思い当たる原因がないにもかかわらず、下腹部に違和感を覚えると不安になります。
左下腹部に痛みを感じる場合は、どのような原因が考えられるのでしょうか。また、放置しても良いものなのでしょうか。
今回は、女性の左下腹部にチクチクとした痛みが出る原因として考えられる病気をご紹介します。
クリニックの受診目安についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
左下腹部のチクチクとした痛みが気になる方は
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左下腹部の痛みは放置すると危険?
女性の下腹部には、子宮や卵巣、腸や尿路などの臓器が存在するため、痛みが起こった場合は様々な原因が考えられます。
特に異常がなくとも痛みが生じることもあれば、深刻な病気を発症している可能性もあります。
原因を探って適切な治療を行わなければ手遅れになることもあるので、「生理中だから仕方ない」、「大したことがないから大丈夫」と安易に考えずに受診を検討しましょう。
特に我慢できないほどの強い痛みがある、出血のような他の症状も出ているという場合には、早急に医療機関へ相談してください。
【生理前・中】左下腹部に痛みが出る原因
生理前や生理中には、病気のように深刻なトラブルが発生していなくとも下腹部に痛みが起こりやすいです。生理前や生理中には、どのような原因が考えられるのでしょうか。詳しく解説します。
生理痛
生理中は、経血を体外に排出するために子宮で収縮が起こります。
プロスタグランジンというホルモンが分泌されることで起こる現象であり、誰にでも起こる現象ですが、プロスタグランジンの分泌量が多いと、下腹部にチクチクとした痛みを感じることがあります。
人によっては、キリキリと締め付けられるような強い痛みを感じるでしょう。
排卵痛
排卵時に卵巣の膜を破って卵子が排出されると、排卵痛を感じることがあります。
排卵痛には個人差があり、下腹部に違和感を覚える程度の方もいれば、腰に強い痛みを感じる方もいます。
排卵が終わると自然に治まるため、3日以内には落ち着くでしょう。
卵巣は左右に一つずつ存在していて、左の卵巣で排卵が起こると左下腹部に、右の卵巣で排卵が起こると右下腹部に痛みを感じます。
妊娠
妊娠が成立すると、子宮が大きくなる過程で下腹部にチクチクした痛みを感じることがあります。
子宮の周囲にある靭帯や筋肉が伸びたり、神経が刺激されたりすることで起こる痛みで、お腹の張りを感じる方もいるでしょう。
子宮が急激に大きくなる妊娠初期にみられる症状で、妊娠中期には落ち着く傾向にあります。
妊娠中に起こる体の変化には個人差があるため、気になる症状があれば、かかりつけの医師に相談してください。
蠕動痛
消化した食べ物を移動させて、便として体外に排出するために腸が収縮したり、緩んだりする動きを蠕動運動(ぜんどううんどう)といいます。
蠕動運動が過剰に起こると、下腹部にチクチクやズキズキとした痛みを感じることがあります。
特に女性は生理周期にともなうホルモン変化によって、周期的に腸の蠕動運動も変化しています。例えば、生理中には子宮収縮に連動する形で必要以上に蠕動運動が起こり、「蠕動痛(ぜんどうつう)」と呼ばれる痛みが生じたり、月経前には黄体ホルモンの影響で腸に停滞が起きやすくなるために蠕動痛を強く感じることもあるのです。
安静にしていれば自然に治まりますが、痛みが強い、段々強くなっているという場合には、医療機関を受診してください。
筋肉・神経の痛み
「前皮神経絞扼症候群(ACNES)」もまた、左下腹部に痛みを起こすことがあります。
神経痛の一種で、外傷を受けたり、手術を受けたりした際に痛みが出ることもあれば、急激に運動を行ったり、タイトな服を着たりした際にも出ることがありますが、はっきりとした原因はわかっていません。
肥満や妊娠によって腹壁に緊張が起こり、痛みを感じることもあるでしょう。
30~50代の女性に多くみられるものの、10代の若い女性が発症するケースも珍しくありません。
前皮神経絞扼症候群(ACNES)の場合は、腹部の狭い範囲に「動くと瞬間的にビクッとした痛みが走る」、「服や下着が擦れると違和感を覚える」という症状が特徴です。
注射で改善できる可能性があるので、気になる症状を抱えている方は医療機関へご相談ください。
ピルの服用で下腹部痛が起こることがある?
