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2020.04.29

心斎橋院

避妊方法あれこれ

みなさん こんにちは。女性医療クリニックLUNA心斎橋 院長の二宮典子です。

LUNA心斎橋はセックスに関するトラブルの患者さんがとても多いクリニックです。

LUNA心斎橋でよくあるセックストラブル

例えば

  • ・セックスする機会があり避妊を確実にしたい
  • ・セックスしたいけど痛くてできない
  • ・セックスの時の尿漏れが気になる
  • ・セックスするときに避妊に失敗した
  • ・セックスした後、コンドームが見当たらない
  • ・セックスの後にオリモノが変わった
  • ・セックスの後にお腹が痛い、出血する
  • ・セックスの後にデリケートゾーンが切れた
  • ・セックスのたびに膀胱炎になるのが怖い

など、皆さん色々なお悩みで受診されます。

心斎橋という場所のせい?もちろんそれもあるでしょう。とはいえ、セックスにまつわるトラブルを訴える患者さんが多いと思う理由は、リピーターさんとその紹介(口コミ)です。

以前に他の悩みで当院を受診した後、その患者さんがセックストラブルで悩んだときにLUNA心斎橋を思い出して受診をしてくださる。

または、お友達や職場の人が、LUNA心斎橋の患者さんで、その人が紹介してくださる。

LUNA心斎橋を受診した患者さんのブログをみて、遠方からわざわざ来て下さる…などなど。

『女性の流行りは口コミから』というのはよく聞いていましたが、特にセックスにまつわるよもやま話が、クリニックで医者とちゃんと相談できるという口コミはどうやら絶大なようです。

そこで、LUNA心斎橋はブログでもセックス・性機能に関する情報をこれからちょこちょこ出していこうと思います。近々、YouTubeでも性機能関連の発信をしようかと思っていますので、悩める子羊ちゃんは参考にしてくださいね。

ようやく本題。本日は計画的な避妊について!

避妊を確実にするためには

避妊とは

性交渉によって妊娠をする可能性があります。しかし、色々な事情で妊娠を希望しない場合もありますよね。

  • ・子供を望んでいない
  • ・子供を育てることができるくらい精神的に自立できていない
  • ・経済的に子供を育てる余裕がない
  • ・仕事、または家庭の事情などで子供を育てる人や時間が十分でない
  • ・身体的理由で妊娠・出産・育児に耐えることが困難

人によって妊娠できない事情は様々です。妊娠を希望していないからといって、セックスを否定することはできません『性欲』、セックスをしたいと思う衝動やそれに関わる行動・感情は、人間が健全に生きていくために備わっている生理的欲求のひとつです

欲求のままにセックスを行えば、妊娠もありえます。その度に子供を人工中絶(妊娠の途中でお腹の赤ちゃんを手術で取って、殺してしまうこと)する?いやいや、そんなわけにはいきません。

そもそも日本では、母体保護法という法律があって、ちゃんとした理由がないと自分勝手に中絶はできないことになっていますし、できる妊娠週数もきまっています(妊娠22週未満)。手術を行うのも、母体保護法指定医しかできないことになっています。ただし、死産に対する処置は、母体保護法に当てはまりません。

そこで、『セックスをする機会はある!でもまだ妊娠するつもりはない。という人たちに絶対行ってほしいのが『避妊』です。避妊は女性だけの問題ではありません。

セックスは決して一人で行う行為ではありません。

『避妊』は女性・男性お互いのマナーです。

ではさっそく、実際の避妊方法をご紹介しますね

避妊方法 ①経口避妊薬(低用量ピル)

経口避妊薬の作用

女性ホルモンのはいった薬を定期的に内服することで、卵巣が卵子を排卵をしないように働きかけます。卵子が出てこないので、避妊効果は非常に高いです。また、その他には子宮の内側の粘膜(子宮内膜)を薄い状態にすることで着床・妊娠しにくくなります

経口避妊薬の飲み方

飲み方は、21日内服して7日間休薬(または偽薬と呼ばれる効果のない薬を内服)するという方法が行われていました。7日間の休薬(偽薬)の期間に月経のような出血が起きます。

最近は、できるだけ長く薬を飲み続ける薬が『月経困難症』の治療として出てきました。薬の効果は同様のため、避妊としての効果もあります。このタイプの薬は120日または77日、連続で薬を内服することができるので、毎月ある生理を、3~4か月に1回の出血に減らすことができます

経口避妊薬の値段

経口避妊薬は薬の種類によりますが、1か月あたり2000円から3000円あたりが相場でしょう。クリニックによっては学割、なんて制度を設けているところもあります。素晴らしい!

LUNA心斎橋では、自費の経口避妊薬は1シートで2500円診察と処方、薬代が入っています。

経口避妊薬の利点・欠点

経口避妊薬は、内服するだけで避妊効果が抜群いう点が利点です。逆に、避妊を中止したければ内服をやめればよいわけです。薬の種類もたくさんあり、自分にあった薬を探すことができます。

経口避妊薬の難点は、飲み忘れると効果が確実と言えないこと。そのため、携帯電話のアラームやアプリなどを活用した飲み忘れ防止策がとられています。飲み忘れたときは、すぐにその分を飲むなどの対応も知っておくとよいですね。

副作用もあります。血栓症は、発症する率は決して高くないものの、起きると命に関わる重大な副作用です。突然の胸や頭の強い痛みや、朝になっても治らない片足だけの浮腫みなどは要注意です。それ以外にも薬が解毒されるときに肝臓が働いており、定期的に採血を行うなどで副作用がでていないか確認すると安心です。また、経口避妊薬を内服している人は、内服したことがない人に比べて、性交痛の発症率が高くなるという報告があります。日本では婦人科の医師にさえあまり知られていないので、経口避妊薬を内服し始めてからセックスが痛く感じるようになったと思われる方は、お気軽に当院にご相談くださいね。

