いつもより水っぽいおりものが出て、不安になっていませんか。
排卵期や生理直後であれば、水っぽいおりものが出るのは珍しいことではありません。
特に問題はなく、その時期が過ぎれば、水っぽいおりものは自然に減っていくでしょう。
しかし、それ以外のタイミングで水っぽいおりものが出る場合は、何らかの病気が潜んでいる可能性も考えられます。
今回は、水っぽいおりものが出る原因や疑われる病気、おりものへの対処方法をご紹介します。
水っぽいおりものが出るのはなぜ?考えられる4つの原因
おりものがサラサラと水っぽくなると、体に何らかのトラブルが起こっているのではないかと不安になるものです。
女性にとっておりものは、「自分の体調を知るバロメーター」であるともいわれています。
普段とは違った水っぽいおりものが出る場合、体にどのようなことが起こっているのでしょうか。
水っぽいおりものが出る原因①:排卵期
おりものが水っぽいと感じたら、「排卵期」なのかもしれません。
おりものの量は、生理周期によるホルモン分泌量の変化に応じて増減します。
生理開始日から2週間後にあたる「排卵期」には、おりものの量が増える傾向にあります。
排卵期に卵の白身のように透明でサラサラと水っぽいおりものが増えるのは、珍しいことではありません。
なぜ水っぽいおりものに変化するのかというと、精子が腟から子宮へスムーズに入り込むよう、受精をサポートする役割があるためだといわれています。
生理直後にも、量は少ないものの、サラッとした水っぽいおりものが出ることがあります。
いずれにせよ自然な現象であり、問題はありません。
水っぽいおりものが出る原因②:妊娠初期
生理予定日を過ぎても生理が始まらず、さらにいつもよりおりものの量が多くなったと感じるのであれば、妊娠している可能性があります。
お腹の中にいる赤ちゃんを細菌から守るために、妊娠するとおりものの量が多くなります。
さらに、妊娠によって黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌量が増えることから、いつもより水っぽいおりものが増えたと感じるのです。
おりもののにおいも、普段より酸っぱく感じるかもしれません。
水っぽいおりものが出る原因③:胃腸が弱っている
暴飲暴食や疲れなどで胃腸の調子が悪いときにも、水っぽいおりものが出ることがあります。
普段のおりものより水分を多く含んでいて、サラサラとしているのが特徴です。
胃腸が回復すれば、水っぽいおりものは自然に減っていくでしょう。
しかし、量が多くおりものシートを使っても間に合わない場合や、日常生活に支障が出てしまう場合には、クリニックでの受診を検討をしてください。
水っぽいおりものが出る原因④:感染症を含む病気
「排卵期や生理直後ではない」、「妊娠をしている可能性はない」、「胃腸の調子は悪くない」と、原因に思いあたる節がない場合は、性器クラミジアをはじめとする感染症やがんなどの病気が潜んでいる可能性もゼロではありません。
そのまま病気を放置しておくと、発熱や腹膜炎、さらには不妊といった、専門的な治療を要するような深刻な事態になるかもしれません。
水っぽいおりものであるという点以外にも、おりものの色やにおいの変化、その他の体の不調にも注目してください。
サラサラのおりものが長く続くようならば、クリニックでの受診を検討しましょう。
まとめ
- 排卵期に水っぽいおりものが出るのは問題ないが、生理予定日以降も続く場合は妊娠を疑う。
- 胃腸が弱い場合も水っぽいおりものが出るが、胃腸が回復すれば自然と治まる。
- 妊娠の可能性はなく、胃腸の調子も悪くないのに水っぽいおりものが出る場合は、感染症を疑う。
水っぽいおりものから考えられる感染症
水っぽいおりものが出るからといって、必ずしも体にトラブルが起こっているとは限りません。
その一方で、感染症が原因でおりものが水っぽくなっているのであれば、すぐにクリニックで受診する必要があります。
ここでは、水っぽいおりものを発生させる病気をいくつかご紹介します。
細菌性腟炎
健康な状態であっても、腟内にはいくつもの細菌が常在しています。
普段は腟の自浄作用で健やかな状態を保っているものの、ストレスや疲れなどによって免疫力が低下すると、細菌のバランスが崩れて炎症を起こすケースもあります。
これが細菌性腟炎であり、水っぽいおりものが増えることも珍しくありません。
細菌性腟炎の場合、魚が腐ったようなにおいがするのが特徴です。
また、下着に付着すると、おりものが灰色っぽく見えることもあるでしょう。
おりものに限らず、外陰部にかゆみや腫れが生じるケースもあります。
