妊娠を回避するための避妊方法にはいくつか種類がありますが、何を選べば良いのかわからないという方もいるでしょう。
今回は、国内で選べる避妊方法の種類とそれぞれの特徴をご紹介します。
避妊に失敗してしまった場合の対処方法や、よく耳にする避妊に関する噂の真偽についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
避妊方法の種類とそれぞれの特徴
妊娠しないための避妊方法には、どのような種類があるのでしょうか。また、どのような特徴があるのでしょうか。それぞれの効果やメリット・デメリットをご紹介します。
コンドームの効果
最も有名なのが、「コンドーム」を使用した避妊方法です。
コンドームは、ゴムやポリウレタンなどの素材で作られた袋を男性器に被せて装着し、精液が腟内で漏れないようにするアイテムです。
避妊の成功率は82%程度だといわれていて、正しく使用できれば成功率は高くなりますが、実際には腟内で脱落してしまったり、破れてしまったりすることがあるために成功率はあまり高くありません。
万が一、脱落や破損が起こった場合には、後述するアフターピル(緊急避妊薬)の使用を検討してください。
メリット
避妊にコンドームを使用するメリットは、安価で入手が簡単だという点です。
コンビニやドラッグストアといった身近な場所で手に入る上に、一個あたり100円以下で手に入る物も多いため、誰でも気軽に購入できます。
また、コンドームは避妊だけでなく、性感染症を予防することも可能です。
使用に際して副作用もないので、他の避妊方法と併用しても良いでしょう。
パートナーが性感染症を持っているかどうかわからないときには、ぜひコンドームを使用してください。
デメリット
男性の協力を得なければ使用できないという点が、コンドームのデメリットです。
女性側が使用してほしいとお願いしても、男性側が拒否すれば避妊効果は得られなくなってしまいます。
性行為を行う前に、避妊についてパートナーとよく話し合っておいてください。
また、ゴム(ラテックス)製のコンドームを使用すると、アレルギー反応が出る方もいます。
コンドームを使用してかゆみや腫れなどの症状が現れた場合は、ポリウレタン製のコンドームに切り替えましょう。
ゴム製のコンドームの使用は中止して、症状がなかなか治まらない場合にはクリニックを受診してください。
低用量ピル(経口避妊薬)の効果
「低用量ピル」は女性ホルモンを含んだ錠剤で、毎日服用し続けることで効果が得られる避妊方法です。
排卵が起こらなくなる、精子が子宮に入りにくくなる、着床しにくくなる状態を作り出すことで、避妊効果を得ることができます。
低用量ピルは初経後から服用可能ですが、人によっては吐き気や不正出血、片頭痛といった副作用が現れることもあります。
購入に際して医師の処方が必要となるため、使用を希望する方は、まずは婦人科へ相談してください。
メリット
避妊方法として低用量ピルを選択するメリットは、99%以上という高い避妊成功率が挙げられます。
女性側が主体となって行える避妊方法であるため、パートナーに協力を求めずとも避妊効果が得られるという点も魅力だといえるでしょう。
低用量ピルは、避妊以外にも、生理痛の軽減や月経移動が可能です。
また、5年以上継続して服用することで、子宮体がんや卵巣がんを予防する効果も期待できます。
デメリット
デメリットとしては、毎日継続して服用しなければ避妊効果が得られないという点が挙げられます。
頻繁に飲み忘れてしまったり、一定期間飲まない日が続いたりすると、排卵が起こって避妊効果が得られなくなることがあります。
また、感染症を防ぐことはできないため、避妊方法として選択する場合はコンドームと併用することが理想です。
低用量ピルの処方は保険適用外であり、自費で購入しなければなりません。
長期的に服用したい場合は、維持できる価格であるかよく確認しておきましょう。
子宮内避妊器具(IUD)
ピルと共に高い避妊効果が得られるのが、「子宮内避妊器具(IUD)」です。
子宮内に専用の器具を取り付けて受精卵の着床を防ぐ方法で、以前はリング状の器具を使用していたため避妊リングと呼ばれていましたが、現在は様々な形状の器具が使用されています。
低用量ピル同様、パートナーの協力を得ずに女性主体で行える避妊方法であり、一度の装着で3~5年程度の効果継続が期待できることから、長期的に避妊を行いたい方におすすめです。
