デリケートゾーン(外陰部)は、かゆみを感じても誰かに相談しにくい部分です。
かゆみが強く、何らかの病を疑っても、通院までのハードルが高いと感じる方もいるようです。
デリケートゾーンがかゆいからといって、必ずしも病気だとは限りません。
一方で、軽いかゆみであっても、何らかの病気の症状である可能性があります。
今回は、かゆみの原因や考えられる病、そして対処法について解説します。
また、デリケートゾーンにかゆみを感じた場合の受診の目安もお伝えしましょう。
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デリケートゾーン(外陰部)の主なかゆみの原因は2種類
デリケートゾーンにかゆみを感じる主な原因は2種類です。
- かぶれている
- 感染症の症状
それぞれの原因によってアプローチの仕方が異なるので、注意してください。
原因を取り除くだけで、すぐにかゆみが改善するかもしれません。
かゆみの原因①:かぶれている
かぶれとは、外部からの刺激により炎症を起こした状態です。
正式には「接触性皮膚炎」と呼ばれています。
皮膚は、3つの層に分かれています。
一番外側にある「表皮」は、外部の刺激から体を守るバリアの役割を担っていますが、バリア機能でも防ぎきれない刺激があるとかぶれが起こるのです。
かぶれは、汗や皮脂、乾燥や熱、アレルギーなどが原因で起こるといわれており、非常に身近な症状です。
その他にも、女性の場合は、生理用ナプキンやおりものシート、タンポンの使用が原因でデリケートゾーンがかぶれることもあります。
男性の場合は、コンドームの材質が肌に合わず、アレルギーを起こしてかぶれによるかゆみが起こることがあります。
かゆみの原因②:感染症の症状
「性感染症(STD)」も、デリケートゾーンにかゆみを起こします。
性感染症とは、性的な接触によって感染する病気を指します。
感染者の粘膜と接触すると性感染症のリスクが高まるので、注意してください。
性的な行為以外でも、常在菌として体内に潜んでいる菌(カンジダ)で発症したり、公共浴場やトイレなどでうつったりするケース(白癬菌)もあります。
デリケートゾーンがかゆくなる代表的な病は、下記の通りです。
- 性器ヘルペス
- 腟トリコモナス症
- カンジダ腟炎
- 毛ジラミ症
デリケートゾーン(外陰部)のかゆみセルフチェック
デリケートゾーンに異常が起こった場合は、かゆみだけでなく他の症状も現れることがあります。
かゆみの他にも、下記の症状が出ていないかセルフチェックしてみましょう。
かゆみセルフチェック
上記の症状が1つでもある方は
感染症の疑いがあります。
感染症の可能性がある方は
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症状がかゆみだけである場合は、デリケートゾーンがかぶれている可能性が高いです。
しかし、上記の症状が現れている場合は、感染症にかかっている可能性があります。
かゆみ以外の症状が現れたら、早急にクリニックを受診しましょう。
デリケートゾーンに腫れが出ている場合は、下記ページもご参照ください。
【デリケートゾーンがかぶれてかゆみを感じる】考えられる原因
日常生活の中でデリケートゾーンがかぶれてかゆくなるのは、珍しいことではありません。
女性ならば、生理周期や季節、下着によってかゆみが生じます。
ここでは、かぶれが原因でかゆみを感じるケースについて詳しく解説します。
- 排卵期・生理期間は外陰部にかゆみを感じやすい
- 季節によってかゆみを感じやすくなることがある
- 通気性の悪い下着がかゆみを引き起こすことがある
排卵期・生理期間は外陰部にかゆみを感じやすい
女性は生理前から生理後にかけて、デリケートゾーンにかゆみを感じやすくなります。
月経前の黄体期と呼ばれる時期には、プロゲステロンというホルモンが分泌されます。
このホルモンの働きを受けて、デリケートゾーンがかゆくなることも珍しくありません。
また、実際に生理が始まると、雑菌が混じった血液をナプキンが吸い込み、皮膚に接触することでかゆみを感じやすくなります。
この他にも、女性はホルモンバランスが乱れるとデリケートゾーンの粘膜が刺激に弱くなり、かゆみを感じるでしょう。
デリケートゾーンの過剰なケアが乾燥をもたらし、かゆみを感じるケースもあります。
季節によってかゆみを感じやすくなることがある
生理期間にかかわらず、夏はかゆみを感じやすくなります。
下着の中が蒸れて、肌に刺激を与えるためです。
また、塩分が含まれている汗そのものが、肌への刺激になることも珍しくありません。
とくにストッキングやタイツ、ガードルを日常的に着用している方は要注意です。