避妊方法 ②子宮内黄体ホルモン放出システム

子宮内装置のしくみ

子宮の中に器具を挿入する避妊方法です。子宮内装置またはIUS(Intrauterine Systemの略)と表記されることもあります。器具の真ん中には、黄体ホルモンという薬が含まれているので、子宮内膜を薄くする効果があります。また、腟から精子が入るときに子宮の中まで通過する通り道の子宮頸管から分泌される粘液も、精子が通過しにくいように変化します。

ミレーナという器機になります。詳しくはこちらをご覧ください。➡ https://whc.bayer.jp/mirena/mirena/index.html

子宮内装置の値段

子宮内装置は、避妊目的に挿入する場合は自費診療となります。自費診療とは、保険でカバーされないので、価格はクリニックによって独自に設定されています。およそ5万円から10万円といったところが相場でしょう。

毎月2500円ほどのピルを5年飲み続けると、2500円×12カ月×5年 最低15万円はかかるので、それと比較しても安くなります。

また、過多月経(月経の出血量がとても多い状態)であれば保険の治療にもなっています。保険で治療する場合は、3割負担の人でおよそ1万円から2万円程度の自己負担になることが多いです。

子宮内装置の利点・欠点

器具の挿入や抜去は、病院でないとできないという不便さはあるものの、一度挿入すれば約5年ほど効果が継続します。なので、面倒くさがりさんにはもってこいの避妊方法です。月経量も少なくなるので、月経痛も改善される場合があります。器具のホルモン作用は、局所的なので、全身に対するホルモンの影響が少ないこともメリットと言えます。

興味はあるけれど出産経験がない人は、子宮の操作は心理的に抵抗があるかもしれませんね。出産経験がなくても挿入は可能ですが、超音波検査などで子宮の形や発育の状態によっては、装置の挿入が不適切と医師が判断することもあります。担当医にご相談ください。

避妊方法 ③コンドーム

コンドームしくみ

日本でコンドームと言えば、男性の性器にかぶせるゴムの袋ですよね。性交中の分泌物や精液を腟内に漏らさないようにすることで避妊効果を発揮します。

コンドームは使用することで特に男性側の感度が低下してしまうため、各メーカーが一生懸命より良い商品の開発を行っています。ゴムの種類(ラテックスやポリウレタンなど)、ゼリーの量や質感(温感なども)色々あるので、パートナーと好みのものを見つけると良いでしょう。

また、外国では女性用のコンドームもあります。女性用は男性用と比較して、ゴムも大きく、装着もすこし難しいのであまり普及はしていないようです。

コンドームの値段

コンドームの種類によって値段も色々ですが、1箱5-10個入りで1000円程度が相場でしょう。

特殊なものは少し値段も高くなります。逆に、明らかに安いものの場合、ゴムの素材が悪くてセックスの途中で外れたり、破れたりしては元も子もありませんので、ご注意くださいね。

コンドームの利点・欠点

コンドームは何といっても突然のセックスでもその時に装着できるという利点があります。値段もお手頃です。そして、性感染症予防に効果があります。

でも、実はコンドームの避妊率というのはあまり高くありません。『え?』とびっくりされたあなた。要注意ですよ。

実は、射精する前の分泌物にも精子が混ざっているので、セックスの最初からコンドームを使用しておく必要があります。とはいえ、十分に勃起していないときにコンドームを使用することは難しいですよね。それから、正しい装着をしないと、途中でやぶれたり外れたりしてしまうこともあります

避妊方法 ④その他

避妊手術

手術は、男性の精管を結紮または切断する(パイプカットと呼ばれます)ものと、女性の卵管を結紮するものがあります。

避妊の効果は確実ですが、また妊娠したくなったときは人工授精しか方法がありません

基礎体温法

女性の基礎体温を測定することで排卵の日を推定することで妊娠しやすい日のセックスをさけることができます。

副作用がないし、女性は自分がいつ生理になるのかを把握することができるのがメリットですが、月経不順の人やその他の影響で基礎体温が乱れがちになる人は、コントロールが難しい傾向があり、避妊に失敗することも少なくありません。

基礎体温法は 避妊よりも、むしろ、妊娠したいときにしやすい時期を狙ってセックスを予定する、というのが適していると思います。

避妊方法のまとめ

いかがでしたか?

避妊方法はいくつか方法がありますが、その人にあった避妊方法を行うことで、パートナーとの関係をより良いものにしていくことが大切です。

注意点は、コンドーム以外の避妊方法は『性感染症予防』をしていないという点です。パートナーがお互い初めてでない場合は、いつ、なんどき、感染症をもらうかはわかりません。性感染症の予防と定期的なチェックも忘れないようにしましょう。

私のおススメは、

経口避妊薬+コンドーム または 子宮内装置+コンドーム

これで、避妊しっかり 感染症予防ばっちりになります。

健全なセックスのための方法として、まずは避妊方法について一度考えてみてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修者
二宮 典子

医師。泌尿器科専門医・指導医、漢方専門医、性機能専門医。
2015年から女性医療に特化したクリニックの院長として泌尿器科・婦人科・性機能に関する専門的診療に従事。医療者向けの講演会や一般向けのYouTubeなど幅広い活動を行う。2021年にNINOMIYA LADIES CLINICを開院し、院長就任。自院では、医療者にしかできない誠実で安全な美容を提供するべく、アートメイク・女性器治療などにも注力する。