器具の取り付けや取り外しは医師に行ってもらう必要があるため、IUDの使用を希望する方は、まずは婦人科へ相談してください。
メリット
一度装着すればそれだけで長期的な効果が得られるため、低用量ピルのように飲み忘れを気にする必要はありません。
3~5年ごとにクリニックでメンテナンスを受ける必要はありますが、性行為を行う度に避妊について考える必要はないという点が、IUDのメリットだといえるでしょう。
IUDには、低用量ピルのように、月経痛の軽減や婦人科疾患の予防といった副効果も期待できます。
デメリット
デメリットとしては、医療機関で処置を受ける際に、痛みや出血を伴うことが挙げられます。
また、器具を挿入する際に子宮に雑菌が入り、細菌感染が起こるリスクもあります。
子宮筋腫や子宮腺筋症がある方はIUDの装着ができない可能性があるため、婦人科で装着可能か否かチェックしてもらうと良いでしょう。
頻繁に起こるわけではありませんが、ごくまれに器具が外れてしまうことがあるという点もデメリットだといえます。
また、感染症の予防はできないため、コンドームと併用することをおすすめします。
リズム法の効果
女性主体で行える避妊方法には、「リズム法」もあります。
リズム法は「基礎体温法」とも呼ばれ、基礎体温を基に排卵期を予測して、性行為を控えることで避妊する方法です。
医療機関を頼らずに行える上に副作用もないため、誰でも手軽に行えるという一方で、避妊効果については全く確実ではないというリスクがあります。
排卵日は、疲労やストレスといった要因でズレる可能性があるため、基礎体温だけで特定することは難しいです。
また、精子は女性の体の中で数日間生存することから、排卵日だけを避けても妊娠してしまう可能性があるのです。
リズム法だけに頼るのではなく、他の避妊方法と併用して行うことをおすすめします。
メリット
基礎体温計さえあれば、誰でも気軽に行えるのがリズム法のメリットです。
毎朝基礎体温を測る習慣を身につけることで、排卵期だけでなく生理周期を把握することも可能です。
自身の健康状態を把握するためにも、日々の生活にリズム法を取り入れましょう。
デメリット
排卵日を予測することも難しいですが、そもそも正確な基礎体温を測ることが難しい点が、リズム法のデメリットです。
基礎体温は、計測方法や室温、体調の変化など、少しの要因でも簡単に変動します。
そのため、基礎体温を正確に測ることは難しく、さらに排卵日を特定することは大変困難です。
また、排卵日を特定できたとしても、体調不良やストレスなどが原因で排卵日自体がズレてしまうことも考えられるでしょう。
海外には、この点を克服してリズム法をかなり確実に行うための器具・アプリがあるようですが、日本ではまだ使用できません。
リズム法だけに頼るのではなく、他の避妊方法にプラスする形で試してみてください。
避妊手術(不妊手術)の効果
女性側も男性側も行える避妊方法が、「避妊手術(不妊手術)」です。
女性の場合は「卵管」を、男性の場合は「精管」を糸で結ぶ、または切断するという方法で、一度手術を受ければ半永久的に高い避妊効果が得られます。
避妊手術は、将来的に子供を持つことを考えている方にはおすすめできない方法です。
最近、話題となっている米国の書籍のなかで、精管を切断した後に再建する技術について触れられているようですが、まだ日本では一般的ではありません。
妊娠できないようにする方法であるため、すでにお子さんが何人かいらっしゃる方、もしくは今後子供を持つことを希望していない方には適しているといえるでしょう。
メリット
IUDと同様に、性行為を行う度に避妊のことを考えなくて良いという点が、避妊手術のメリットです。
手術を受けることで妊娠の心配をしなくても良くなることから、精神的な負担を軽減できるというのも大きな魅力だといえるでしょう。
デメリット
デメリットとしては、外科手術を受ける必要があるという点が挙げられます。
医療機関の協力なしにはできない避妊方法であるため、費用についてもよく確認しておきましょう。
また、子供を持ちたいと思っても持てなくなるという点もデメリットだといえます。
後悔がないように、自身の希望だけでなくパートナーともよく話し合って、互いの意見を一致させてから手術に臨んでください。
性行為の後に避妊する方法はある?