常在菌のバランスが崩れて炎症を起こしているため、体調が回復すれば自然治癒することもあります。
しかし、稀に重篤化して卵管炎や子宮内膜炎を引き起こすケースもあるので、早めにクリニックで検査を受けましょう。
性器クラミジア感染症
排卵期や生理直後ではなく、妊娠をしている可能性も低いにも関わらず、サラサラと水っぽいおりものが出る場合は、性器クラミジア感染症の疑いがあります。
性器クラミジア感染症の特徴として、水っぽいおりものが大量に出ることが挙げられます。
おりものの色が、黄緑色や黄色に見えることもあるでしょう。
性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスという病原体が原因であり、日本で最も多い性感染症であるといわれています。
また、感染しても無症状、または症状が軽度にしか現れず、感染に気付かずに放置してしまう方も多いです。
しかし、性器クラミジア感染症を放っておくと、発熱や腹膜炎を起こし、子宮外妊娠や不妊の原因にもなります。
性器クラミジア感染症は、パートナーと同時に治療を行わないと、交互にうつし合ってしまう「ピンポン感染」を引き起こしてしまうため注意が必要です。
尖圭コンジローマ
水っぽいおりものだけでなく、外陰部周辺にイボのような突起物ができている場合は、尖圭(せんけい)コンジローマの疑いがあります。
尖圭コンジローマは、主に性行為によってヒトパピローマウイルスに感染し、性器にイボができる病です。
イボの形は、鶏冠(とさか)のようであったり、カリフラワーのようであったりと様々ですが、硬くザラザラとしているのが特徴です。
また、突然イボが成長して、痛みやかゆみが出るケースもあります。
尖圭コンジローマの潜伏期間は3週間~6ヶ月程度で、初期にはほとんど自覚症状がなく、大きくなったイボを発見して、初めて感染していることに気付く方も珍しくありません。
腟トリコモナス症
水っぽいおりものが増え、さらに生臭いような強い悪臭を感じる場合は、腟トリコモナス症の可能性が考えられます。
クリーム色であったり、少々泡立っていたりするため、すぐに普段のおりものと違うことがわかるはずです。
腟トリコモナス症は、トリコモナス原虫が腟に寄生することで発症する感染症であり、主な感染ルートは性行為です。
しかし、不特定多数が利用する浴場やトイレの便座の使用によって、感染するケースもあります。
おりものの異常の他にも、陰部の赤みやかゆみ、性交痛や排尿痛が起こることもあるでしょう。
腟カンジダ症
水っぽいだけでなく、ヨーグルト状の白いおりものが出ている場合は、腟カンジダ症の可能性があります。
ボロボロとした、カッテージチーズや酒粕のような形状のおりもの、白いクリーム状のおりものが出るのが特徴です。
おりものだけでなく、外陰部のかゆみや痛みが症状として現れるケースもあるでしょう。
腟カンジダ症は、一部の女性の腟内に常在している菌が、何らかのきっかけで増殖した場合に症状が現れます。
初めて腟カンジダ症を発症した場合は、婦人科で受診しましょう。
パートナーに感染させてしまうこともあるので、しばらくの間は性行為を控えることも大切です。
卵管がん・卵巣がん・子宮体がん
卵管がんや卵巣がん、子宮体がんに罹患すると、陰部の腫れやただれによって水っぽいおりものも増えます。
その他にも、茶色のおりものが出たり、肺炎痛や腹痛が生じたりすることもあるでしょう。
悪性腫瘍の場合は、発見が遅れるとそのまま進行してしまいます。
他臓器に転移することも考えられるため、おりものが水っぽいという点以外にも、生理前後ではないにも関わらず不正出血や茶色いおりものが出る場合は、早急に精密検査を受けることをおすすめします。
水っぽい以外にも気を付けたい色の変化
水っぽいというだけでなく、おりものの「色」にも、以前とは違う変化がみられるケースがあります。
ここでは、特に注意したい「おりものの色」について詳しく解説します。
おりものは、下着に付着すると色が変わることも多いので、観察する際には注意してください。
白色のおりもの
正常なおりものの色は、透明や乳白色です。
下着に白っぽいおりものが付着していたとしても、問題はないでしょう。
しかし、ボロボロとしたカッテージチーズ状であったり、クリーム状であったりする場合は、腟カンジダ症を発症している可能性があります。
また、腟カンジダ症の場合は、おりものシートやナプキンを使っていると、付着したおりものが薄い緑色や黄緑色に見えることもあります。
茶色のおりもの
茶色のおりもは、血液が混ざることが原因で発生します。
生理前後に茶色いおりものが出たとしても、過度に心配する必要はありません。