1日1錠服用することで、生理痛の改善や避妊効果が期待できる低用量ピルですが、飲み始めた頃にチクチクとした下腹部痛が起こる可能性があります。
低用量ピルは、ホルモンバランスをコントロールして整えることで効果を発揮する薬であるため、一時的にホルモンバランスに乱れが生じると、下腹部痛や腰痛、頭痛や倦怠感といった症状が現れるのです。
低用量ピルの服用を続けると、2~3ヶ月程度でホルモンバランスが安定し、症状が緩和されます。
服用を続けても症状が治まらない、酷くなっているという場合は、かかりつけの医師に相談してください。
【生理以外】左下腹部に痛みが出る原因
生理以外のタイミングでは、どのような原因が考えられるのでしょうか。左下腹部に痛みを起こす病気をご紹介します。
子宮・卵巣の病気
女性特有の病気として警戒しなければならないのが、子宮や卵巣に関する病気です。左下腹部に痛みを起こす病気と、それぞれの特徴をみてみましょう。
子宮筋腫
子宮内にコブのような腫瘍ができる病気が「子宮筋腫」です。
主に30代以上の女性に多くみられ、良性ではあるものの、エストロゲンによって成長していくため閉経するまで大きくなるという特徴があります。大きくなる速さはゆっくりであることが多いため、ある程度の大きさになるまで自覚症状は全くなく、治療をしなくても問題ない人もたくさんいます。一方で、発生した位置によっては大きさに関係なく不妊をはじめとした様々なトラブルを引き起こすこともあります。
8cmを超えるくらいまで成長すると下腹部が圧迫されるような重い痛みを感じたり、徐々に月経痛が増したり、出血量が増加する可能性もあります。
月経の出血量が増加することによる貧血以外にも子宮筋腫が膀胱を圧迫することによる頻尿、月経時以外の不正出血に繋がることもあるので、気になる症状があれば医師に相談してください。
子宮内膜症
子宮の内部に存在するべき子宮内膜組織が、他の臓器や組織にできてしまう病気が「子宮内膜症」です。
子宮内膜組織が腹膜や卵巣といった他の部位にできてしまうと、女性ホルモンの影響を受けて、生理の際にその部位でも出血が起こります。
また、生理痛が悪化したり、下腹部痛や腰痛が起こったりするという点も特徴です。
「最近、生理痛がひどくなった」、「鎮痛剤を服用しても痛みが治まらない」という場合には、子宮内膜症を疑いましょう。
子宮頚管炎
腟の奥に位置する子宮頸管で炎症が起こることで、子宮周辺に痛みを感じる病気が「子宮頸管炎」です。
細菌やウイルスが原因で発症することもあれば、免疫力の低下や加齢、刺激や損傷などが要因となって発症することもあります。
子宮頸管炎を発症すると、子宮周辺の下腹部に痛みや張りを感じるでしょう。
膿のようなおりものが出たり、性交痛や腰痛が起こったりすることもあります。
重篤化すると腹痛が悪化する、高熱が出るといった症状も現れるので、我慢せずに医療機関を受診してください。
子宮体がん・子宮頸がん・卵巣がん
子宮や子宮頸管、卵巣などに発生する悪性の腫瘍を、それぞれ「子宮体がん・子宮頸がん・卵巣がん」といいます。
初期症状はほとんどありませんが、腫瘍が周辺の組織を圧迫して下腹部に痛みを感じることがあります。
個人差があり、チクチクと痛む場合もあれば、重い鈍痛を感じる場合もあるでしょう。
進行しないと自覚症状が現れにくいという特徴があります。
一般的にがんは高齢者の病気というイメージがありますが、婦人科に関連するがんは20~30代の女性でも発症するケースがあります。
気になる痛みがあれば医師に相談することはもちろんですが、症状がなくとも定期的にがん検診を受けましょう。
子宮外妊娠(異所性妊娠)
子宮内に着床するはずであった受精卵が、卵管のように子宮ではない場所に着床してしまう現象を「子宮外妊娠(異所性妊娠)」といいます。
妊娠検査薬で陽性反応が出たにもかかわらず、妊娠週数が経過しても胎嚢が確認できない場合には、子宮外妊娠である可能性を疑いましょう。
子宮外妊娠が起こると、生理以外のタイミングでも茶色いおりものが出ることがあります。
また、骨盤や頸部に痛みが生じたり、不正出血が起こったりすることもあるでしょう。
放置すると激しい腹痛が起こり、最悪の場合、卵管が破裂する可能性も考えられます。
出血性ショックで命に危険が及ぶこともあるので、子宮外妊娠の可能性に気付いたら早急に医療機関を受診してください。
卵巣茎捻転
卵巣で腫瘍性の病気(卵巣嚢腫)を発症し、卵巣と子宮を繋いでいる部分がねじれてしまう現象を「卵巣茎捻転(らんそうけいねんてん)」といいます。
卵巣嚢腫が大きくなった際に遠心力がかかって起こると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっておらず、予測することも難しい現象です。
子宮の左右いずれかを突き刺すような痛みを感じることが多く、人によっては嘔吐や不正出血が起こることもあるでしょう。
また、激しい下腹部痛や発熱などの症状が現れることもあります。
ねじれた状態を放置すると、血流が悪化して卵巣の組織が壊死してしまうので、検診で5cm以上卵巣の腫れを指摘されたことがある人が持続する腹部の痛みを感じたら早急に医療機関を受診してください。
