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2023.09.04

京都院

トラベルクリニックの料金について解説!海外渡航前に受けたい予防接種と費用の目安

海外赴任や海外留学が決まったものの、何から準備を始めれば良いのかわからないという方もいるでしょう。

渡航理由や渡航先によっては、健康診断や予防接種が必要となります。

予防接種は一日では終わらないこともあるので、海外渡航が決まったらすぐに「トラベルクリニック」へ相談しましょう。


今回は、トラベルクリニックで受けられる予防接種の種類や料金相場、海外で注意が必要な病について解説します。

目次
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トラベルクリニックとは?

海外に渡航する方や帰国された方の健康をサポートするのが、トラベルクリニックの役割です。

トラベルクリニックは一般的なクリニックとは異なり、旅行医学や渡航医学を専門としています。


旅行医学は幅広く専門性の高い分野で、内科学・外科学・小児科学・救急医学・熱帯医学・予防医学・登山医学・潜水医学などに精通しています。


海外渡航において最も懸念されるのが、感染症です。


旅行や留学、ビジネスなど、近年は海外に行く方が増えていますが、渡航先によっては様々な感染症に注意する必要があり、事前に情報収集を行ったり予防接種を受けたりしなければいけません。


安全に海外渡航できるよう、渡航先の情報を提供したり予防接種を行ったりと、準備をサポートするのがトラベルクリニックの役割なのです。

予防接種の料金

予防接種の料金の目安

渡航先によって、推奨されるワクチンの種類は異なります。

ここでは、接種が必要なワクチンの種類と回数、料金相場をご紹介します。

海外渡航前に予防接種は必要?

「何度も海外旅行をしているけれど、感染症にかかったことはないから大丈夫」、「お金がもったいないし、面倒だから予防接種は受けない」といった考えをお持ちではないでしょうか。

海外渡航に際して予防接種を受けることは、ある意味義務ともいえます。

渡航先によっては、入国時に特定の病気に対する予防接種の接種証明書の提示が求められるケースがあるため、予防接種を受けることは必須です。


また、海外では、近年日本ではみられない感染症が流行していることもあります


日本国内に感染症を持ち込まないためにも、事前に予防接種を受けておきましょう。

海外で特に注意したい病

海外では、日本ではみられない感染症が流行している可能性があるとお話しましたが、その代表が「腸チフス」や「狂犬病」です。

現在でも、世界では年間1,600万人が腸チフスに感染し、うち60万人が死亡しています。

また、日本では狂犬病というと「一昔前の病気」というイメージが強いものの、世界では現在も年間約55,000人が死亡する恐ろしい病気であり、アメリカを含む先進国でも感染が懸念されています。


他にも、海外へ渡航する上で注意したい病は、以下の通りです。

A型肝炎/B型肝炎/破傷風/日本脳炎/麻疹(はしか)/風疹/水ぼうそう(水痘)/おたふくかぜ/インフルエンザ/髄膜炎/肺炎/感染性腸炎 など

この中でも特に多いのが「感染性腸炎」です。

感染性腸炎は放置しても自然に治まるケースが多いものの、感染すれば下痢や嘔吐、腹痛といった症状に悩まされます。

海外渡航の際には、事前に的確な情報収集をすることが大切です。

海外渡航に必要な予防接種と料金相場

国によって感染が懸念される病は異なります。地域ごとにどのようなワクチンが推奨されているのでしょうか。

推奨ワクチンの種類と回数、料金相場をご紹介します。

地域別推奨ワクチン

推奨されているワクチンは、渡航先の地域によって異なります。大きく3つの地域に分けてご紹介します。

▼アジア地域(東アジア・南アジア・東南アジア)
麻疹・風疹/A型肝炎/B型肝炎/破傷風/狂犬病/日本脳炎/腸チフス/コレラ/ポリオ
※東アジアのみ「腸チフス/コレラ/ポリオ」は除く。

▼中近東・中南米・アフリカ地域(北アフリカ・中央アフリカ・南アフリカ)
麻疹・風疹/A型肝炎/B型肝炎/破傷風/狂犬病/腸チフス/ポリオ/髄膜炎菌/黄熱
※中央アフリカのみ「コレラ」も推奨。

