
毎月、生理の前後に腹痛や腰痛、頭痛や吐き気など、辛い症状に悩まされているという方は少なくありません。
眠れないほど辛い生理痛が起こったときには、どのように対処すれば良いのでしょうか。
今回は、生理痛に悩んでいる女性に向けて、具体的な対処方法をご紹介します。
生理痛が起こる原因や月経困難症についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
生理痛で眠れないときに試したい対処方法

激しい腹痛や頭痛が起こると、眠ることすら困難になります。痛みを緩和するためには、どのような対処方法をとれば良いのでしょうか。
生理痛で眠れないときに試したい対処方法を4つご紹介します。
①体を温める
痛みが辛くて眠れないときには、血行を促進するために下腹部のあたりを温めましょう。
体が冷えると血行が悪くなり、プロスタグランジン(子宮筋の収縮や血管拡張などに作用する、痛みのもととなる物質)が下腹部のあたりに滞って、生理痛を引き起こします。
痛みを緩和したい場合は、下腹部にカイロをあてたり、湯船に浸かったりして体を温めましょう。
腹巻や湯たんぽ、ひざ掛けや毛布を使用するのもおすすめです。
冷たい食べ物や飲み物、薄着や締め付けの強い下着は避けるなど、体を冷やさないように日頃から注意しておくことが大切です。
②鎮痛剤を服用する
痛みがあまりにもひどく、眠れないほど辛いときには、鎮痛剤を使用すると良いでしょう。
鎮痛剤には、痛みのもととなるプロスタグランジンの生成を抑制する働きがあるため、生理痛を緩和できます。
鎮痛剤を使用する場合は、痛みがピークに達してからではなく、痛みを感じ始めたタイミングで服用することが大切です。
痛みがひどくなってから服用すると、薬が効きにくくなってしまうので、タイミングを計って使用してください。
月に何度も鎮痛剤を使用している、鎮痛剤が効かないほど強い痛みを感じるという場合は、生理痛ではなく他の病気を発症している可能性があります。
一度、婦人科を受診して、医師に相談することをおすすめします。
③軽い運動を行う
運動を行うと、全身の血行が促進されて痛みを緩和できます。
可能であれば、ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動を行いましょう。
生理中は激しい運動は控えた方が良いものの、体を全く動かさないと、血行が悪くなって生理痛が起こりやすくなります。
軽い運動を行って、骨盤や股関節周辺の筋肉を動かしたり、足の付け根の筋肉をほぐしたりすると、血行が促進されて痛みを緩和できます。
日頃から運動する習慣を身につけて、血行不良が起こらないように注意しましょう。
動けないほど痛みが強い、貧血やめまいを起こしやすいという方は、体調をみながら無理のない範囲で取り入れてください。
④楽な姿勢をとる
体が縮こまったり、緊張したりすると血行が悪くなってしまうので、痛みを感じたときには楽な姿勢をとりましょう。
下腹部に力が入り過ぎないように、体の力を抜いてリラックスすることが大切です。
寝そべって横向きになり、軽く背中を丸めて、少しだけ膝を曲げると良いでしょう。
仰向けやうつ伏せの方が楽だという方もいるので、自身が楽だと感じる姿勢を探してください。
同じ姿勢をとり続けると、血行が悪くなってしまいます。
クッションや毛布などで体を温めながら、時々寝返りを打って姿勢を変えましょう。
⑤ツボを押す
辛い生理痛には、ツボ押しやツボ温熱療法も有効です。
生理痛の症状を緩和したい場合は、以下のツボを刺激してみましょう。
・三陰交(さんいんこう)
足の内側のくるぶしにある出っ張った骨から指4本分、上に位置するツボです。
ホルモンバランスを整えて、生理痛や冷えなどの症状を改善します。
・気海(きかい)
おへそから指2本分、下に位置するツボです。
全身の血行を促進して、冷えや便秘、腹痛や腰痛などの症状を改善します。
・合谷(ごうこく)
手の甲にある、親指と人差し指の間のくぼみに位置するツボです。
自律神経を整え、腹痛や腰痛、頭痛や肩こりを解消します。
精神を安定させるツボでもあるので、イライラしているときや気分が落ち込んでいるときに押すと良いでしょう。
ツボを温める際には、ホットパックやホットタオル(蒸しタオル)を使用してください。
やけどに注意しながら、リラックスした状態でツボに3~5分程度あてましょう。
生理痛が起こる主な原因