しかし、生理前後ではないのに茶色のおりものが続くようであれば、不正出血の可能性が高まります。
子宮筋腫や子宮体がん、子宮頸がんなど、何らかの病が潜んでいる可能性があるため、早めにクリニックで診察を受けてください。
黄色・黄緑色のおりもの
黄色や黄緑色のおりものを目にすると、驚いてしまうかもしれません。
健康な状態であっても、下着におりものが付着して乾くと、黄色っぽく見える場合があります。
しかし、今までに見たことがないような、はっきりとした黄色や黄味がかった緑色に見えるおりものには、注意が必要です。
腟や子宮、卵巣の疾患が原因となって、黄色や黄緑色のおりものが発生している可能性があるからです。
黄色のおりものが出る場合は、子宮内膜炎・卵管炎・子宮頸管炎といった、腟または卵巣の病気の可能性があるでしょう。
黄色から黄緑色に見えるおりものが出る場合は、腟が炎症を起こして、細菌性腟炎・淋菌感染症・トリコモナス腟炎・萎縮性腟炎などを発症している可能性があります。
黒色のおりもの
腟の中で古くなって酸化した血液や、多量の血液が混ざっている場合は、おりものの色が黒く見えます。
また、経血量が少ない生理の初日や後半になると、おりものが黒っぽく見えるケースもあるでしょう。
しかし、生理が終わっても黒色のおりものが続くようであれば、不正出血が疑われます。
いずれにしても出血が原因である可能性が高いため、早急にクリニックで受診してください。
ピンク色のおりもの
ピンク色のおりものには、ごく少量の血液が混ざっていると考えられます。
生理以外でピンク色のおりものが見られた場合は、不正出血をしている可能性があります。
子宮筋腫や子宮頸がん、子宮体がんといった病が潜んでいる可能性もあるため、クリニックで検査を受けてください。
妊娠のごく初期に起こる「着床出血」でも、ピンク色のおりものが見られるといわれています。
着床出血に関しては正常な妊娠でも起こることなので、心配不要です。
まとめ
- 基本的に白色や着床出血によるピンク色のおりものは問題ないが、においや形状が普段と違う場合は要注意。
- 茶色や黒色のおりものが出る場合は不正出血が起こっているため、早急にクリニックへ相談する。
- 黄色や黄緑色のおりものが出る場合は、腟や子宮、卵巣の疾患を発症している可能性がある。
いつもと違うにおいや形状のおりものも要注意
水っぽいという点以外にも、おりものが強いにおいを発していたり、普段と違う形状をしていたりする場合には注意が必要です。
ここでは、特に注意したいおりもののにおいや形状について解説します。
においが強くて生臭い
生臭いような不快なにおいが強い場合は、腟内で雑菌が増殖している可能性があります。
しかし、腟内で雑菌が繁殖するのは、何らかの疾患以外にも、疲労やストレス、風邪などの体調の変化による免疫力の低下といった原因が考えられます。
体力の回復に伴って、生臭くてにおいの強いおりものが減っていけば良いのですが、悪臭が続く場合には何らかの病気を疑いましょう。
特に「魚が腐ったような悪臭がある」、「とにかく水っぽくて生臭い」といったおりものが続く場合には、腟トリコモナス症の可能性があります。
長く続くようであれば、クリニックでの受診を検討してください。
白い塊が混ざっている
おりものが水っぽいだけでなく、白色の塊が混ざっている場合は、腟カンジダ症である可能性が高くなります。
腟カンジダ症は、カッテージチーズや酒粕のような状態のおりものが出るのが特徴で、おりものの中に白い塊が確認できるでしょう。
おりものに白い塊が見られるだけでなく、外陰部に強いかゆみを感じるケースがほとんどです。
そのまま放置をしていても回復するのは難しいため、早めにクリニックで検査を受けてください。
水っぽくてサラサラしている
色やにおいには変化がないものの、とにかく水っぽくてサラサラしたおりものが出るのであれば、まずは排卵期ではないか疑ってみましょう。
排卵日前後に水っぽいおりものが出るのは、問題ありません。
しかし、排卵期以外で水っぽいおりものが大量に出て困るようであれば、性器クラミジア感染症の疑いがあります。
パートナーとの性行為は避け、早めにクリニックで治療を開始しましょう。
まとめ
- 生臭いにおいが強いおりものが出る場合は、腟内で雑菌が増殖している可能性が高い。続く場合は、クリニックを受診する。
- おりものに白色の塊が混ざっている場合は、腟カンジダ症である可能性が高い。自然治癒はしないため、クリニックを受診する。
- 排卵期以外で水っぽいおりものが大量に出る場合は、性器クラミジア感染症の可能性が高い。
水っぽいおりものの量が気になる!どれくらいの量なら正常?