▼欧米(北米・ヨーロッパ)・オセアニア地域
麻疹・風疹/A型肝炎/B型肝炎/破傷風/狂犬病/日本脳炎

渡航に際して接種が必要となるワクチンは、感染の流行状況や渡航期間、時期や活動内容などで異なります。

上記はあくまで参考程度に留めて、必ず渡航前に接種が推奨されているワクチンを確認してください。

予防接種の回数と料金相場

ワクチンは、種類によって接種回数や料金相場が異なります。また、ワクチンが国産か輸入かによっても異なります。

ここでは、各クリニックで取り扱いの多い「国産ワクチン」を例に、過去一度も接種していない場合の接種回数と1回あたりの料金相場をご紹介します。

▼ワクチンの接種回数と料金相場

ワクチン名
接種回数
料金相場
A型肝炎
3回
8,000~10,000円程度
B型肝炎
3回
7,000~8,000円程度
破傷風
3回
3,000~5,000円程度
狂犬病
3回
13,000~18,000円程度
日本脳炎
3回
7,000~8,000円程度
MR(麻疹・風疹)
2回
11,000~13,000円程度
麻疹
2回
7,000~8,000円程度
風疹
2回
7,000~8,000円程度
水痘
2回
7,000~8,000円程度
おたふくかぜ
2回
6,000~7,000円程度
髄膜炎菌
1回
22,000~24,000円程度


※「医療法人心鹿会海と空クリニック京都駅前」では、2023年度国産ワクチンのみを扱います。

ワクチン接種の間隔については、クリニックがスケジュールを組んでくれますので、医師に確認してください。

複数回接種が必要なワクチンの場合、2回目以降の接種を忘れてしまうと基礎接種が未完了となり、打ち直しになることもあるので注意しましょう。

トラベルクリニックの詳細はこちら

まとめ

  • 渡航先によっては接種証明書の提示を求められるため、予防接種を受けておく必要がある。
  • 海外では「腸チフス」や「狂犬病」など、日本では珍しい病が流行していることがある。
  • 接種が必要なワクチンの種類は、感染の流行状況や渡航期間、活動内容によって異なる。

予防接種以外に発生する料金

トラベルクリニックでは、予防接種以外にも以下の料金がかかります。

・初診料・再診料
・英文書類作成料金

それぞれの料金はクリニックによって異なりますが、初診料の料金相場は3,000~5,000円程度、再診料の料金相場は500~1,000円程度です。

診断書やワクチンの接種証明書を英文に翻訳する場合は、英文書類作成料金として、1通につき5,000~10,000円程度が必要となります。

旅行や留学、海外赴任の準備のためにトラベルクリニックを利用する際には、予防接種の料金だけでなく、初診料や再診料、英文書類作成料金を含めた総額料金を把握しておきましょう。

予防接種だけじゃない!トラベルクリニックの診療内容

トラベルクリニックで利用できるサービス

トラベルクリニックでは、予防接種以外にも海外渡航前の様々な健康サポートを行っています。トラベルクリニックの診療内容をご紹介します。

健康診断

トラベルクリニックでは、海外渡航者向けに「健康診断」も行っています。

日本では、6ヶ月以上海外で勤務する従業員に対し、事業所は赴任前や帰国後に健康診断を実施することが法律で義務付けられています。

6ヶ月以上の海外赴任が決まった方は、必ず健康診断を受けてください。


海外赴任に限らず、渡航先によっては、現地の学校へ入学する際に健康診断書の提出を求められることがあります。

留学を予定している方は、トラベルクリニックへご相談ください。

予防薬・常備薬の処方

トラベルクリニックでは、渡航先の感染状況や渡航目的に合わせて、予防薬や常備薬を処方しています。

マラリアが流行する地域へ渡航される方には「マラリア予防薬」、高地へ行かれる予定がある方には「高山病予防薬」の処方が可能です。

海外では、慣れない環境の中で体調を崩しやすくなります。


風邪薬や胃腸薬、点眼薬や軟膏といった馴染みのある常備薬を用意したいという方は、トラベルクリニックへご相談ください。

ウイルス検査・抗体検査

予防接種の他にも、抗体検査や結核検査、新型コロナウイルスPCR検査や新型コロナウイルス抗原検査も可能です。

クリニック内で検査が行える場合は数十分から数時間で結果が出ますが、ラボへ外注している場合は結果が出るまでに数日から数週間程度かかります。

海外渡航に合わせて検査を受けたいという方は、日数に余裕をもって診察を受けましょう。


実施している検査の内容はクリニックによって異なるため、事前に希望する検査が受けられるか確認しておくと安心です。


「海と空クリニック京都駅前」では院内での新型コロナ検査ができませんので、前日までの予約が必要です。

まとめ

  • 6ヶ月以上海外で勤務する場合、赴任前や帰国後に健康診断を受けることが法律で義務付けられている。
  • トラベルクリニックでは、「マラリア予防薬」や「高山病予防薬」などの処方が可能。
  • ウイルス検査や抗体検査も受けられるが、結果がわかるまでに日数がかかるため、早めにクリニックに相談しておく必要がある。

