
「健康のバロメーター」といわれる女性のおりものは、体調の変化によって色合いやにおい、形状が変化することがあります。
普段は白色や透明のおりものが黄色に変わった場合は、体にどのような変化が起こっているのでしょうか。
今回は、黄色のおりものが出る原因について解説します。
考えられる病気や対処方法、クリニックを受診する目安もご紹介しますので、不安を感じているという方はぜひご一読ください。
「おりもの」とは?

そもそも女性のおりものには、どのような役割があるのでしょうか。
また、正常なおりものは、どのような特徴を持っているのでしょうか。
まずはおりものについて知っておきたい基礎知識をご紹介します。
おりものの役割
腟や子宮頸部、子宮内膜から出る分泌物を「おりもの(帯下)」といいます。
おりものには、主に2つの役割があります。
- 自浄作用
- 受精のサポート
おりものは腟内を酸性に保つことで、雑菌の侵入や増殖を防いでいます。
また、精子の移動をサポートして、妊娠しやすくする働きも持っています。
排卵が起こる時期に粘り気のあるゼリー状のおりものが出るのは、精子が侵入しやすくするためです。
正常なおりものの特徴
おりものが異常か否かを判断するためには、正常なおりものの状態を把握しておく必要があります。
正常なおりものには、主に以下の特徴があります。
- 色:白色、透明、乳白色、クリーム色
- におい:無臭、もしくはやや酸っぱい
- 形状:卵白に似ていてやや粘り気がある
- 量:排卵期や妊娠時には増加する
正常な状態のおりものは白色や透明ですが、下着やおりものシートに付着して乾燥すると、黄色に見えることがあります。
また、排卵期や生理予定日が近いと、茶褐色に見えることもあるでしょう。
いずれも正常な変化であり、問題はないので安心してください。
おりものが黄色の場合に考えられる病気

黄色や黄緑色、茶色や灰色など、病気を発症するとおりものの色が変化することがあります。
黄色の場合は、どのような病気を発症している可能性があるのでしょうか。
考えられる原因を5つご紹介します。
①腟トリコモナス症
トリコモナス原虫が腟内に寄生することで発症する感染症を「腟トリコモナス症」といいます。
主な症状は陰部のかゆみや赤み、性交痛や排尿痛で、黄色や黄緑色のおりものが出ることがあります。
また、おりものの変化としては、量が増加して強い悪臭を放ったり、泡状になったりすることもあるでしょう。
主な感染ルートは性行為であるため、発症した場合は自身だけでなく、パートナーにも治療が必要です。
腟錠や内服薬で症状を緩和できるので、感染の疑いがある方はクリニックを受診してください。
②淋菌感染症
淋菌が原因で発症する性感染症を「淋菌感染症」といいます。
国内でも患者数が多い病気で、感染から2-7日程度の潜伏期間を経て症状が現れることがあります。
男性の場合は排尿時に強い痛みを感じたり、膿のような分泌物が尿道から排出されたりと、明白な症状が現れる一方で、女性の場合は発症しても無症状であるケースがほとんどです。
症状は軽いものの、黄色や黄緑色の膿のようなおりものが出たり、下腹部痛や性交痛が起こったりするケースがあります。
また、症状が悪化すると子宮内膜炎や卵管炎、腹膜炎を発症することもあります。
不妊や子宮外妊娠につながる可能性もあるので、感染に気付いたら早急に適切な治療を受けましょう。
③萎縮性腟炎
女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の分泌量が減ってしまうことで腟壁が乾燥し、ただれてしまう病気を「萎縮性腟炎(老人性腟炎)」といいます。
閉経前後や産後に見られる病気で、発症すると黄色や茶色のおりものが出ることがあります。
また、乾燥によって陰部のかゆみや出血、性交痛などの症状が現れることもあるでしょう。
萎縮性腟炎自体は深刻な病気ではありませんが、腟の乾燥を放置すると、自浄作用が弱まって炎症や細菌感染が起こりやすくなります。
軟膏や腟錠を用いた治療の他、医療用レーザー(モナリザタッチ、インティマレーザーなど)でも治療が可能なので、気になる症状があるという方はクリニックを受診してください。
④細菌性腟症
腟内で雑菌が繁殖し、炎症を起こす病気を「細菌性腟症」といいます。
細菌性腟症が起こる原因は明らかになっていませんが、疲れやストレス、睡眠不足など、何らかの理由で体の免疫力が低下すると、腟内を清潔な状態に保つことが難しくなり、発症すると考えられています。
細菌性腟症は症状が現れにくいものの、発症すると魚が腐ったようなにおい(アミン臭と呼ばれます)のする黄色のおりものが出るという点が特徴です。
また、外陰部にかゆみや赤みが出たり、性交痛を感じたりすることもあるでしょう。
デリケートゾーンの衛生状態が悪化すると発症しやすくなるので、腟の乾燥や蒸れ、過度な洗浄には十分に注意してください。
⑤子宮頸管炎
細菌やウイルスに感染して、子宮頸管で炎症が起こる病気を「子宮頸管炎」といいます。
無症状であるケースも少なくありませんが、発症すると黄色や黄緑色、灰色の膿のような粘り気のあるおりものが出るという点が特徴です。
また、下腹部に痛みを感じたり、性交痛・排尿痛が起こったりすることもあるでしょう。
感染の原因は明らかになっていませんが、免疫力の低下や加齢、性交時の刺激や損傷が要因となって発症すると考えられています。
悪化すると強い腹痛や高熱といった症状も現れるので、発症の可能性に気付いたら早急にクリニックを受診してください。
おりものが黄色の場合の対処方法