排卵期を中心に、健康な状態でも水っぽいおりものが多く出ることは珍しくありません。
しかし、おりものの量が多いようならば、クリニックでの受診を検討した方が良いでしょう。
おりものの量の目安としては、「おりものシートを使用すれば気にならない程度」ならば、正常の範囲内であると考えて良さそうです。
しかし、おりものシートを使用しても、下着はもちろん、ボトムスにまで染み出てしまうほど大量の水っぽいおりものが出ている場合には、一度クリニックで検査を受けることをおすすめします。
おりものは、女性の健康状態を知るバロメーターです。
日頃からおりものの量を観察しておくと変化にも気付きやすくなるため、トイレを使用する際や入浴前にチェックしてみましょう。
水っぽいおりものへの対処方法
おりものをそのままにしておくと、デリケートゾーンが不衛生になります。
水っぽいおりものが気になる場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。対処法をいくつかご紹介します。
おりものシートや吸水ショーツを活用する
おりものが気になるときには、市販の「おりものシート」が便利です。
おりものシートを使う場合は、できるだけこまめに取り替えるようにしてください。
長時間同じおりものシートを使い続けていると、蒸れて雑菌が繁殖し、さらにおりものが増えるといった悪循環に陥る可能性があるためです。
しかし、仕事や学校などで行動が制限され、こまめにおりものシートを取り替えるのが難しい方もいるかもしれません。
そのような方には、「吸水ショーツ」がおすすめです。
吸水ショーツならば、水っぽいおりものも素早く吸収してくれるので漏れが気になりません。
また、表面もさらっとしているので、蒸れも気にならないでしょう。
デリケートゾーンを普段より清潔に保つ
デリケートゾーンにおりものが付着したままでいると、不快感があるだけでなく、においやかゆみが発生しやすくなります。
しかし、おりものが気になるからといって洗浄力の強いボディーソープを使うと、粘膜を刺激して余計におりものが増えてしまったり、痛みがでてきたり、必要な常在菌まで減ってしまいます。
デリケートゾーンを清潔に保つには、お湯で汚れを優しく洗い流す程度で十分です。
強いボディーソープを使用したり、過度に擦ったりするようなことは避けましょう。
また、ショーツの通気性が悪かったり、ピタッと肌に密着するような下着やズボンは、デリケートゾーンが漏れやすくなります。
通気性に優れたコットンの下着や、ゆったりしたボトムスを着用するようにしてください。
シャワー後には下着をつけず、通気性の良いパジャマを履くことで通気性が良くなり、おりものの量が減ったり、蒸れによる不快感を解消したりすることができます。
水っぽいおりものが気になるときの通院目安
おりものの量がピークになる排卵期には、触ると糸を引くような透明で水っぽいおりものが出やすくなります。
生理直後にも、水のようなさらりとしたおりものに変化するでしょう。
排卵期と生理直後については、サラサラとしたおりものが続いても、他に異常がなければ様子を見ても構いません。
しかし、排卵期と生理直後以外で水っぽいおりものが出る場合は、妊娠の可能性、または病気の疑いがあります。
外陰部にかゆみや腫れが生じていたり、おりものの色やにおいが普段と明らかに異なると気付いたりした場合には、迷わずクリニックで受診してください。
水っぽいおりものが気になる方は二宮レディースクリニックへ
排卵期や生理直後であれば、水っぽいおりものが出ても特に問題はありません。
しかし、普段よりも量が多いと不安を感じるものです。
また、それらの時期以外に水っぽいおりものが出ると、体に何らかのトラブルが起こっているのではないかと不安になるでしょう。
水っぽい場合はもちろん、おりものに関して何らかの不安を抱いている方は、医療法人心鹿会へお気軽にご相談ください。
下記クリニックは、医師をはじめスタッフ全員が女性なので、安心してご来院頂けます。