蒸れてデリケートになった皮膚が繊維と触れ、強い刺激を受けているのかもしれません。
対処法としては、こまめにシャワーを浴びたり、通気性を意識した下着や衣服を身に着けたりしましょう。
ただし、腟の中まで洗ってしまうと自浄作用が失われるため、過剰に洗う必要はありません。
通気性の悪い下着がかゆみを引き起こすことがある
下着の中の湿度や温度が高い環境では、菌が繁殖してデリケートゾーンにかゆみが発生します。
下着は通気性の良いコットン製品(綿製品)がおすすめです。
その他にも、締めつけの強い下着やボトムス、レギンスやストッキングもデリケートゾーンの蒸れの原因になります。
また、生理ナプキンやおりものシート、タンポンもこまめに取り替えて、蒸れにくく清潔な状態を保ってください。
まとめ
- 生理前から生理後の期間は、ホルモンバランスや生理用品の影響でかゆみを感じやすくなる。
- 夏のように汗をかきやすい時期には、下着の中が蒸れてかゆみを感じやすくなる。
- 湿度や温度が高い環境では、菌が繁殖してデリケートゾーンにかゆみを感じやすくなる。
【感染症の症状でかゆみを感じる】考えられる主な原因
デリケートゾーンのかゆみは、日常生活の刺激で発生するケースが多々あります。
その一方で、感染症が原因で起こっている可能性もあります。
感染症が原因の場合は、かゆみの他にも別の症状や違和感が現れるでしょう。感染症は、放置せずにクリニックで適切な処置を受けてください。
ここでは、症状の1つとしてかゆみを伴う感染症をご紹介します。
- 尖圭コンジローマ
- カンジダ外陰炎
- 性器ヘルペス
尖圭コンジローマ
軽いかゆみの他にイボが発生している場合は、「尖圭コンジローマ」の可能性があります。
尖圭コンジローマでは、発症した直後やイボの数が増殖するときに、かゆみを感じやすくなります。
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス6型・11型に感染することによって発生するできものです。
感染しても必ずかゆみやイボが発生するわけではなく、無症状の場合もあります。
尖圭コンジローマの主な感染経路は性行為であるものの、ごく稀に手に付着したウイルスが傷ついた皮膚や粘膜に感染して発症することもあります。
イボはそのまま放置していてもなくならず、むしろ増えていくのも特徴です。
場所や個数によって治療方法が変わり、薬で対処するケースや電気メスで切除するケースもあります。
カンジダ外陰炎
デリケートゾーン全体ではなく腟口や腟内がかゆい場合は、「カンジダ外陰炎」の可能性があります。
カンジダ外陰炎のカンジダとは、常在菌の一種で、健康な状態であれば増殖が抑えられています。
しかし、寝不足や疲労といったストレスや抗生剤の服用、免疫力低下やホルモンバランスの変化、性行為がきっかけでカンジダ菌が増殖し、発症するケースがあります。
かゆみの他にも、カッテージチーズやヨーグルト、酒粕に例えられる白くてポロポロとしたおりものが排出されるならば、カンジダ外陰炎の可能性が高いでしょう。
繰り返し感染を起こしていると、腟内のかゆみを感じにくくなる方もいます。
性器ヘルペス
かゆみよりも痛みに近い不快感が現れている場合は、「性器ヘルペス」の可能性があります。
性器ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルス1型、または2型に感染することによって発症する感染症の一種です。
性行為で感染するケースが多く、性的な接触をしてから2~10日程度の潜伏期間を経て発症します。
性器ヘルペスは無症状の方もいますが、初めての感染では強い症状が現れるため、かゆみよりも痛みを感じる方が多いです。
腟やデリケートゾーンに水ぶくれやただれが現れ、歩くのが困難になることもあります。
また、太もものリンパ節が腫れたり、倦怠感や発熱の症状が現れたりもします。
2回目以降の発症では、症状は軽いものの、発症する前にデリケートゾーンに普段とは違うかゆみが発生するのが特徴です。
腟トリコモナス症
腟を含むデリケートゾーン全体に激しいかゆみがあり、さらに強い悪臭のある泡状のおりものが発生している場合は、「腟トリコモナス症」かもしれません。
腟トリコモナス症は、目には見えないほど小さい「腟トリコモナス原虫(単細胞の微生物)」が原因で発生します。
主な感染経路は性行為であるものの、公共浴場やトイレ、タオルなどを介して知らないうちに感染するケースもあります。
女性はわかりやすい症状が現れる一方で、男性は腟トリコモナス症に感染しても無症状であることが多いのも特徴です。
デリケートゾーンに痛みを感じる場合は、下記ページもご覧ください。
