
トイレに行ったり、性行為を行ったりした際に、おりもののにおいが気になることがあります。
普段と違って臭いと感じると、病気ではないかと心配になる方もいるでしょう。
おりもののにおいが変化した場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。また、放置しても良いものなのでしょうか。
今回は、おりもののにおいが生臭いと感じる原因について解説します。
考えられる病気や放置するリスク、注意すべき生活習慣もご紹介しますので、においが気になるという方はぜひご一読ください。

正常なおりものの特徴

子宮や腟から分泌されるおりもの(帯下)は、腟を保湿したり、雑菌の繁殖を防いだりする役割を持ちます。
においや量、色合いには個人差がありますが、一般的に正常な状態のおりものは、以下のような特徴を持つといわれています。
- におい:無臭、もしくはやや酸っぱい。
- 量:下着に少し付着する程度。(おりものシートでカバーできる程度)
- 色:透明、もしくは乳白色。(乾燥するとクリーム色や黄色に変化することもあります。
正常なおりもののにおいが酸っぱいと感じるのは、酸性に保つことで雑菌の繁殖を防いでいるためです。
ヨーグルトのようなやや酸っぱいにおいであれば問題ないといえますが、鼻を突くような生臭いにおいを感じたら、体に何らかの異常が起こっている可能性があります。
おりものが生臭い主な原因は「細菌性腟症」
おりもののにおいが変化する理由には様々な原因が考えられますが、生臭い場合には「細菌性腟症」を発症している可能性が高いといえます。
細菌性腟症とは、どのような病気なのでしょうか。
詳しく解説します。
細菌性腟症とは
腟内で雑菌が過剰に増殖することで発症する疾患が、「細菌性腟症(さいきんせいちつしょう)」です。
通常、健康な状態では、乳酸菌(ラクトバチルス菌)が腟内環境を整えていますが、何らかの原因で雑菌が入り込んで増殖すると、腟内のバランスが崩れて特徴的な魚臭い悪臭を放ちます。
細菌性腟症を発症する理由には様々な原因が考えられますが、性行為の経験がなくとも、疲労やストレス、睡眠不足などで体の免疫力が低下すると、発症しやすくなるといわれています。
また、腟内を洗浄すると善玉菌である乳酸菌まで洗い流されてしまい、かえって細菌性腟症を引き起こしやすくなります。
過剰に腟内を洗浄しないように注意してください。
細菌性腟症の症状
細菌性腟症を発症すると、悪臭を放つおりものが出るという特徴があります。
「魚が腐ったようなにおい」と例えられることが多く、おりものが臭いと感じます。
炎症を起こすわけではないため、かゆみや痛みといった他の症状が現れることはありません。
しかし、細菌性腟症を発症するということは、腟内のバランスが崩れて免疫力が低下しているということです。
性器クラミジア感染症や淋菌感染症など、感染症にかかるリスクが高まっている状態にあるので、発症に気付いたら医療機関を受診することをおすすめします。
細菌性腟症の治療方法
医療機関では初めに検査を行い、おりもののにおいが変化した原因が「細菌性腟症」にあるか調べます。
細菌性腟症を発症している場合は、以下の2種類の方法で治療を行います。
- 局所療法:腟剤(抗菌薬)を腟内へ挿入します。
- 内服療法:飲み薬(抗菌薬)を服用します。
細菌性腟症の治療では、乳酸菌には作用しない抗菌薬が用いられる方法が一般的です。
腟剤と飲み薬の2つの方法がありますが、いずれも治療開始から数日程度で症状の改善が期待できるでしょう。
生臭いおりものは放置しても良い?
おりものが生臭く変化した原因が「細菌性腟症」にある場合は、自然治癒する可能性があります。
しかし、一度治っても再発しやすいため、医療機関で適切な治療を受けた上で、検査によって完治が確認されなければ安心はできません。
また、自然治癒が期待できる一方で、悪化すると重症化してしまうのが細菌性腟症です。
腟内で繁殖した雑菌が子宮内部に移動すると、子宮内膜炎や卵管炎、骨盤腹膜炎を発症するリスクが高まり、不妊症や子宮外妊娠につながるケースもあります。
おりもののにおいが生臭いと感じたら、放置せずに早急に医療機関を受診しましょう。
おりものに変化が現れる病気