激しい痛みが起こると、病気ではないかと心配になります。
生理痛が起こる原因は、一体何なのでしょうか。本当に生理だけが原因なのでしょうか。詳しく解説します。
子宮の発達が未熟
若い女性は、子宮の発達が未熟であるために生理痛に悩まされることがあります。
経血の出口である子宮頸部が狭い上に硬く、経血をスムーズに押し出せないことが原因として考えられます。
経血を押し出そうと過剰に子宮の収縮が起こり、痛みが強く現れるのです。
子宮が成熟すれば自然に治まるため、20歳を迎える頃には生理痛が軽くなる方が多いです。
また、出産を経験することで子宮口が広がり、生理痛が軽くなるケースもあるでしょう。
肉体的・精神的ストレス
肉体的・精神的ストレスが原因となって、生理痛がひどくなることもあります。
ストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、血行を悪化させて痛みを強くします。
仕事の悩みや人間関係のトラブルなど、精神的なストレスだけでなく、過労や睡眠不足など、肉体的なストレスにも注意が必要です。
ストレスが溜まったときには、お気に入りの音楽を聴いたり、興味のある本を読んだりして、上手く解消しましょう。
生活習慣を整えて、バランスの良い食事や質の良い睡眠をとることが大切です。
婦人科系の病気
下腹部の痛みがひどい場合は、婦人科系の病気を発症している可能性があります。
生理が原因だと思っていたら、実は、子宮筋腫や子宮内膜症などのトラブルが原因だったというケースもあります。
放置しておくと症状が悪化したり、不妊につながったりすることもあるので、早急に適切な治療を受けましょう。
生理が終わっても痛みが引かない、以前よりも経血の量が増えた、不正出血があるという場合は、一度、婦人科を受診してください。
生理痛がひどい場合は「月経困難症」?
鎮痛剤が効かなかったり、日常生活に支障をきたすほどの痛みを感じたりする場合は、「月経困難症」である可能性が考えられます。
月経困難症は、プロスタグランジンの過剰分泌や冷え、ストレスを原因とする「機能性月経困難症」と、婦人科系の病気を原因とする「器質性月経困難症」の2種類に分かれます。
いずれも適切な治療を受けることで症状を緩和できる可能性があるので、単なる生理痛だと思って我慢したり、放置したりせずに、婦人科を受診して医師に相談しましょう。
月経困難症の治療方法

「器質性月経困難症」の場合は、原因である婦人科系の病気の治療が行われますが、「機能性月経困難症」の場合は、どのような治療が行われるのでしょうか。
最後に、機能性月経困難症の主な治療方法をいくつかご紹介します。
鎮痛剤
生理痛の原因が「機能性月経困難症」にある場合は、痛みを緩和するために鎮痛剤が用いられることがあります。
痛みのもととなるプロスタグランジンの分泌を抑える働きがある「非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)」の使用が一般的で、「ロキソニン錠」や「バファリン錠」、「ボルタレン錠」などが挙げられます。
鎮痛剤を処方された場合は、痛みが強くなる前に服用してください。
また、「1日2回」というように医師や薬剤師から指示があった場合は、痛みがなくとも服用して飲み切ることが大切です。
漢方薬
生理痛の症状を緩和するために、鎮痛剤だけでなく漢方薬が処方されることもあります。
国内の医療機関で処方されるのは、中国由来の漢方薬ではなく、日本で独自に発展した「漢方医学」で使用される薬です。
生理痛の改善のために用いられる薬は、以下の通りです。
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):イライラやのぼせ、腹痛などの症状を緩和。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷えや貧血、めまいなどの症状を緩和。
漢方薬はドラッグストアでも購入できますが、自身に合った薬を使用するためにも、医療機関で処方してもらうことをおすすめします。
低用量ピル
避妊を目的に使用されるイメージが強い低用量ピル(経口避妊薬)ですが、実は、生理痛を和らげる効果も期待できます。
低用量ピルには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンが配合されています。
子宮内膜の増殖を抑制したり、痛みのもととなるプロスタグランジンの過剰な分泌を抑えたりする働きがあることから、服用すれば辛い生理痛の症状を緩和できるでしょう。
腹痛や腰痛、頭痛といった痛みはもちろん、経血量を減少させたり、生理不順を改善したりする効果も期待できます。
生理痛にお悩みの方は医療法人心鹿会へご相談ください

辛い痛みを繰り返し経験していると、生理が苦痛になってしまいます。
月経困難症のような病気を発症している可能性もあるので、眠れない生理痛に悩まされているという方は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。
生理痛にお悩みの方は、医療法人心鹿会へご相談ください。
当院の女性医師が、患者様に寄り添って適切な治療方法をご提案いたします。
生理が規則正しく来ない、生理でもないのに出血が起こるなど、患者様が抱えているお悩みについて、まずはお気軽にご相談ください。