
セックスで濡れないのはなぜ?考えられる原因や対処方法、医療機関での治療方法をご紹介
腟が乾燥していると、セックスの際に痛みを感じやすくなります。
「挿入の際に痛みを感じる」、「挿入がスムーズに行えない」という場合は、濡れにくくなっているのかもしれません。
腟のうるおい不足は、なぜ起こるのでしょうか。また、どのような方法で対処すれば良いのでしょうか。
今回は、セックスで濡れない原因について解説します。
自宅でできる対処方法や医療機関が行っている治療方法もご紹介しますので、性交痛が気になるという方はぜひご一読ください。
セックスで腟が濡れる仕組み
気持ちが高まったり、物理的な刺激を受けたりすると、女性の腟は自然にうるおう仕組みになっています。
セックスによって傷付かないようにするために必要な機能であり、濡れることによって体が腟を保護しているのです。
発生する愛液の量や質は人によって異なり、同じ人であっても、月経の周期やホルモンバランス、体調など、様々な要因によって変化します。
また、「セルフプレジャーでは問題ないのに、パートナーとのセックスになると濡れない」というように、シチュエーションで変化することもあるでしょう。
セックスで濡れない原因

以前は問題なかったのに、最近は腟の乾燥が気になるという方もいるでしょう。
セックスの際に濡れなくなってしまうのは、なぜなのでしょうか。考えられる原因をいくつかご紹介します。
①加齢・ホルモンバランスの変化
加齢によって、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の分泌量が減少すると、腟の萎縮や乾燥が起こりやすくなります。
加齢だけでなく、妊娠や出産などでホルモンバランスが変化すると、腟が乾燥しやすくなるでしょう。
加齢に伴うホルモンバランスの変化は個人差が大きく、早ければ30代に入った頃から変化が見られる方もいます。
妊娠や出産によって濡れにくくなった場合は一時的であり、産後にホルモンバランスが落ち着くことで、自然に症状が改善されるケースがほとんどです。
②セックスへのネガティブな感情
セックスに対して「恥ずかしい」、「怖い」という感情があると、体が緊張して腟が乾燥しやすくなることがあります。
その結果、腟や陰部から粘液の分泌が十分に期待できない状態となってしまうのです。
無理にセックスを行うと、腟に痛みを感じて、よりセックスに対して苦手意識を持ってしまう方もいます。
性的な興奮を感じることができないときには、まずは気持ちを落ち着かせて、リラックスできるように努めましょう。
③疲労・ストレス
セックスに対するネガティブな感情と同様に、疲労やストレスが原因で体が緊張状態に陥り、濡れにくくなるケースもあります。
仕事や家事・育児の負担など、日常生活の中で疲労やストレスが蓄積すると、心身がリラックスできなくなります。
心身が緊張状態にあると、脳が性的興奮モードに切り替えることができず、結果として腟が乾燥してしまうのです。
疲労やストレスが溜まっているときには、無理をせず、適度に休息を取るように心がけましょう。
④気持ちが高まらない
セックスに対する気持ちが高まらないと、腟のうるおいが不足することがあります。
性的興奮の度合いは、体への物理的な刺激だけでなく、気持ちの高まりにも左右されます。
どんなに体に刺激を与えても、気持ちが追いつかないとオキシトシンが上手く分泌されず、濡れにくくなってしまうのです。
気が乗らないと感じたときには、セックスを行う前に、パートナーと会話やキス、ボディタッチをして、気持ちを高めることが大切です。
⑤体質・習慣
決定的な原因がなくとも、そもそも体質や習慣によって濡れにくいという方もいます。
冷え性によって血行不良が起こりやすいと、毛細血管が萎縮して、腟や陰部から粘液の分泌液が出にくくなる傾向にあります。
また、体内の水分量が不足していると、血の巡りが悪くなって血行不良につながり、腟が濡れにくくなるでしょう。
冷え性が気になるという方は、温かい飲み物を摂取したり、ひざ掛けを使用したりして、体温が低下しないように注意してください。
運動する習慣がないという方は、適度に体を動かして血行を促進しましょう。
セックス以外のときにも、自身が性的に興味を持てる情報を得て、脳に性的な刺激を与えることも重要です。 脳に性的な興奮を起こすトレーニングになり、濡れやすい体質になることを助けます。
薬の副作用
低容量ピル、抗うつ薬、抗アレルギー薬、血圧の薬など、一部の薬剤には腟の乾燥を引き起こす副作用があります。
服薬中に腟の乾燥が気になるようになった場合は、かかりつけの医師に相談してみましょう。
濡れない状態を放置するリスク