細菌性腟症以外にも、発症するとおりものに変化が現れる病気があります。
普段と異なるおりものが出た場合は、どのような病気が原因として考えられるのでしょうか。詳しくみてみましょう。
①腟トリコモナス症
水っぽくにおいの強いおりものが出た場合は、「腟トリコモナス症」を発症している可能性があります。
腟トリコモナス症とは、トリコモナス原虫が腟に寄生することで起こる炎症で、陰部のかゆみや赤み、性交痛や排尿痛などの症状が現れます。
おりものが泡立っていたり、クリーム色に変化していたりする場合は、発症している可能性が高いといえるでしょう。
腟トリコモナス症は、不特定多数の人が利用する浴場やトイレでも感染が起こりますが、主な感染ルートはパートナーとの性行為です。
発症の可能性に気付いたら、パートナーと一緒に医療機関を受診してください。
②性器クラミジア感染症
国内でも発症する方が多い性感染症が、「性器クラミジア感染症」です。
「クラミジア・トラコマチス」という菌に感染することで発症する疾患で、不妊症や異所性妊娠(子宮外妊娠)、流産や早産の原因にもなります。
感染してもおりもののにおいに目立った変化はありませんが、水っぽくなったり、量が増えたりすることがあります。
また、生理痛に似た下腹部痛や不正出血、性交痛などの症状が現れるケースもあるでしょう。
初期には無症状であることも多く、感染に気付かない方も少なくありません。
症状が現れる頃には進行している可能性が高いので、感染に気付いたら早急に医療機関を受診しましょう。
③腟カンジダ症
カッテージチーズや酒粕のようにボロボロとしたおりものや、白いヨーグルト状のおりものが出た場合は「腟カンジダ症」を疑いましょう。
腟内に常在しているカンジダ菌が、免疫力の低下やホルモンバランスの変化などで増殖した場合に発症します。
腟カンジダ症を発症すると、おりものの量が増加したり、白いおりものが出たりするでしょう。
また、外陰部のかゆみや痛みが症状として現れる方もいます。
パートナーに感染させてしまう可能性があるので、腟カンジダ症の発症に気付いたら、性行為を控えて医療機関を受診してください。
④淋菌感染症
膿のようなおりものが出たり、黄色く強い悪臭を放つおりものが出たりする疾患が「淋菌感染症」です。
性器クラミジア感染症と同様に、国内でも感染者数が多く、初期には自覚症状が現れにくいという特徴があります。
進行すると、陰部の痛みや下腹部痛、排尿痛や不正出血、尿道からの膿や発熱といった症状が現れるでしょう。
淋菌感染症を放置すると、不妊症につながる可能性があります。
また、妊娠中であれば早産や流産のリスクが高まってしまうので、感染の疑いがある場合は早急に医療機関を受診してください。
病気や感染症が原因であれば早期に改善することが大切です。
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おりものが臭くなるNG習慣

健康のバロメーターともいえるおりものは、生活習慣によってにおいが変化することもあります。
嫌なにおいを発生させないためには、どのような点に注意して過ごせば良いのでしょうか。
最後に、おりものが臭くなってしまうNG習慣をいくつかご紹介します。
性行為
コンドームを使用せずに性行為を行うと、おりものが生臭くなることがあります。
また、不衛生な状態で性行為を行うと、雑菌が腟内に入り込んで性感染症にかかったり、細菌性腟症を発症したりしておりものが臭くなる可能性があるので、十分に注意しましょう。
腟内を過剰に洗浄してはいけませんが、雑菌が入り込まないように、性行為の前には、腟やパートナーの指・口腔内・性器を清潔な状態に整えておくことが大切です。
パートナーとよく話し合って、性行為を行う際には必ずコンドームを使用してください。
ストレス
ストレスが溜まると、腟内だけでなく体全体の免疫力が低下してしまいます。
腟内のバランスが崩れておりもののにおいが臭くなることはもちろん、風邪やインフルエンザのような病気を発症するリスクも高まってしまうので、十分に注意してください。
ストレスが溜まっていると感じている方は、バランスの良い食事をとるように心がけましょう。
しっかりと睡眠時間を確保して、規則正しい生活を送ることが大切です。
時間があれば、ストレッチやウォーキングなど、軽い運動を生活に取り入れると良いでしょう。
過剰な腟内洗浄
腟内を清潔な状態に維持するためには、腟の中まで洗浄しないことが重要です。
弱いシャワーで軽く洗う程度であれば問題ありませんが、過剰に洗浄を行うと腟内のバランスが崩れ、かえって雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。
デリケートゾーンの汗や皮脂が溜まっている部分だけを洗浄して、腟内までは洗浄しないように心がけましょう。
ボディーソープや石鹸を使用せずとも、デリケートゾーンを清潔に保つことが可能です。
外陰部にぬるま湯をあてて、やさしく指で洗い流してください。

おりものに関するお悩みは医療法人心鹿会へご相談ください

デリケートゾーンのトラブルに関しては、なかなか人には相談できないものです。
しかし、一人で悩みを抱えていると、問題を解消できないだけでなく、精神的なストレスを感じることになります。
しかし、適切な治療を早期に受けることで、多くの場合、症状の改善が期待できます。
おりもののにおいが気になるという方は、医療法人心鹿会へご相談ください。
当院の医師をはじめとしたスタッフは全員女性ですので、デリケートな悩みについても気兼ねなくお話しいただけるはずです。
おりものの量が増えた、おりものに血が混ざっているなど、まずはお気軽にご相談ください。
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