腸の病気
女性に限られたことではありませんが、腸のトラブルを抱えていると下腹部に痛みを感じることがあります。
左下腹部にチクチクとした痛みを起こす原因として最も多いのが「便秘」です。
左下腹部には便が停滞しやすいS状結腸が存在するため、便秘になると痛みが生じることがあるのです。
また、便秘以外にも「大腸憩室炎」や「急性腸炎」、「大腸がん」といった病気を発症しても下腹部に痛みを感じます。
大腸がんのような深刻な病気が見つかることは稀ですが、発症する可能性はゼロではないので、気になる方は消化器内科で内視鏡検査を受けましょう。
腸に関する病気の他にも、「前皮神経絞扼症候群(ACNES)」のように、神経痛によって腹部に痛みが生じている可能性があります。
原因は腸にあると思っていたら、実は腹壁が痛んでいたということもあるので、気になる症状があれば医師に相談してください。
尿路の病気
子宮や卵巣、腸だけでなく、尿路のトラブルでも左下腹部にチクチクとした痛みを感じることがあります。
腎臓から膀胱をつなぐ尿管に小さな石ができる「尿路結石」膀胱に溜まった尿が排出できなくなる「排尿障害・尿閉」、「尿膜管遺残症」が挙げられます。
尿路結石では腰や背中が痛むケースがほとんどですが、左尿管にある結石が移動すると左下腹部に痛みが出ることもあるため注意が必要です。
また、チクチクとするだけでなく、激しい痛みや吐き気、血尿や頻尿といった症状がみられるケースもあるでしょう。
排尿障害・尿閉は高齢の男性に多い状態ですが、まれに自覚症状のない神経疾患によって若い女性であっても排尿障害が生じていることがあります。また、前述の子宮筋腫などの比較的硬い大きな腫瘍を、尿路を塞ぐような位置に持っている場合、膀胱に溜まっている尿が排出できなくなり、下腹部がチクチク痛むことがあります。
排尿障害によって膀胱内にたくさんの尿が溜まっている時に尿路感染症が発症すると時には命に関わる状態になることもあります。また、長期的に排尿障害を放置すると腎臓の機能が低下することもあります。
尿膜管とは、胎生期(母親のお腹の中にいる状態)のときにあった膀胱とお臍をつなぐための管のことです。生まれてた後には必要なくなるので、自然とこの尿膜管は塞がって細い筋になっていくのですが、まれにそのまま管の状態で残ってしまう人がいます。そのような状態を尿膜管遺残と呼びます。尿膜管遺残の部分に感染などが生じると下腹部がチクチクします。場合によってはおへそから膿がでてきて、おへその周囲が赤くはれることもあります。
上記の症状が出ている、我慢できないほどの強い痛みを感じるという場合は、泌尿器科を受診してください。
左下腹部の痛みでクリニックを受診する目安
体に異常が現れると不安になりますが、大したことがない、常に痛むわけではないという場合には、受診をためらってしまうものです。クリニックはどのタイミングで受診すれば良いのでしょうか。また、どの科を受診すれば良いのでしょうか。詳しくみてみましょう。
受診するタイミング
痛みの度合いや頻度によって、受診のタイミングは異なります。
どのタイミングで受診すれば良いのかわからないという方は、以下を参考にしてください。
▼診療時間内に受診
軽度の痛みや微熱、軽い吐き気はあるものの、水分や食事は摂取できる。睡眠を取ることもできるという場合には、クリニックが診察を行っているタイミングで受診すると良いでしょう。
自身の都合の良いタイミングで、落ち着いて受診しましょう。
▼救急外来で受診
大量の出血がある、嘔吐した、眩暈で立ったり歩いたりすることも難しいという場合には、緊急を要します。
特に眠れないほどの激しい痛みがある、どんどん強くなっているという方は、早急に救急外来を受診しましょう。
痛みというほどではないけれど、下腹部に違和感がある。時々違和感を感じるという方は、健診のタイミングで医師に相談してください。
受診する科
左下腹部の痛みで受診する科は、以下の通りです。
▼婦人科
不正出血が起こっている、生理前や生理中に似た症状があるという方は、子宮や卵巣で異常が起こっている可能性が高いといえます。
クリニックを受診する際には、まずは婦人科に相談してください。
▼内科・消化器科
左下腹部の痛みだけでなく、吐き気や発熱がある方は内科を受診します。
便秘や下痢などの腸に関する症状が出ている方は、消化器科を受診してください。
▼泌尿器科
左下腹部の痛みに加えて、血尿や頻尿、残尿感や排尿痛など、尿路に関する症状が出ている方は泌尿器科を受診しましょう。
左下腹部の痛みに不安を感じている方は医療法人心鹿会へ
生理前や生理中には、体に異常がなくとも下腹部に痛みが出ることもありますが、生理が終わっても治まらない、我慢できないほど痛いという場合には、深刻な病気を発症している可能性があります。
我満を続けると症状が悪化する可能性があるので、無理をせずに一度医師に診てもらいましょう。
下腹部の痛みに関するお悩みを抱えている方は、医療法人心鹿会へご相談ください。
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お腹が痛い、違和感があるなど気になる症状があれば、まずはお気軽にご相談ください。