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スタッフブログ

2020.08.05

心斎橋院

イソジン(泣)街から消える(泣)

みなさん、こんにちは。

女性医療クリニックLUNA心斎橋 院長の二宮典子です。

ポピドンヨードはコロナに効果あり?

さて、前回はコロナの特効薬なんてない!

なんてことを書いている矢先に、8月4日の夕方のニュースで、コロナ感染症の軽症患者にイソジン®でうがいを4回する群としない群で、唾液のPCR検査でウィルス量に変化がでた、という話題がでました。

かなりTwitterや翌日のニュースでも取り上げられたので、ご存じの方も多いと思います。

すると、街からポピドンヨードのうがい薬が消えた!!

おぉぉぉ(´;ω;`)

もう3流の映画よりひどいですね。

はっきり言います。イソジンで毎日毎日毎日毎日毎日4回うがいするのはやめた方が良い。

うがいはしても良いです。が、イソジンはそんなに使わないでください。

イソジン®︎、ポピドンヨード、は、手術前に皮膚や粘膜消毒に使用するなどの用途があり、医学的に有効です。しかし、殺菌効果は薬液が塗布した部位に化学的な火傷を起こすこともあるくらい、細胞を障害することもあるのです。

ケンエー製薬のHPに詳しく書いてますが、繰り返す使用や、長時間の暴露で、血液中のヨード濃度が上昇し、甲状腺などの内分泌障害を来す可能性もあることが指摘されています。

他に、たくさんの人が指摘されておられるように、妊婦さんやもともと甲状腺疾患(機能亢進症)の人はヨード過剰摂取になるからダメです、といった注意もありますよね。

↓↓↓詳しくはコチラ↓↓↓

https://www.kenei-pharm.com/medical/countermeasure/feature/06.php

発表した先生や吉村市長の気持ち

肩を持つわけではありませんが、このイソジンでのうがいの有効性を発表された先生や、大阪市長の吉村さんには、特に悪気はなかったと思います。うがいも基本的なことだから、みんなちゃんとやろうね、ぐらいの気持ちだったのではないでしょうか??

しかし、報道となると、時間の関係もあり、情報がはしょられて、まるでイソジンうがいがコロナを治す、みたいな情報に変わってしまっていました。

もともとの研究は、軽症のコロナ患者を、イソジンうがいをする人たちと、うがいをしない人たちにわけたら、唾液中のコロナのPCRの値に差が出た、というだけなのです。

ここには、

  • ①イソジンが効いたのか、うがい自体が効いたのか、不明。
  • ②軽症患者の唾液中のPCRはコロナの病勢を反映するのか?
  • ③唾液中PCRが少ないことと、感染力にどのような関係があるか?
  • ④健常者のうがいでも有効か?

などなど、様々な問題が指摘できるので、研究者が示したい事と、データが示していることには、少し溝があるのです。

そもそもPCR陽性も、ウィルス自体が消えていても、しばらく陽性になりますしね(ウィルスの死骸も検出してしまうため)

つまり、限られた時間で与えられたデータから、どのように解釈を加えるかは、自分の責任、になると思います。決して、イソジンうがいがコロナに効果がある、なんてことは発表できない(してない⁈)はずなんです。

それを証拠に、多くの医者や論文などでデータを読むことに慣れている人たちは、この情報だけでは何もわからない、と即座に判断しているはずなんです。

問題は報道だけで判断してしまう一般の人たち

でも、一般の人たちはそうはいきません。

報道された、センセーショナルな部分だけを、自分に都合の良い解釈にしてしまいます。(´;ω;`)

今日の診察でも、昨日の発表を聞いた患者さんが、イソジンガーグル(ポピドンヨードの含嗽薬)を処方して欲しいというお願いが何名かありました。なので、コレコレこういう理由で、私は処方

いたしません!

と、お断りさせて頂きました。m(__)m

まとめ

コロナ、不安な気持ちももちろんわかりますが、皆さんも、どうかくれぐれも、自分で判断できないような専門的な情報は、飛びつく前に冷静に考えるようにしてください。

もちろん、手洗いうがいは大事なので、続けて下さいね!

この記事の監修者
二宮 典子

医師。泌尿器科専門医・指導医、漢方専門医、性機能専門医。
2015年から女性医療に特化したクリニックの院長として泌尿器科・婦人科・性機能に関する専門的診療に従事。医療者向けの講演会や一般向けのYouTubeなど幅広い活動を行う。2021年にNINOMIYA LADIES CLINICを開院し、院長就任。自院では、医療者にしかできない誠実で安全な美容を提供するべく、アートメイク・女性器治療などにも注力する。