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2020.08.11

心斎橋院

『疲れる』の正体を知ろう~セミナー報告第3弾~

みなさん、こんにちは。女性医療クリニックLUNA心斎橋 院長の二宮典子です。

8月1日の土曜日にサンケイリビングさん主催で「女性ホルモン」についてのウェブセミナーをさせていただきました。前回のブログでは、女子たちがどういったことに困っているのかということをご紹介させていただきました。

前回までの復習

ゆらぎ世代の女子の悩みは

  • 1位 疲労
  • 2位 美容
  • 3位 月経関連
  • 4位 更年期
  • 5位 ダイエット

みんな、自分なりに考えてきちんと対応を行っていますが

それでうまくいくこともあれば、うまくいかないことも…

この5つの悩みへの対策について、上位のお悩みから順にお話ししていこうと思います。本日は疲労について。

疲労の対策の前に

疲労を考えてみよう

早速疲労の対策といきたいところですが、まず疲労について理解することが必要です。

疲労ってみなさん、何だと思います?漠然と毎日のように『疲れた』とか『しんどい、しんどい』と使っているのに、深く考えて使ったことありませんよね?

この『疲れ』という感覚、とっても抽象的だと思いません?

漠然としていて、逆にそれがとっても使いやすい。

でもよくわからない(笑)

疲れるんじゃーーー

疲れているから、からそんなん考える余裕もないんじゃーー

うるさい、ぐわーーーっ

と怒られてしまいそうですが‥

すこしあなたなりに疲労を考えてみてください。どういったときに『疲れた』って思います?どういう疲労が困りますか?

疲労、その本質を理解しよう

では、医者っぽく(笑)疲労ってどういうことか解説していきましょう。

西洋医学が疲労というのが何かを真面目に研究するようになってきたのは、最近の話です。

みなさん、「慢性疲労症候群」っていう名前の病気聞いたことはありますか?この病気は1988年にアメリカ疾病対策センターで提唱された比較的新しい病気です。

みなさんの周りにもいませんか?風邪を引いた後、その後何カ月も身体のだるさや、頭痛、筋肉痛、やる気がないなど「なんかしんどい」っていう症状がずっと続いている人…奥さん、あれですよ。あ れ 。

普通の検査をしても、はっきりした悪いところは見当たらないんですよね。

ともすれば精神的な病気と放置されそうなところを、「慢性疲労症候群」として研究することになったのです。免疫や内分泌、自律神経、代謝などを調べて身体にどのようなことが起こっているか、賢い先生が研究したのです。まだ研究段階のことも多いようですが、一部解明されてきたこともあります。

それは、

  • 疲労というのは脳の疲れである
  • 脳は自律神経のバランスがとれなくなることで疲れを感じている

ということです。

一気に難しくなってきましたね。

疲労と脳と自律神経

疲労というのは、毎日汗水たらして、肉体を酷使する肉体的疲労

動いているわけではないけれど、だるくて身体がしんどい、朝起きてもやる気がでなかったり、本調子ではない状態が継続するという疲労に大きく分けられると思います。

現代の疲労治療でみなさんが困っているのは後者やる気がでなくて、なんとなくしんどい、ってやつです。この状態が、脳の疲労であるということが分かってきたのです。

脳の活動は、私たちが意識している部分と、意識外で身体を調節してくれている無意識の部分があります。当然ですが、無意識に活動する脳も疲労するのですが、そうなると身体全体が疲労を感じるようになってしまう、しかも自分の意識外で疲労しているので、対応するのが難しいということなのです。

それでは、無意識の脳の働きって何なのか?これこそが、かの有名な『自律神経』であり、『自律神経の乱れ』がつまり私たちが感じている『疲労』の正体ということなのです。

自律神経の働き

『自律』という名の通り、私たちの意識外で24時間365日、ずーーーーっと働いてくれています。

何をしてくれるか?

生命の維持です。自律神経の働きこそが生命活動のほとんどといっても過言ではありません。

自律神経の働きの代表に恒常性の維持というものがあります(こうじょうせいと読みます)。

どういうことかというと、人間の身体は、周りの環境が変わっても、見た目とか中身が大きく変わらないように、ずっと同じように生命を維持しています。その微妙な調整をするシステムを自律神経が担っているよということなのです。

自律神経の働きのおかげで、例えば、今みたいに気温が36度を超えているとき、室内で22度になったとき、どんな時も変わらず体内温度って一定でいれます。夏だけではありません。冬に外気が10度以下になっても、身体が冷え冷えになることはありません。

これって、みなさん意識していませんよね?でも、みなさんの意識外で、みなさんの自律神経が一生懸命にセンサーを働かせて、上手に体温を調整するように身体を調整しているからなんです。

恒常性の維持以外にも、オンオフの切り替えも自律神経がやっています。緊張するとかってに心臓がどきどきしたり、手汗がぶわっと出てきたことありますよね?あれも自律神経のオンオフ調整によって、身体が勝手に『戦闘モード』に切り替わったから起きていることです。

というか何度も言いますが、意識している身体の動きのほうがむしろ少なくて、生きるために必要な身体の調整のほとんどに自律神経は関わっているんです。

呼吸・体温・消化・吸収・排泄などなど、ありとあらゆることが自律神経の働きによって制御されています。

なんとなく、わかってきましたか?

交感神経と副交感神経

自律神経は『交感神経』と『副交感神経』という2つの神経に分類され、交感神経は身体を活動させるのに、副交感神経はリラックスして休息するために働く神経です。

『自律神経の乱れ』というのは、交感神経と副交感神経がしっかり活動すべきときに活動できないということです。

リラックスするために神経が必要?と思った人もいるかもしれませんが、もちろん必要です。むしろ、大多数の現代人の『疲労』は、交感神経が優位になり過ぎて副交感神経がしっかり働けないことが原因ともいわれています。

疲労と自律神経

自律神経の話もすこし理解いただいたところで、疲労に話を戻しましょう。

疲労の原因は『自律神経の乱れ』。

みなさんが疲労を感じている正体は、主には休むべきときに『副交感神経』が働いていない、『交感神経』がビンビンに働き過ぎている状態と言われています

現代社会でここまで疲労している人が多いのは、社会全体の責任とも言われています。精神的ストレス、食事、外的環境、運動不足、ホルモンバランスなど自律神経の乱れに関する原因は実に様々と考えられています。

先程も話にでてきましたが、私たちの身体の働きの全ては、自律神経によって調整を受けています。むしろ、自律神経が届かない身体の部位はありません。自律神経はいつだってトップギアなんです。そんな働き者に働くな、っていってもそれは無理。どんな状態であっても働いちゃうのが自律神経。健気ですね。

まとめ

本日は疲労とは何ぞや、についてお話しさせていただきました。

疲労の医学的な観点を少しご紹介させていただきましたが、疲労って脳の疲労、自律神経の乱れだったのですね、しかも脳の大半が無意識に働いていたなんて。びっくり!

ということで、いつものことですが、疲労について話しているうちにどんどん長くなってしまったので、二宮のおススメする疲労対策は明日にお話しします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修者
二宮 典子

医師。泌尿器科専門医・指導医、漢方専門医、性機能専門医。
2015年から女性医療に特化したクリニックの院長として泌尿器科・婦人科・性機能に関する専門的診療に従事。医療者向けの講演会や一般向けのYouTubeなど幅広い活動を行う。2021年にNINOMIYA LADIES CLINICを開院し、院長就任。自院では、医療者にしかできない誠実で安全な美容を提供するべく、アートメイク・女性器治療などにも注力する。