【デリケートゾーンのかゆみ】その他気になる症状の原因
常にデリケートゾーンのかゆみを感じているわけではなく、特定のシーンでのみ我慢できなくなるケースも珍しくありません。
ここでは、先ほどご紹介した「かぶれ」や「性感染症」以外が原因で起こる、デリケートゾーンのかゆみの原因や特徴について解説します。
- 寝る前・布団に入ったタイミングでかゆくなる
- 妊娠を機にデリケートゾーンがかゆくなる
- 更年期障害の症状
- デリケートゾーンのかゆみだけでなく肌が荒れている
寝る前・布団に入ったタイミングでかゆくなる
常にかゆみを感じているわけではなく、就寝前のみデリケートゾーンがかゆくなるという方もいます。
考えられる原因としては、誤った入浴方法が挙げられます。
熱いお湯に浸かったりデリケートゾーンを過度に洗ったりすると、皮脂が失われて肌が乾燥し、かゆみを感じやすくなるでしょう。
また、寝る前は深部体温を下げるために体温が上がります。
すると、ダメージのある組織に血流が増加することでかゆみを感じやすくなります。
お風呂は熱過ぎない温度を設定し、デリケートゾーンの洗い過ぎには注意してください。
かゆみよりも「うずき」を感じる場合は、性器が発育するときに現れる違和感の可能性もあるので、過度に気にする必要はありません。
妊娠を機にデリケートゾーンがかゆくなる
妊娠中の女性は、「カンジダ腟炎」を発症しやすくなります。
カンジダ腟炎は、腟を中心にデリケートゾーンのかゆみの原因になり、妊娠中は繰り返し発症する方も珍しくありません。
出産時にカンジダ腟炎の症状が強く出ていると新生児に皮膚炎が起こるリスクがあるので、適切な治療を受ける必要があります。
妊娠中の女性にとって怖いイメージのあるカンジダ腟炎ですが、デリケートゾーンのかゆみがすべて発症のサインではありません。
かゆみの症状が現れたときには、定期検診を受けている産婦人科に相談してみましょう。
更年期障害の症状でかゆみが発生する?
更年期の女性の中には、デリケートゾーンの慢性的なかゆみに悩まされている方が多くいます。
更年期は、女性ホルモンの分泌減少に伴い、デリケートゾーンの新陳代謝が低下するため、外陰部の皮膚や腟まわりの粘膜が薄くなります。
細胞の中の水分も低下し、さらにおりものや粘液の分泌量が減ることでデリケートゾーンの自浄作用が弱まり、乾燥しがちになるのです。
放置しておくと、かゆみが悪化しやすいのも特徴です。
更年期の女性向けの市販薬やセルフケア術は多々あるものの、根本的な解決にはなりません。
レーザー治療やホルモン補充療法を行っているクリニックに相談してみましょう。
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デリケートゾーンのかゆみだけでなく肌が荒れている
デリケートゾーンのかゆみを放置し続けていると、周辺の粘膜や皮膚が荒れることがあります。
かゆみや肌荒れを少しでも和らげようと、入浴時にデリケートゾーンを洗い過ぎてしまう方もいます。
過度に洗うと必要な皮脂や常在菌を洗い流してしまい、かゆみがさらに増す可能性があるので注意してください。
日中は注意していても、寝ている最中にボリボリと肌を掻きむしっている方もいます。
皮膚にも異常が現れている場合は、セルフケアで改善しようとせずにクリニックを受診してください。
まとめ
- 熱いお湯に浸かる、デリケートゾーンを過度に洗うと、皮脂が失われてかゆみを感じやすくなる。
- 妊娠中に「カンジダ腟炎」を発症すると、デリケートゾーンにかゆみを感じる。
- 更年期は、女性ホルモンの分泌が低下して新陳代謝が下がり、かゆみを感じやすくなる。
デリケートゾーンのかゆみへの対処法
デリケートゾーンにかゆみを感じた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
原因によっては、対処法を試すことで早くかゆみを解消できることもあります。
ここでは、具体的なかゆみへの対処法をご紹介します。
- 市販薬でかゆみを和らげる
- 医療機関で検査・治療を受ける
- かゆいからと腟内を洗浄するのはNG
市販薬でかゆみを和らげる
デリケートゾーンのかゆみは、生理周期や季節、下着といった原因で起こる、女性にとって身近な悩みです。
そのため、ドラッグストアでは、デリケートゾーンのかゆみを抑える市販薬が多数販売されています。
「麻酔成分」や「抗ヒスタミン成分」が含まれている市販薬ならば、辛いかゆみの症状を抑えられるでしょう。
しかし、市販されている薬は、医療機関をすぐに受診できない場合の応急処置として使用してください。
かゆみの抑制効果は期待できるものの、根本的な治療にはなりません。
