
タンポンが腟に入りにくい、性行為を行う際に男性器が腟に入りにくいという方は、「処女膜強靭症」の可能性があるという検索に引っかかったことがあると思います。
しかし「処女膜強靭症」は、ICD(国際疾病分類)や医学用語集には存在しない造語です。
2000年代以降、婦人科形成(処女膜形成術やレーザー治療など)の美容診療が拡大する中で、「処女膜強靭症」は需要喚起のための“病名化”されたマーケティング用語として流通してきた背景があると考えられます。
実際に挿入が行えない方の中には、処女膜の開口が狭かったり、厚かったりする方もいますが、そういった方は、正式には【肥厚性処女膜】や【処女膜閉鎖症】という病名となります。
今回は、お悩みの方に正確な情報をお届けするため、検索でよく使われる「処女膜強靭症」という用語を使いながら、正しい医学的知識をご紹介します。
タンポンや男性器を無理に挿入しようとすると怪我につながるので、腟の入り口が狭いと感じたら医療機関を受診しましょう。
この記事では、処女膜強靭症(正式には「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」)の症状や考えられる原因について解説します。
医療機関が行っている治療方法や費用の目安、治療に関する注意点もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「処女膜強靭症」とは
腟の入り口が狭い方は、処女膜強靭症(正式には「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」)である可能性が考えられます。
まずは、処女膜強靭症の主な症状や原因について解説します。
主な症状
処女膜が厚い状態を「肥厚性処女膜」といいます。
膜といっても完全に閉じているわけではなく、中央に小さな穴が開いているため、経血やおりものを排出することは可能です。
そのため、日常生活において不便を感じることはほとんどなく、多くの方は自覚症状がありません。
処女膜強靭症(正式には「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」)であると自覚する主なタイミングは、タンポンを使用するときや、性行為中に男性器を挿入するときです。
日常生活に支障をきたすことはありませんが、タンポンや男性器を無理に挿入しようとすると、強い痛みを感じたり、出血が起こったりするという点には注意が必要です。
タンポンや男性器が挿入できずに困っているという方は、婦人科を受診してください。
考えられる原因
処女膜強靭症(正式には「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」)の主な原因は、「生まれつきの体質」にあります。
処女膜は誕生する前、お母さんのお腹の中にいる時点で形成されますが、厚さや硬さ、伸縮性には個人差があります。
処女膜は持って生まれた体質の一つであり、自力でコントロールできるようなものではありません。
重要なのは、これは誰のせいでもない自然な体の特徴だということです。
もし該当する症状があっても、自分を責める必要は全くありません。
適切な治療によって改善可能な状態です。
処女膜強靭症のセルフチェック方法
自身が処女膜強靭症(正式には「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」)であるか知りたいという方は、以下の項目をチェックしてみてください。
- 腟に指が入らない/入りにくい
- 腟にタンポンが入らない/入りにくい
- 腟に男性器が入らない/入りにくい
- タンポンや男性器を挿入する際に痛みを感じる
- 性交時、男性器を挿入する度に出血が起こる
ただし、これらの症状は他の要因によっても起こる可能性があるため、正確な診断は医師による診察が必要です。
処女膜強靭症の治療方法

医療機関を受診すれば、処女膜強靭症(正式には「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」)の症状を改善できる可能性があります。
医療機関では、具体的にどのような治療が受けられるのでしょうか。
治療内容や治療の流れについて、詳しく解説します。
処女膜切開術とは
基本的に処女膜強靭症(正式には「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」)の治療では、「処女膜切開術」と呼ばれる手術が行われます。
子宮や腟に異常がないかを確認した上で、メスやレーザーなどの治療器具を用いて処女膜を切開(または処女膜の一部を切除)するという方法です。
切開の方法にはいくつか種類があり、ヒダに沿って切れ目を入れたり、リング状に切除したりと、患者様の状態に合わせて最適な方法が選択されます。
手術の前には、リスクやダウンタイムについて説明があるので、疑問に思ったことや不安に感じていることがあれば、医師に確認しておきましょう。
治療の流れ
医療機関を受診したいと考えているものの、不安を感じているという方もいるでしょう。
治療の流れを知りたいという方に向けて、手術までにどのような診察や検査が行われるのか、また、当日にはどのような流れで手術を行うのか、詳しく解説します。
手術までの流れ
処女膜切開の手術まで、以下の流れで治療が行われます。
- 診察
- 術前検査
まずは患者様の診察を行い、処女膜強靭症(正式には「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」)であることを確認します。
認められた場合は、医師から患者様に合った治療方法が提案されます。
必ずしも手術になるとは限りませんが、処女膜切開術を提案される可能性が高いといえるでしょう。
手術を希望されない方は、診察や検査のみを受けることも可能です。
患者様が手術を受けると決めたら、次に術前検査を行います。
必要な検査は患者様によって異なりますが、血液検査が行われることが一般的です。
安全に手術を行うために、HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎などの感染の有無を調べます。
手術当日の流れ
処女膜切開の手術当日は、以下の流れで治療が行われます。
- ご来院
- 麻酔・手術
- アフターケア
手術日が決まったら、予約日に来院して手術同意書を提出してください。
手術に際して万全を期すために、事前に医療機関から伝えられた注意事項が守られているか、最終確認が行われます。
最終確認で問題がないと判断されたら、麻酔を行って様子を見ます。
十分に麻酔が効いていることが確認できたら、いよいよ手術が行われます。
切開部にも麻酔が施されるため、手術中に痛みを感じることはないでしょう。
医療機関によって異なりますが、手術は20~30分程度で終了します。
手術が終わり、30分~1時間程度休憩を取り、問題がないと判断されれば帰宅できます。
麻酔の効果がまだ体内に残っている可能性が高いので、車やバイク、自転車の運転は控えましょう。
処女膜強靭症の治療費用