大きな病気ではないため、腟の乾燥を放置してしまう方もいます。
セックスの際に濡れない状態を放置すると、どのようなリスクが考えられるのでしょうか。詳しく解説します。
性交痛が起こりやすくなる
濡れにくい状態でセックスを行うと、性交痛が起こりやすくなります。
男性器を挿入した際やピストン運動を行った際に、腟壁に引っかかったり、摩擦が起こったりして、痛みを感じやすくなるのです。
また、うるおいが不足した状態にあると、腟内だけでなく、外陰部にも痛みが起こりやすくなります。
性交痛がある場合は、無理にセックスを行わないようにしましょう。
性器が傷付きやすくなる
濡れにくい状態でセックスを行うと、痛みを感じるだけでなく、性器が傷付いて出血が起こる可能性もあります。
腟から分泌される粘液には、摩擦を減らして男性器の挿入をなめらかにする役割があります。
そのため、乾燥した状態で無理に挿入を行うと、腟壁が傷付くだけでなく、会陰裂傷のような怪我につながる可能性があるのです。
性器に傷が付くと、炎症が起こったり、排泄器官にも近いため感染症にかかったりするリスクがあります。
性器が傷付いて痛みがなかなか治まらない、出血があるという場合には、我慢せずに医療機関を受診してください。
セックスを苦痛に感じてしまう
うるおい不足のせいで性交痛が起こると、セックス自体が苦痛になってしまいます。
痛みに対する不安や恐怖だけでなく、気乗りしないことでパートナーに申し訳ないという気持ちを抱き、よりセックスに対して消極的になってしまいます。
セックスに対する抵抗感や拒絶反応から、パートナーとの関係性が悪化してしまうケースもあるでしょう。
性的興奮を感じられない、セックスに対して積極的になれないというときには、パートナーに相談してよく話し合うことが大切です。
自宅でできる!セックスで濡れないときの対処方法

腟のうるおい不足によって痛みを感じると、セックスを苦痛に感じるようになってしまいます。
腟の乾燥によって性交痛が起こっているという方は、適切な方法で対処しましょう。
自宅でできる、セックスで濡れないときに試したい対処方法をいくつかご紹介します。
①潤滑ジェルを使用する
意識的に濡らすことは難しいので、腟の乾燥が気になるという方は「潤滑ジェル」を使用すると良いでしょう。
加齢やストレスなどに原因がある場合は、根本的な解決にはなりませんが、一時的に腟にうるおいをもたらすことができます。
セックスの際に「濡らさないといけない」、「濡れないと困る」というプレッシャーを感じると、腟がより乾燥しやすくなってしまいます。
うるおいが足りないと感じたときには、無理をせずに潤滑ジェルのようなアイテムを頼るのも一つの手です。
②生活習慣を見直す
血行不良になると腟が濡れにくくなるので、規則正しい生活を心がけましょう。
睡眠不足や運動不足の状態が続いたり、偏った食生活を続けていたりすると、全身の血の巡りが悪くなってうるおいが不足します。
生活習慣が乱れているという方は、以下を心がけましょう。
・しっかりと睡眠時間を確保する
・栄養バランスの整った食事を取る
・運動習慣を身につける
・定期的に休息を取る
③水分を摂取する
「血行を促進するためにも、積極的に水分を摂取した方が良い」という文章を時々目にしますが、医学的な根拠は少ないので注意しましょう。
適切な水分摂取(1日1.5~2リットル程度)は全身の健康維持に重要ですが、腟の潤滑に直接的な影響を与えるという医学的根拠は限定的です。
腟分泌液の産生は、主に血管の透過性やホルモンバランス、性的興奮時の生理的反応によって調節されていて、単純な水分摂取量との直接的な関連性は確立されていません。
ただし、セックスを行う際の発汗に対応するための水分摂取は、非常に大切です。
パートナーとセックスを行う前後には、適度に水分を摂取しましょう。
④自身の体について知る
セックスの経験が少ない、不安を抱いているという方は、まずは自身の体について知ることが大切です。
セックスに対してネガティブな感情を抱いていると、気持ちが高ぶらずに腟が濡れにくくなってしまいます。
まずはセルフプレジャーを行い、自身がリラックスした状態で、セクシャルな気持ちを高められるポイントを探してみましょう。
セルフプレジャーを行うことで、「気持ち良い」という感覚を掴みやすくなります。
感度が良くなって腟がうるおいやすくなるので、恥ずかしがらずに挑戦してみてください。
医療機関が行っている治療方法
セックスの際に腟の乾燥が気になっても、自力では改善できないこともあります。
自宅でできる対処方法を試しても改善できない場合には、医療機関を頼りましょう。
最後に、医療機関が行っている、腟のうるおい不足を改善できる治療方法をご紹介します。
ホルモン補充療法
腟が濡れにくい場合は、女性ホルモンを投与することで改善できる可能性があります。
腟錠や内服薬、貼り薬やジェルなどを使って「エストロゲン」を補充するという方法で、女性ホルモンの作用で腟の萎縮や乾燥といった症状を改善します。
腟のうるおい不足を解消する効果が期待できますが、人によっては副作用が出ることもあるので、ホルモンの局所投与を行いたい場合は、必ず医療機関で処方してもらいましょう。
腟レーザー
腟が濡れにくい場合は、腟レーザー治療(モナリザタッチやインティマレーザー)も有効です。
腟壁に医療用レーザーを照射することで、腟粘膜の再生を促し、うるおいや弾力をもたらします。
女性ホルモンを投与せずに治療が行えるため、子宮がんや乳がんの治療後にも施術を受けることが可能です。
効果の現れ方には個人差がありますが、数日から2週間程度で効果が実感できるでしょう。
入院の必要はなく、月に1回、全3回の施術で治療が完了します。
デリケートゾーンに関するお悩みは医療法人心鹿会へご相談ください

セックスの際に濡れない状態を放置していると、痛みが悪化したり、パートナーとの関係性が悪化したりする可能性があります。
腟のうるおい不足が気になるという方は、放置せずに適切な治療を受けましょう。
デリケートゾーンに関するお悩みは、医療法人心鹿会へご相談ください。
当院の医師が、患者様の状態に合わせて最適な治療方法をご提案いたします。
医師をはじめとしたスタッフは全員女性ですので、まずはお気軽にご相談ください。