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スタッフブログ

2020.05.21

心斎橋院

尿失禁に対する膀胱ボツリヌス毒素注射 神経因性膀胱と過活動膀胱の患者の違い

みなさんおはようございます。

女性医療クリニックLUNA心斎橋 院長の二宮典子です。

ワクチン・抗体など新型コロナウィルスに対する新しい光が見え始めたようですね。まだまだ実用化には時間がかかると思いますが、安心して暮らせる日常がまたやってくるのを辛抱強く待ちながら、前向きに毎日頑張っていきましょう!

当院、LUNA心斎橋は毎日元気に診療を行っております。LUNA心斎橋では2020年3月から保険診療による膀胱ボツリヌス毒素注射の治療を開始しました。その翌月、4月からは手技も保険収載になり、ますます認知がすすんでおります。そして5月20日現在、膀胱ボツリヌス毒素注射手術の件数なんと10件!

これ、現在日本で1番の件数だそうです!

治療は、患者さんへの効果がちゃんとあってこそなので、手術件数が多いというだけで喜んではいけないのですが。いつも頑張ってくれているスタッフの励みにもなります。通院してくださる患者さん、ご家族さん、ご紹介いただく病院の先生方、みなさま本当にいつもありがとうございます。

でも、うちみたいに普通の開業医が日本で1番、手術の件数をやって、なんで大きい病院では行っていないのか?

やっていないのではありません。でもここでもやはりコロナ感染拡大の影響がでているようです。大きい病院ほど、特殊な事情に対する危機管理が必要になるので、QOL疾患に対する治療・手術を入院で行うのは後回しになるようです。(前回のブログも参照ください ➡ https://ninomiya-lc.jp/%e6%b2%bb%e7%99%82%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/5924.html

LUNA心斎橋での膀胱ボツリヌス毒素注射 患者さんの声

LUNA心斎橋は3月、4月、5月もかわらず膀胱内ボツリヌス毒素注射の施術を行っています。患者さんたちから、施術をうけたあとの感想をいただきました。前回に引き続き今回は4月に施術を受けていただいた患者さんの声を共有させていただきます。

4月はボツリヌス毒素注射の手技が保険収載になったこともあり、施術を検討されているみなさんを多く実施させていただいたように思います。

2020年5月の症例① 50代女性 過活動膀胱による尿失禁

5年前から頻尿と失禁の症状がありました。他の病院で薬をいくつも試しましたが、一向によくならず、トイレに行きたいと思うと我慢できませんでした。しかも漏れもあるので、200cc以上のパッドを使っていました。LUNAには去年の冬から通院をするようになりました。

最初に排尿日誌というのを書くよう言われ、書いてみました。最初は面倒だと思ったけれど、自分が思っているより自分の排尿の状態を客観的にみれてよかったです。私の場合は、寝ているときは300㏄ためているのに、起きているときは100㏄もためれないことが問題だと先生は言いました。膀胱の筋肉だけが問題ではなくて、もともとの緊張しやすい性格のせいだと先生が言ってくださったので、今まで薬が効かなかったのはそういうことだったのかと、納得できました。

薬をかえて、自分では力を抜くように気を付けてもやはりトイレに行きたくなると200㏄くらいは漏れていたので、先生からボトックスの話があり、「やります」と言いました。

手術の日は、ちょうどコロナのこともあったので、家族にも心配されましたが、早く治したかったので手術は迷いませんでした。もちろん緊張はしました。膀胱の注射をやっているのは、覚えていません。起きたら終わっていたので、とても楽でした。

でも手術が終わった後も、尿意を感じるとすぐにトイレに行きたくなり、全然効いていないと思いました。

その次の診察で、先生に副作用はなく排尿はちゃんとできているということと、自分が思ったようにうまくトイレができていないことで焦りがでて、普通のトイレの仕方ができていないみたいだということを言われました。緊張するとどうしてもうまく排尿できなくて、どんどん力をかけてしまっていたことに気が付きました。

無駄に力をかけているいうことはわかりましたが、トイレに行きたくなったらすぐに緊張してしまい、まだうまくいかないことはあります。でも手術を受ける前よりは確かに行きたいときの強さは変わっているような気もするので、リラックスを心掛けていきたいと思います。

~院長よりコメント~

○○さん、ありがとうございました。思ったようなすぐの効果がなくて申し訳ありません。膀胱ボツリヌス毒素注射は、膀胱の緊張はとりますが、気持ちの緊張はとってくれません。ですので、尿意を感じて緊張しないようになると、もっと良くなると思います。

緊張すると排尿がしにくくなるので、余計に腹部に力をかけてしまうことがありますので、それをなくしていけるようにしましょう。排尿行動はもともと副交感神経なので、リラックスしたほうが良いんですよ!これからももっとよくなるように一緒に考えていきますので、今後ともよろしくお願いします。

2020年4月の症例② 40代女性 神経因性膀胱による尿失禁

以前から排尿時痛と蓄尿時痛があり、一度間質性膀胱炎と診断されたこともありました。現在は他の病院でカテーテルの指導を受けながら、こちらでも月に1回の関口先生の受診をしております。