性行為の前に妊娠を回避する方法はいくつか存在しますが、性行為の後は一つだけです。
万が一、避妊に失敗した、避妊をせずに性行為をしてしまったという場合は「アフターピル(緊急避妊薬)」を服用しましょう。
アフターピルは、体内のホルモンバランスを一時的に乱すことで、排卵を遅延させたり子宮内膜の剥離を起こしたりして、受精や着床を防ぐことができる錠剤です。
性行為を行った後、72時間以内に服用すれば、85%の確率で妊娠を回避できるといわれています。
アフターピルはあくまでも「緊急的な避妊方法」であり、常用するような薬ではありません。
アフターピルを入手するためには医師の処方が必要となるため、性行為を行った後は、早急に婦人科を受診しましょう。
妊娠してしまった場合の対処方法については、下記記事をご覧ください。
避妊方法に関するよくある質問
インターネット上で、避妊に関する様々な噂を目にします。中には誤った情報もあるため、正しい知識を得ておくことが大切です。ここでは、避妊方法に関するよくある質問と、その回答をご紹介します。
安全日や生理中なら避妊しなくでも大丈夫?
妊娠できる能力がある女性には、「避妊をしなくても良い日」はありません。
いわゆる「安全日(生理直後の2日間と次回生理の7日前)」や「生理中」であれば、排卵の可能性が低いことから妊娠しないという噂がありますが、誤りです。
どんなに健康な女性であっても、排卵のタイミングは少しのきっかけでズレることがあるため、安全日といわれる期間であっても避妊は必要です。
また、精子は最長で5日間生き残るため、生理中に腟内に射精された精子が、次の排卵日まで生き残って受精してしまうことがあります。
どのタイミングであっても、妊娠を望まない場合は必ず避妊を行ってください。
腟外で射精すれば妊娠はしない?
コンドームを使用せずに性行為を行い、最後の射精のみ腟外で行えば妊娠しないという噂もよく耳にしますが、こちらも誤りです。
男性から精子が出るタイミングは、射精時だけに限られません。
性行為を行っている最中に男性器から分泌される「カウパー腺液」にも、精子が含まれています。
そのため、射精の直前に慌てて男性器を腟外に出したとしても、カウパー腺液が腟内に残れば妊娠の可能性があります。
腟外射精は避妊方法には含まれないため、コンドームや低用量ピルといったアイテムを使用して、正しい方法で避妊を行いましょう。
コンドームは再利用しても良い?
「お金がもったいないからコンドームを再利用したい」という方もいますが、一度使用したコンドームの再利用は避けましょう。
きれいに洗浄したとしても、一度使用したコンドームでは新品と同様の避妊効果は得られません。
素材のゴムがのびて耐久性が落ちているため、破れたり穴が開いたりする可能性があるのです。
コンドームは、使用期限が定められています。
劣化したコンドームでも破れたり穴が開いたりすることがあるので、毎回新品を使用してください。
まとめ
- コンドームは破れたり穴が開いたりする可能性があるため、毎回新品を使用する。
- 腟外に射精したとしても、カウパー腺液が腟内に残れば妊娠の可能性がある。
- コンドームは破れたり穴が開いたりする可能性があるため、毎回新品を使用する。
望まない妊娠を避けるために正しい方法で避妊をしましょう
避妊方法にはいくつか種類があり、それぞれメリットとデメリットが存在します。
特徴や効果をよく比較した上で、自身に合った避妊方法を選択してください。
望まない妊娠を避けるためにも、避妊方法に関する情報を得た上で、正しい方法で避妊を行いましょう。
避妊に関してさらに詳しく知りたいという方は、医療法人心鹿会へご相談ください。
スタッフ全員が女性である下記クリニックなら、緊急避妊に関しても気兼ねなくお話しいただけます。