トラベルクリニック受診の流れ

トラベルクリニックを初めて利用する場合、どのような流れになるのかわからずに不安を感じる方もいるでしょう。

診察までの流れはクリニックによって異なりますが、ここでは基本的なトラベルクリニックの受診の流れをご紹介します。

①WEBで予約

トラベルクリニック専門のクリニックもあれば、一般的な診療の合間にトラベルクリニックとして診察を行っているクリニックもあります。
連絡をしたからといってすぐに診察が受けられるとは限らないので、余裕をもって予約を取りましょう。
予約の際には、クリニック側に診察希望日時や渡航先、接種希望ワクチンを伝えてください。

②診察・予防接種

予約をした日時にクリニックに来院して、医師の診察を受けます。
予約時にワクチンの種類を伝えていれば、スムーズに予防接種を受けられます。

③次回接種日の確認

複数回接種が必要なワクチンに関しては、次回以降のスケジュールを確認します。
医師が渡航に合わせてスケジュールを立ててくれるはずですので、忘れずに次回の予約を済ませておきましょう。

④会計

診察と予防接種が完了したら、会計を済ませます。
企業の都合で海外赴任をする場合は、個人請求ではなく会社請求ができることもあるので、事前に確認しておきましょう。

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トラベルクリニックに関するQ&A

トラベルクリニックに関するよくある質問

トラベルクリニックに関して質問の多い項目をQ&A形式でまとめました。トラベルクリニックの利用を検討しているという方は、ぜひご一読ください。

帯同する家族も受診できる?

A.受診可能です。

帯同されるご家族がいる場合、日本での予防接種の接種状況や、現地の学校への入学に必要な予防接種の確認が必要となります。

帯同されるご家族に関しても、ご本人と同様に医師がスケジュールを立てて予防接種を行います。


一般健康診断も受けられるので、安心して渡航するためにもトラベルクリニックを受診しておきましょう。


「海と空クリニック京都駅前」では、お子様向けのワクチン接種は実施しておりません。成人向けのワクチン接種のみ対応可能です。

診断書・証明書は英文に翻訳してもらえる?

A.英文翻訳も可能です。

クリニックによって翻訳できる書類の種類は異なりますが、トラベルクリニックであれば、診断書や予防接種証明書といった基本的な書類の英文翻訳が可能です。

薬剤証明書や母子手帳、処方箋の英文翻訳を受け付けているクリニックもあり、他院で受け取った書類を翻訳してくれることもあるので、英文翻訳を希望する書類がある場合は医師に相談してみましょう。

持病の相談もできる?

A.持病に関する相談も可能です。

海外では、食生活が変化したり運動不足になったりと、国内とは違って持病が悪化してしまう可能性が高くなります。

生活習慣病がある方は、特に注意が必要です。


持病を抱えているという方は、事前にトラベルクリニックを受診して持病の薬を処方してもらいましょう。


渡航先で現地の医療機関を受診することになった場合は、英文診断書が必要になります。


診断書も忘れずに作成してもらってください。

予防接種の料金に関するご相談は海と空クリニック京都駅前へ

トラベルクリニックの料金に関する記事のまとめ

トラベルクリニックでは、海外渡航に必要な健康診断や予防接種を受けることができます。

また、持病に関する相談や薬の処方も可能です。

出発間際になって慌てないためにも、海外渡航が決まったらすぐにトラベルクリニックを予約しましょう。


海外渡航の準備や健康問題に関しては、海と空クリニック京都駅前へご相談ください。


海と空クリニック京都駅前では、感染症医に適宜相談することも可能です。

海と空クリニック京都駅前へのご相談はこちら
この記事の監修者
池田 裕美枝

京都大学医学部卒業。総合内科研修後、産婦人科に転向。現在、海と空クリニック京都駅前院の院長として専門的診療に従事。また、神戸市立医療センター中央市民病院女性外来等を担当しつつ京都大学大学院医学研究科にて、女性の社会的孤立や月経前症候群による社会的インパクトなどを研究している。