女性ホルモン補充療法(HRT)

女性ホルモン補充療法(HRT)とは

女性ホルモン補充療法は、閉経が近い方や閉経後など、周閉経期にある方が、女性ホルモン欠乏のために心身に不快症状があるときに、女性ホルモンを補う治療のことをいいます。女性ホルモンには、2種類あります。エストロゲンと黄体ホルモンです。

どんなときに使うの?

周閉経期の心身の不快症状のことを更年期症候群とよびます。体の症状としては、ホットフラッシュ、動悸、不眠、易疲労感、めまいなどが、こころの症状としては、抑うつ、イライラ、一つの考えが頭から離れない、集中できない、忘れっぽい、などが挙げられます。

いずれの症状も、エストロゲン低下に伴い起こることがありますが、エストロゲン低下と関係ない病態でも起こり得る症状です。そこで、症状がエストロゲン低下によるものかどうか確認するために、「診断的治療」として、エストロゲン補充を試してみることができます。
もし効けば、エストロゲン欠乏に伴う症状だった、と言えますし、もし効かなければ、エストロゲン低下と関係なく起こっている症状なので別の診かたをしましょう、ということになります。

更年期に不快症状がある方で、エストロゲン製剤を2〜3週間試してみることによって症状が軽快する場合には、ホルモン補充療法を継続する方針をとります。このとき、エストロゲンに加えて、黄体ホルモンを付加してホルモン補充療法を続けます。これは、子宮を守るためです。
更年期の不快症状を軽減させてくれるのはエストロゲン製剤なのですが、エストロゲンだけ使って黄体ホルモンを使わないと、子宮内膜が分厚くなり、子宮体がんをきたしやすくなるのです。このため、エストロゲンを使うときには、黄体ホルモンも同時に使い、子宮体がんを防ぎます。
過去に何らかの理由で子宮を切除しているなど、子宮が無い方に関しては、エストロゲンを単独で使います。

ホルモン補充療法の種類

ホルモン補充療法に使うお薬は、エストロゲン製剤と黄体ホルモン製剤があります。それぞれ、皮膚から吸収させる経皮製剤と、口から飲む経口製剤、また子宮の中に入れる薬などがあります。

エストロゲン製剤 − 経皮製剤

エストロゲン製剤の効果は、更年期の諸症状の改善と、骨粗鬆症予防です。副作用は、血栓症のリスクが上がってしまうことです。

エストロゲンは、飲み薬より、貼り薬や塗り薬など、皮膚から吸収させるお薬のほうが、副作用である血栓症のリスクが少なくなるといわれています。効果はどちらも変わりません。ですので、まずは皮膚から吸収させる経皮製剤をおすすめします。

貼り薬は、お腹にシールを貼り、2日ごとに張り替えるものです。皮膚の強い方には、簡便なのでおすすめです。(エストラーナテープ)

かぶれやすい方は、塗り薬のほうがおすすめです。塗り薬は、お腹に塗るタイプと腕に塗るタイプの薬があり、毎日1回、塗布します。塗って15〜30分ほどで体内に吸収されるので、汗かきの方も大丈夫です。(ディビゲル/ ル・エストロジェルなど)

エストロゲン − 経口製剤

エストロゲン製剤には経口製剤もあります。更年期症候群に使うものとしては2種類あります。口からホルモンを飲むなら低用量ピルとどう違うの?と思う方もいらっしゃると思いますが、エストロゲンの量が全然違うんです。ホルモン補充療法では低用量ピルの約5分の1くらいの少ない量の製剤を使いますので、その分血栓症などの副作用も少なくなります。(プレマリン、ジュリナなど)

黄体ホルモン – 経口製剤

黄体ホルモンには、血栓症の副作用がありません。黄体ホルモンの副作用には、むくみ、吐き気、便秘、お腹の張り、胸の張りなどがあります。飲み薬でも貼り薬でも、副作用に差はありません。飲み薬の種類はたくさんありますので、もし1剤ためして副作用が強ければ、別の製剤に変えてみましょう。(デュファストン ヒスロン ルトラールなど)

黄体ホルモン – 子宮内局所投与(ミレーナ)