処女膜強靭症(正式には「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」)の治療費用は、医療機関によって異なります。
大体の目安を知りたいという方に向けて、治療費用の相場をご紹介します。
健康保険適用の可否についても解説しますので、併せてチェックしてください。
治療費用の目安
医療機関によって設定されている費用は異なりますが、相場は以下の通りです。
- 診察料:3~5千円程度
- 検査費用:1~5万円程度
- 処女膜切開:12~20万円程度
上記の他にも、麻酔代や処方薬の代金が別途加算される可能性があります。
また、処女膜強靭症以外の病気が疑われる場合や、予定外の検査が必要だと判断された場合は、別途費用がかかります。
健康保険は適用される?
基本的に処女膜強靭症(正式には「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」)の治療は自由診療になりますが、完全な処女膜閉鎖症の場合は保険適応となります。
自由診療だと健康保険は適用されないため、治療費は全額自己負担になるという点には注意が必要です。
処女膜に穴が開いている場合は処女膜強靭症だと判断されますが、処女膜が完全に閉じていて、経血やおりものなどが排出できない状態にある場合は「処女膜閉鎖症」だと判断されます。
発症するケースは稀ですが、処女膜閉鎖症であれば健康保険が適用されます。
患者様の症状によって健康保険の適用可否や治療費は異なるので、詳しくは医療機関へご確認ください。
処女膜強靭症の治療に関する注意点
処女膜切開術を受ける前に、以下の注意点をチェックしておきましょう。
- 痛み:手術を受けた当日から翌日までは、痛みを感じることがあります。
- 術後の症状:1週間程度、腫れが続く・おりものが増える・出血が起こるなどの症状が現れる可能性があります。
- 回復までの期間:個人差がありますが、1ヶ月程度で治癒します。2~3ヶ月程度で完全に落ち着くでしょう。
- 入浴:シャワーは手術を受けた日の翌日から、入浴は1週間後から可能です。
- リスク:疼痛や出血、感染症や再癒着(処女膜の戻り)などが起こる可能性があります。
手術に際して気になることがある、不安を感じているという方は、診察時に医師へ直接ご相談ください。
処女膜強靭症に関するよくある質問

処女膜強靭症(正式には「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」)の特徴や治療方法についてはわかったものの、まだ不安が残っているという方もいるでしょう。
最後に、処女膜強靭症に関するよくある質問をご紹介します。
Q1.処女膜切開術は痛い?
処女膜は分厚い構造物であり、疼痛に関する神経はほとんど存在しないため、痛みを感じることはほとんどありません。
また、局所麻酔を使用して手術を行うことから、手術中に強い痛みを感じることはないでしょう。
個人差がありますが、術後には多少の痛みや違和感が出ることがあります。
手術を受けた医療機関から痛み止めが処方されるので、処方された薬は飲み切りましょう。
薬を飲み切ってもなお痛みが続いている場合は、手術を受けた医療機関へご相談ください。
Q2.処女膜切開術を受けると腟がゆるくなる?
処女膜切開術を受けたからといって、腟がゆるくなることはありません。
処女膜とは、腟の開口部にある粘膜を指します。
腟の締まりや筋力に影響するのは内部であるため、入り口付近に位置する処女膜を切開しても、腟がゆるくなることはないのです。
術後に腟がゆるくなったと感じた場合は別の原因が考えられるので、医療機関へご相談ください。
Q3.術後はいつから性行為を再開できる?
処女膜切開術を受けた場合は、術後1ヶ月程度で性行為を再開できます。
傷の回復にかかる期間は人によって異なるので、詳細な期間については医師にご確認ください。
後の性行為では、パートナーの男性器のサイズによっては出血が生じることもありますが、すぐに出血が止まるようであれば心配はいりません。
心配な場合は、手術を受けた病院で診察を受けましょう。
処女膜強靭症の治療は医療法人心鹿会へお任せください

日常生活で不便に感じることはないものの、処女膜強靭症(正式には「肥厚性処女膜」または「処女膜閉鎖症」)を放置していると、タンポンを使用したり、性行為を行ったりした際に強い痛みを感じることがあります。
また、出血が起こるケースもあるので、放置せずに医療機関で適切な治療を受けましょう。
処女膜強靭症の治療を希望される方は、医療法人心鹿会へご相談ください。
当院の医師をはじめとしたスタッフは全員女性ですので、デリケートなお悩みも気兼ねなくお話しいただけます。
性行為を行うと痛みを感じる、処女膜強靭症であるか調べてほしいなど、まずはお気軽にご相談ください。