続いている
・出血量が増えている
・腰痛や腹痛など、痛みがある
・排尿や性行為を行うと痛みを感じる
・妊娠中、または妊娠の可能性がある

生理でないにもかかわらず、1週間以上赤い血が出ている場合や、出血量が増えている場合は、早急に婦人科を受診しましょう。

また、茶色いおりものが出るだけでなく、腰痛や腹痛といった痛みを伴う場合や、排尿時や性交時といった特定のタイミングで痛みを感じる場合は、病気を発症している可能性があります。

痛みの間隔や度合いに関係なく、放置せずに医師に相談してください。

妊娠中や妊娠の可能性がある場合は、迅速な対応が必要となります。

流産や切迫早産など、母体だけでなく胎児にとって悪い影響を及ぼす可能性があるため、茶色いおりものを見かけたら、ただちに産婦人科を受診しましょう。

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おりものが茶色い場合の対処方法

茶色いおりものが出ると驚いてしまい、どうしたら良いのかわからずに不安な気持ちを抱えてしまう方が少なくありません。茶色いおりものが出た場合の対処方法を、いくつかご紹介します。

おりものの色以外の症状をチェックする

茶色いおりものが出たとしても問題がないケースもあるので、まずは症状をよくチェックしましょう。

おりもの以外にも、痛みが出ていたり、赤い出血がみられたりした場合は婦人科を受診します。

スムーズに診察を進めるためにも、おりものの量やにおい、痛みの有無など、気付いたことを覚えておくと良いでしょう。

おりものの量が多くてショーツが汚れるという場合は、おりものシートやナプキンを使用して対処してください。

ストレスを溜め過ぎない

ホルモンバランスが乱れると、おりものの色が変わったり、量が増えたりすることがあります。

また、ストレスが溜まると、おりものが変化するだけでなく不正出血が起こることもあります。

生理周期が乱れて茶色いおりものが出たとしても、生理の影響なのか否かわからなくなってしまうので、ストレスを解消してホルモンバランスを整えましょう。

普段から体調を崩しやすいという方は、特に注意してください。

生活習慣の乱れに注意

生活習慣が乱れていると、腟内で雑菌が繁殖しやすくなります。

茶色いおりものが出るだけでなく、免疫機能が低下して風邪を引きやすくなったり、体が疲れやすくなったりします。

ストレス以外にも、過度なダイエットを行うとホルモンバランスが乱れる原因となるので、しっかりと栄養を補給することを意識してください。

食事や睡眠を規則正しくとって、健康的な生活を心がけましょう。

茶色いおりものに関するお悩みは医療法人心鹿会ここしかかいへご相談ください

おりものに関する記事のまとめ

生理前後や排卵出血であれば、茶色いおりものが出ても過剰に心配する必要はありません。

しかし、赤い血が出ていたり、痛みが出ていたりする場合は、何らかの病気を発症している可能性があります

特に、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方は、深刻な事態に繋がることもあるので、茶色いおりものを放置せずに早急にクリニックを受診しましょう。

おりものに関するお悩みは、医療法人心鹿会ここしかかいへご相談ください。

女性医師が患者様のデリケートな問題に寄り添い、適切な治療方法をご提案します。

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この記事の監修者
二宮 典子

医師。泌尿器科専門医・指導医、漢方専門医、性機能専門医。
2015年から女性医療に特化したクリニックの院長として泌尿器科・婦人科・性機能に関する専門的診療に従事。医療者向けの講演会や一般向けのYouTubeなど幅広い活動を行う。2021年にNINOMIYA LADIES CLINICを開院し、院長就任。自院では、医療者にしかできない誠実で安全な美容を提供するべく、アートメイク・女性器治療などにも注力する。

この記事の監修者
鎌田 良子

兵庫医大医学部卒業。泌尿器科専門医、そして腹腔鏡手術・内視鏡手術のエキスパートとして執刀医または後輩の指導育成にあたる。プライベートではトライアスロンでもっとも名のあるアイアンマン70.3世界選手権出場、完走を果たす。