また、誤った使い方をしてしまうと、症状を悪化させる可能性もあります。
市販薬で一時的に改善しても繰り返しかゆみが起こるときには、早めにクリニックへ相談しましょう。
医療機関で検査・治療を受ける
デリケートゾーンのかゆみへの最もおすすめの対処法は、医療機関で受診することです。
医師に説明するのが恥ずかしく、かゆみで通院するのは躊躇してしまう方も珍しくありません。
しかし、デリケートゾーンのかゆみは性感染症の疑いもあり、そうであれば例え症状が軽くても治療が必要になります。
簡単な検査で性感染症を含む原因がわかるので、不安なときには医療機関を受診してください。
具体的には、婦人科・皮膚科・性病科・泌尿器科のいずれかを受診します。
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かゆいからと腟内を洗浄するのはNG
女性の腟の中には、「デーデルライン桿菌(かんきん)」という乳酸菌の集合体が存在しています。
デーデルライン桿菌は健康なときにも存在しており、腟内を常に弱酸性(pH 3.5~4.5)に保って雑菌の侵入を防いでいます。
しかし、かゆいからと石鹸で洗い過ぎたり、トイレに行く度に洗浄機能を使ったりしていると、デーデルライン桿菌の機能が低下して感染が起こりやすくなるでしょう。
デリケートゾーンは、ぬるま湯で優しく洗う程度で十分です。
腟の中まで洗浄することは避けてください。
まとめ
- 市販薬で一時的にかゆみを抑えても根本的な解決にはならないため、クリニックを受診する。
- 性感染症が原因で発生するかゆみは、症状が軽くてもクリニックでの治療が必要。
- かゆみを抑えるためにデリケートゾーンを過度に洗浄してしまうと、感染症にかかりやすくなる。
受診の目安と検査方法
デリケートゾーンにかゆみを覚えても、軽度であればクリニックでの受診を迷ってしまうものです。
ここでは、デリケートゾーンのかゆみで受診する目安をご紹介します。
また、実際に受診した際に行う検査についても知っておきましょう。
デリケートゾーンにかゆみを感じる場合の受診の目安
デリケートゾーンのかゆみが軽い場合は、自然に治まるケースがほとんどです。
とくに生理前であれば、生理が始まるといつの間にか治まっている方もいます。
症状が軽い場合は、無添加のワセリンや保湿剤でデリケートゾーンの乾燥を防ぎ、締めつけのない通気性に優れた下着やボトムスを身につけて、しばらく様子を見てみましょう。
しかし、性感染症に心当たりがある方やおりものにも異常が現れている方は、早急にクリニックで受診してください。
性感染症であっても、数日間処方薬を服用するだけで改善するケースも珍しくありません。
クリニックで受けられる診察・検査
デリケートゾーンのかゆみでクリニックを受診した場合、外陰部の診察とおりものの検査を受けます。
おりものは、内診で採取することになるでしょう。
個人差はあるものの、内診は1分程度で終わり、強い痛みを感じるものではありません。
また、カンジダは目視で診断可能なケースもあり、腟トリコモナス症も顕微鏡を使えばその日に結果がわかります。
その他の症状でも、すぐに結果が出ることもあれば、1週間程度の時間をかけて結果が判明するケースもあります。
かゆみに対する治療内容
治療内容は、かゆみの原因によって異なります。
かぶれによるかゆみの症状が強いときには、保湿成分が中心の軟膏やステロイドが含まれるクリームを使用します。
他にも、腟に入れる腟錠もあり、罹患期間によっても治療方法が異なるでしょう。
治療の初期では、ほとんどにおいて健康保険が適用されます。
しかし、通常の処方薬で改善が難しかったり、追加で保険適用外の検査が必要になったりした場合は、自費診療になるでしょう。
デリケートゾーンのかゆみは二宮レディースクリニックへご相談ください
生理周期や季節、下着が原因でデリケートゾーンのかゆみが起こっている場合は、自然に治まるケースもあります。
感染症が原因である場合は、正しい治療を受ければ改善することが可能です。
一方で、保険診療だけでは改善しない患者さんも多く、もう異常がないと医師に言われたものの、長期のかゆみに困っている方も多いです。
原因や症状が出ている期間の長さにかかわらず、デリケートゾーンのかゆみで悩んでいる方は、医療法人心鹿会へお気軽にご相談ください。
下記クリニックは、スタッフ全員が女性です。
プライバシーを最大限に考慮し、デリケートゾーンの悩みについても話しやすい環境づくりを心がけています。
症状が酷くなる前に
医療法人心鹿会に
ご相談ください!
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