ボツリヌス毒素注射がクリニックで掲示されており、興味があったので関口先生と相談した手術をすることになりました。4月の手術の日にちも決まっていましたが、ちょうどコロナのせいで関口先生が大阪に来れなくなり、手術の担当を二宮先生が代わりにしてくれました。いつも診察してもらっている関口先生ではなかったですが、看護師さんもいつもの方なのであまり緊張などはなかったです。

手術をしてもらってからは、普段のあった尿漏れがなくなったので、やってよかったと思います。

~院長よりコメント~

○○さん、ありがとうございました。当法人理事長の関口がコロナ感染拡大予防のための外出規制の影響をうけて、大阪出張予定が中止になってしまい、大変ご迷惑をおかけしました。

手術の日程は予定通り行わせていただきましたが、満足いただく結果となり良かったです。神経因性膀胱でカテーテルを行っているにも関わらず、自分の意思とは無関係に生じてしまう筋肉の収縮による尿失禁のかたには、ボツリヌス毒素注射は大変有効であると実感しておりますので、多くの患者様にその効果を実感していただければとても嬉しく思います。

治療効果は永久ではありませんので、再度失禁が悪化するようであれば手術を行うようにしましょう。今後ともよろしくお願いします。

2020年4月の症例③ 70代女性 神経因性膀胱による尿失禁

昨年も自費で膀胱ボツリヌス毒素の注射をお願いしていたので、保険で治療できることになってすぐに手術をお願いしました。前にやっていただいた感じを覚えていたので、別に緊張もなかったです。

手術の前は薬をのんで、カテーテルをしてもなんどもトイレに行きたい感じがして、漏れもありましたが、今はまったくその不快感がありません。

また調子が悪くなってきたらお願いしようと思います。

~院長よりコメント~

○○さん、ありがとうございました。カテーテルの治療を継続していただいているので、手術をしているこちらとしても、安心して十分な薬の量を注射することができます。

カテーテルを使用しているのに、強い尿意がでたり、尿漏れがあるととても生活の質が落ちていたことと思います。ボツリヌス毒素注射が保険で治療できるようになり、本当に良かったですね。

手術療法だけではなく骨盤底筋のトレーニングや食事などを組み合わせることで、より生活のしやすい排尿状態を目指していきましょう。今後ともよろしくお願いします。

2020年3月の症例④ 60代女性 過活動膀胱による尿失禁

いつも尿漏れに悩まされており、色々な薬をのんでもまったく効果がないということで大学病院からこちらを紹介してもらい、手術をすることになりました。

手術そのものはほとんど苦痛もなく、あっという間に終わったので良かったです。でも、手術後には思ったように効果がなくて、今でも昼も夜も何度もトイレに行きたくなるし、尿漏れがあるので困っています。

~院長よりコメント~

○○さん、ありがとうございました。ウーーーム。ボツリヌス毒素注射を行った患者さんの中でも、効果がいまいちですね。もともとの症状の重症度にも比例するのかと思いますが、確かに手術の後も膀胱の筋肉が硬い所見があり、まだ治療が不十分かと思います。期間をまって、再度注射をすることをおススメしますが、このあたりは期日が近づいてきたら再度充分に検討を行わせていただきますので、どうぞまたよろしくお願いします。

神経因性膀胱と過活動膀胱の施術 効果の違いについて考察

4月の膀胱ボツリヌス毒素注射の手術は、神経因性膀胱と過活動膀胱の患者さんが各2名ずつという実績でした。神経因性膀胱の患者さんは2人とも効果を十分に実感したいただいた半面、過活動膀胱による失禁の患者さんの効果はまだ不十分かなという印象が否めませんね。

理由として、①投与できる薬の量が病気によって異なることと、②手術のあとの合併症の管理についての心配が違うこと、が考えられました。

①過活動膀胱の患者さんに許されているボツリヌス毒素の量は1回の手術あたりで最大100単位。対して、神経因性膀胱の患者さんは200単位、と2倍の差があります。

②さらに、手術後におきうる合併症のひとつに尿閉(おしっこが溜まっているのに自力で出すことができなくなる状態)がありますが、神経因性膀胱の患者さんは手術の前から自己導尿を行っているので、術後の尿閉のリスクに対して最初からマネージメントを行っていることがあります。

この2つの理由が、神経因性膀胱の患者さんには合併症を気にせず、最初からしっかりとした充分な薬の量を注射することができ、術後の効果が高かったのでしょう。

まとめ

神経因性膀胱の患者さんと過活動膀胱の患者さんの反応の違いが浮き彫りになり、益々気を引き締めて治療にあたろうと思う二宮なのでした。

女性医療クリニックLUNA心斎橋は、過活動膀胱に対する膀胱ボツリヌス毒素注射を始め、日帰り手術を行うことができます。

注射の適応については担当医が判断させていただきますので、気になる方は一度是非受診してみてください。3割負担の方で手術の費用が約5万円です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修者
二宮 典子

医師。泌尿器科専門医・指導医、漢方専門医、性機能専門医。
2015年から女性医療に特化したクリニックの院長として泌尿器科・婦人科・性機能に関する専門的診療に従事。医療者向けの講演会や一般向けのYouTubeなど幅広い活動を行う。2021年にNINOMIYA LADIES CLINICを開院し、院長就任。自院では、医療者にしかできない誠実で安全な美容を提供するべく、アートメイク・女性器治療などにも注力する。