通常と異なる黄色のおりものが出た場合は、どのような方法で対処すれば良いのでしょうか。
おりものの状態を改善できる可能性がある対処方法をいくつかご紹介します。
クリニックを受診する
1週間以上おりものの異常が続く場合は、何らかの病気を発症している可能性があります。
感染症のような病気を放置すると、腟だけでなく子宮内部にまで感染が広がったり、悪化して深刻な症状を引き起こしたりする可能性があるので、放置せずに婦人科を受診してください。
婦人科では、検査によって黄色のおりものが出る原因を突き止め、適切な治療を行います。
医師に相談せずに市販薬を使用したり、過度に腟内洗浄を行ったりすると治療に遅れが生じることもあるので、医師の指示に従って安静に過ごしましょう。
デリケートゾーンを清潔に保つ
デリケートゾーンが不衛生な状態にあると、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。
すでに感染症を引き起こしている場合は症状が悪化してしまうので、清潔な状態を保つように意識することが大切です。
通気性・吸湿性に優れた下着を着用したり、おりものシートをこまめに交換したりと、デリケートゾーンが蒸れないように注意しましょう。
清潔な状態を維持することは大切ですが、雑菌に対抗できる常在菌が少なくなると感染が起こりやすくなります。
石鹸やボディーソープで洗浄する必要はないので、ぬるま湯で軽くすすぐ程度にとどめて、デリケートゾーンを過剰に洗浄しないように注意してください。
疲労やストレスを解消する
ホルモンバランスが乱れると、腟内の自浄作用が低下して雑菌が繁殖しやすくなります。
疲労やストレスが溜まるとホルモンバランスが乱れてしまうので、適度に解消するように心がけましょう。
バランスの良い食事で十分に栄養を摂取して、質の良い睡眠をとることが大切です。
適度な運動を取り入れたり、趣味を楽しむ時間を確保したりして、生活の質を高めると良いでしょう。
自身に合った疲労やストレスの解消方法を探して、心身を労わってください。
病気や感染症が原因であれば早期に改善することが大切です。
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おりものの変化でクリニックを受診する目安
おりものの変化でクリニックを受診するか否か迷っているという方は、下記を目安に判断しましょう。
- おりものに血が混ざっている
- おりもののにおいが強い(魚が腐ったようなにおい、イカ臭い)
- 陰部にかゆみがある
- 下腹部に痛みがある
- 性交時や排尿時に痛みがある
- 短時間でおりものの状態が改善した
- おりもの以外に気になる変化(かゆみや痛み)は起こっていない
ちょっとした体調不良でおりものが変化することもありますが、深刻な病気を発症している可能性もあります。
上記の症状に一つでもあてはまった場合は、早急にクリニックを受診してください。
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気になるおりものについては医療法人心鹿会へご相談ください

おりものは、女性の健康状態を判断するバロメーターです。
普段から色合いやにおい、形状などに注目して、変化を見逃さないように注意しましょう。
おりものに関する不安は、医療法人心鹿会へご相談ください。
当院の女性医師が原因を探って、患者様一人ひとりに適した治療方法をご提案いたします。
おりものの色がおかしい、おりものに血が混ざっているなど、まずはお気軽にご相談ください。
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