黄体ホルモンは子宮を守るために必要ですが、子宮にしか要りません。ミレーナは、子宮内膜にだけ作用する黄体ホルモンです。子宮の中に入れて、その場所にだけ効果が出るようになっています。子宮内膜がうすくなり、子宮体癌を予防します。
1回入れたら5年間入れっぱなしでよく、管理は楽です。ホルモン補充療法として使う場合は自費となり、88,000円(税込)です。1年あたり17,600円、1か月あたり1500円未満です。

エストロゲンと黄体ホルモンの合剤 – 経皮製剤

上記のエストロゲン製剤と黄体ホルモン製剤を組み合わせて使うこともできますが、初めから合剤になっているお薬もあります。貼り薬は、1週間に2回張替えて使います。(メノエイドコンビパッチなど)

エストロゲンと黄体ホルモンの合剤 – 経口製剤

飲み薬で、エストロゲンと黄体ホルモンが初めから合剤になっているものもあります。低用量ピルとどう違うの?と思う方もいらっしゃると思いますが、エストロゲンの量が全然違うんです。ホルモン補充療法では低用量ピルの約5分の1くらいの少ない量の製剤を使いますので、その分血栓症などの副作用も少なくなります(ウェールナラなど)。

 

ホルモン補充療法の使い方

間欠投与

定期的に月経を起こす使い方です。閉経前の方や、まだ閉経して間もない方は、下記の連続投与をすると不正出血がコントロールしにくくなるために、間欠投与が好まれます。
エストロゲンは休薬期間なく使い、黄体ホルモンは1ヶ月のうち10〜14日間使います。



連続投与

エストロゲンと黄体ホルモンを両方、休薬期間なく使う方法です。閉経後まだ数年しか経っていない場合、はじめの半年くらいは不正出血が時々生じますが、次第に出血しなくなります。黄体ホルモンの投与経路の幅は拡がり、経皮製剤やミレーナIUDを使うこともあります。

エストロゲン単独投与

過去に子宮摘出術を受けている方は、黄体ホルモン使う必要がありません。

ホルモン補充療法の副作用 

ホルモン補充療法に、重大な副作用はほぼありません。使用し始めのときに、不正性器出血があったり、乳房が張ったりすることがありますが、しだいにおさまってきます。

血栓症のリスクがほんの少し上昇し上昇します。高血圧、糖尿病、喫煙など、もともと血栓症のリスクの高い方は、注意しながら使うことになりますが、閉経から10年以下の方で、家族性の血栓リスクが無い方は、ほぼ安全につかうことができます。

 

ホルモン補充療法とがんの関係

乳がん

乳がんは、ホルモン補充療法でエストロゲンと黄体ホルモンを両方使っていると、ほんの少しリスクが増します。1日ワイン1杯飲むのと同じくらいのリスク上昇です。

一方、エストロゲン単体で使える場合(子宮が無い場合)では、乳がんを新しく発症するリスクは増えません。

一方、早期癌を持っている方に関しては、話は違います。ホルモン補充療法をしていてもしていなくても、乳がんを生じることはあります。このとき、ホルモン補充療法をしているひとは、癌が早く大きくなってしまうことがあります。

ホルモン補充療法中は、1年に1回乳がん健診をうけましょう。

乳がんは、自分でさわれるようになる前に見つけないと、乳房を残せません。    

卵巣がん

ホルモン補充療法によって卵巣がんのリスクが上がるのかもしれない、と言われていますが、もともと罹患割合の少ない癌であり、またリスクの上昇幅もすごく少ないので、心配の必要はほぼないです。

がん治療後のホルモン補充療法

子宮頚がんや子宮内膜がん、卵巣がんなどの治療のために、卵巣を手術で失い、女性ホルモン欠乏症状が出ている人に関しても、癌の種類や進行度合いなどによっては、ホルモン補充療法ができる場合があります。

悩む前に、ご相談ください。

ただし、乳がんの治療中、治療後の方は使えません。

 

ホルモン補充以外の治療法

ホルモン補充療法は、更年期のエストロゲン欠乏に伴う諸症状に用いますが、お体の状態で使いにくかったり、またご本人が使いたくなかったりする場合には、症状を和らげるお薬や、抗うつ剤、漢方薬などを用います。

抗うつ剤は、うつ病に対して、というよりも、発汗に関して効果が見込めるために使います。
また、漢方薬は、保険適用のあるものの中から、ご本人の体質、体調に合わせて選んでいきます。

 

 

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